旧法役員賞与(2)

 

 

法人税等の更正、加算税の賦課処分等取消請求控訴事件

 

 

【事件番号】 東京高等裁判所判決/昭和55年(行コ)第98号

 

【判決日付】 昭和56年5月27日

 

【判示事項】

 

(1) 役員賞与と役員報酬との判別基準(原審判決引用)

      

(2) 法人税法三五条四項の「臨時的な給与」の意義(原審判決引用)

      

(3) 会社役員に対し、七月と一二月の報酬を、他の月の定額の報酬額より増額して支給した場合、右増額分は、役員賞与に該当するとされた事例(原審判決引用)

      

(4) 会社役員に対し、七月と一二月の報酬を、他の月の定額の報酬額より増額して支給したのは、予め支給期と支給額とを定めていたものであるから、右増分は「臨時的な給与」には当らないとする控訴会社の主張が排斥された事例(原審判決引用)

      

(5) 会社役員に対し、七月と一二月の報酬を他の月の定額の報酬額より増額して支給したとしても、右増額分は、利益処分のものとは別のものであるから、役員賞与には該当しないとする控訴会社の主張が、役員賞与は必ずしも利益処分として支給される給与に限られるものではないとして排斥された事例(原審判決引用)

 

 

【掲載誌】  税務訴訟資料117号478頁

 

 

について検討します。

 

 

主   文

 

 本件控訴をいずれも棄却する。

 控訴費用は控訴人の負担とする。

 

       

 

事   実

 

第一 当事者の求めた裁判

 一 控訴人

  1 原判決を取り消す。

  2 控訴人の昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度分の法人税につき、被控訴人が同五二年六月二一日付でした更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、所得金額を二二九八万五二一九円として計算した額を超える部分を取り消す。

  3 控訴人の昭和五一年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度分の法人税につき、被控訴人が同五三年六月三〇日付でした更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、所得金額を一一五九万七〇四一円として計算した額を超える部分を取り消す。

  4 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

    との判決

 二 被控訴人

   控訴棄却の判決

第二 主張及び証拠関係

   当事者双方の主張及び証拠関係は、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

 

       

 

理   由

 

 一 当裁判所も控訴人の本訴請求は、いずれも理由がないものと判断するものであるが、原判決一一枚目裏四行目「課税経過」の次に「、控訴人主張の審査請求がいずれも棄却されたこと」を加え、同一五枚目表八行目「いるものであり、右」とあるのを「いるものであることが認められ、以上の事実によれば、前記」と、同枚目末行「あつたと認められる。」とあるのを「あつたと推認するほかなく、他に右推認を覆すに足る資料はない。」とそれぞれ訂正するほかは、原判決理由記載と同一であるから、その説示を引用する。

 

 二 よつて、控訴人の本訴請求はいずれも失当であつてこれを棄却した原判決は相当であるから本件控訴はいずれも棄却すべきであり、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

 

    東京高等裁判所第一一民事部

        裁判長裁判官  廣木重喜

           裁判官  寺澤光子

           裁判官  原島克己