知的資産経営(2)

 

 知的資産経営を実践していく上での出発点は、まず自社の知的資産を認識すること、そして認識した自社の知的資産を整理し、開示することです。

 

 開示情報は取引先や金融機関などの関係者とのコミュニケーションツール、自社の事業価値を高めるためのマネジメントツールとして活用することができます。

 

 つまり、自社の知的資産経営を外部に公表したり、自社の知的資産経営を管理・運営するためのツールとして活用できるのです。

 

 

大まかな流れは以下のようになります。

 

 

 

1 自社の知的資産、自社の強みを認識します。

 

   経営環境分析により、強み・弱み・機会・脅威を分析し、業務ごとに、他社との差別化につながって

  いるポイントを整理します。

 

2 自社の知的資産経営をストーリー化します。

 

   自社の強み(他社との違い)を繋ぎ合わせ、自社の生み出してきた、今後生み出していく価値の連鎖

  を検討します。

 

3 開示情報の目的を明確化します。

 

   「誰に」、「何を」伝えるのかを明確にし、対象に合わせた開示情報を選別します。重要業績評価指

   標などを活用し、進捗管理を行います。

 

4 目標の進捗状況や環境変化を踏まえながら、定期的に見直しを行います。

 

   社内・社外の関係者にタイムリーな情報開示が出来るよう、レポートを修正します。

 

 

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株式会社 春うららかな書房を事例に検討します。

 

 

ステップ1 企業概要を開示します。

 

 

 当該会社では、出版販売会社、書店、中古本買取専門事業者、中古本専門小売事業者などから中古本や新刊本を仕入れ、コミックについては「複合カフェ」や「コミックレンタル」事業者向けに販売し、コミック以外の本については大手インターネット通販会社を経由して一般消費者向けに販売しています。

 「複合カフェ」や「コミックレンタル」事業者に対しては、当該会社で加工を施した中古および新刊コミックを、オープニング商材、ランニング商材として販売するとともに、これらの事業者が閉店する際には、その店舗在庫を引き取り、再加工を施した後、他の事業者のオープニング商材やランニング商材として供給しています。

 また、他店からの余剰在庫の引き取りなど、仕入原価の低減を前提とした一括大量仕入に傾注しているため、コミックの仕入れに付随して、コミック以外の本を引き取ることもあります。

 当該会社では、大量低価仕入の副産物ともいえるコミック以外の本を、インターネットサイトを通じて一般消費者に販売しいます。このような取り組みを行うことで、限りある経営資源・地球資源の無駄なき有効活用にも努めています。

 当該会社では、単に加工済新刊本や加工済中古本を販売するだけではなく、「複合カフェ」や「コミックレンタル」という新たな業態が求めるニーズの開拓、そしてこれらのニーズに即応するサービスの提供に努め、「新業態向け本の高付加価値型リテールサポーター」としての市場ポジションを築き上げてきました。