難民と認定された事例(1)

 

 

 

 

 申請者は,本国において,当時の政権(前政権)に反対するデモに参加し,その様子を撮影していたところ,前政権の政党関係者から撮影を止められ,カメラを没収されたこと及び,他国において,当時の本国政府を批判する動画をインターネット上の動画投稿サイトに投稿したところ,本国の父が脅迫されたことから,帰国した場合,前政権支持派及び前政権とつながりのある宗教系武装組織Aから迫害を受けるおそれがあるとして難民認定申請を行ったものである。

 

 

 

 

 

 

(判断のポイント)

 

 

 本国情勢に係る客観的情報によれば,

 

 前政権下では,治安部隊等が,政府に対する抗議デモの参加者を銃撃するなどの非人道的行為を行っていたこと

 

 及び,政権交代後も,Aが,A及び前政権支持派に反対するデモに対して暴力行為を行っていることが認められる。

 

 

 

 申請者は,政権交代前に,前政権やAに反対するデモに参加し,その様子を撮影してインターネット上のSNSに投稿したところ,前政権の政党関係者から撮影を止められ,カメラを没収されているほか,政権交代後も,外国滞在中の申請者が,前政権の側近が残る新政権を批判する動画をインターネット上の動画投稿サイトに投稿したところ,本国の父が脅迫されたなどの事情が認められたことなどから,申請者が前政権から個別具体的に把握され,標的とされていた可能性があり,

 

 申請者が帰国した場合,前政権支持派やAから迫害を受ける具体的,客観的危険性があると認められる。

 

 

 

 前政権のリーダーは現在,Aと協力関係を構築していることが認められることに加え,

 

 本国において,主要都市を含む複数の都市を事実上支配している一方,

 

 本国政府の支配地域は限定され,当該支配も不安定な状態であることからすれば,

 

 A及び前政権支持派による暴力行為に対する本国政府からの効果的な保護は期待できず,申請者が帰国した場合,A及び前政権支持派から迫害を受けるおそれがあると認められる。

 

 

 したがって,申請者は,「政治的意見」を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する者と認められ,難民条約及び同議定書第1条に規定する難民に該当すると認められた。