贈与税決定処分取消請求控訴事件
【事件番号】 名古屋高等裁判所判決/平成10年(行コ)第34号
【判決日付】 平成10年12月25日
【判示事項】
公正証書による贈与契約書が存在したとしても、それが贈与税の負担回避のために作成されたもので、その作成のときに書面による贈与がされたとは認められず、登記手続がされたときに贈与に基づく財産取得があったとされた事例
【参照条文】 民法549
民法550
国税通則法15-2
【掲載誌】 訟務月報46巻6号3041頁
について検討します。
主 文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一 当事者の求める裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が、控訴人に対し、平成七年七月五日付けでした平成五年分の贈与税決定及び無申告加算税賦課決定を取り消す。
3 訴訟費用は、第一、二審を通じ、被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨
第二 事実関係
原判決の「事実及び理由」欄の第二の記載を引用する(ただし、原判決六頁一行目(編注・訟務月報本号(以下月報巻号省略)三〇四八ページ下段一二行目)の「一三日」の次に「ころ」を付加し、一三頁一〇行目(編注・三〇五二ページ上段一行目)の「あったと」の次に「万喜が」を付加する。)。
第三 当裁判所の判断
一 次のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」欄の第三の一ないし六の記載を引用する。
1 原判決二八頁一〇行目(編注・三〇五七ページ下段一七行目)の「贈与」を「所有権移転」と訂正する。
2 同三〇頁三行目(編注・三〇五八ページ下段二行目)の「者」を「物」と訂正する。
3 同三二頁四行目(編注・三〇五九ページ上段一四行目)の「本件贈与」を「本件不動産の贈与」と訂正する。
4 同三七頁七行目(編注・三〇六一ページ下段二行目)の「認識してた」を「認識していた」と訂正する。
5 同三八頁七行目(編注・三〇六一ページ下段一六行目)の「であった」を「があった」と訂正する。
6 同四五頁四行目(編注・三〇六四ページ下段七行目)の「贈与」の次に「を受けて、これ」を付加する。
7 同四五頁五行目(編注・三〇六四ページ下段九行目)の「本件登記手続」から七行目(編注・三〇六四ページ下段一一行目)の「取得した」までを
「控訴人は、本件登記手続がされた平成五年一二月一三日ころに万喜から本件不動産の贈与を受け、その履行として本件登記手続がされ、これによって控訴人は本件不動産を取得したものであるから、控訴人の本件不動産の取得時期は平成五年一二月一三日である」
と訂正する。
二 よって、本件控訴は理由がないから、これを棄却し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
名古屋高等裁判所民事第二部
(裁判官 渋川 満 河野正実 佐賀義史)