弁護士夫婦事件(2)

 

 

 所得税更正処分取消等請求控訴事件、東京高等裁判所判決/平成15年(行コ)第175号、判決 平成15年10月15日、税務訴訟資料253号順号9455について検討します。

 

 

 

 

 

【判示事項】

 

(1) 所得税法56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)の適用要件

      

(2) 所得税法56条の「居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したこと」という要件の「従事する」の用語の意味は、事業の一員として参加し又は事業に雇用される等従たる立場で当該事業に関係していることを指すと解すべきであり、また、同条の「その他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」という要件の「その他の事由」とは、無限定なものではなく、従属的な立場で事業に関係した場合を指すと理解すべきである旨の納税者の主張が、所得税法56条の適用要件のうち納税者主張の上記要件は、事業の一員として参加するとか、あるいは事業者に雇用され従業員として労務を提供する等従たる立場で当該事業に関係し、ないしそのような従属的な立場で当該事業に関係する場合に限定されると解すべき根拠は、規定の文言上何ら見当たらないのみならず、納税者の事業からの弁護士である妻への弁護士報酬の支払について同条の納税者主張の要件が適用されないと解すべき合理的な事情も存しないから、納税者の主張は、採用することができないとして排斥された事例

      

(3) 納税者の各年分の事業所得の金額の計算上、生計を一にする配偶者への弁護士報酬の支払につき所得税法56条が適用され、これを必要経費として控除することが許されないとするならば、同法57条により家族労働につき適正な対価の支払が必要経費として認められる青色申告者の場合と比較しても、また、家族以外の他人を使用する者の場合と比較しても、余りに不合理であって、その区別の態様において、憲法14条1項に違反する旨の納税者の主張が、租税法の定立については、国家財政、社会経済、国民所得、国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかはなく、裁判所は、基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ないものというべきである。そうすると、租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は、その立法目的が正当なものであり、かつ、当該立法において具体的に採用された区別の態様が上記目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り、その合理性を否定することはできず、これを憲法14条1項の規定に違反するものであるということはできないというべきである(最高裁昭和60年3月27日大法廷判決、民集39巻2号247頁参照)として排斥された事例

      

(4) 所得税法56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)の目的及び立法目的の正当性(原審判決引用)

      

(5) 所得税法56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)の手段の合理性(原審判決引用)

      

(6) 所得税法56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)の合憲性(憲法14条)(原審判決引用)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主   文

 

 1 本件控訴を棄却する。

 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。

 

       

 

 

事実及び理由

 

 

 

第1 控訴の趣旨

  1 原判決を取り消す。

  2 被控訴人が平成12年12月25日付けでした控訴人の平成9年分の所得税についての更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち総所得額2832万3567円を超える部分(ただし、いずれも平成14年2月5日付け裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。

  3 被控訴人が平成12年12月25日付けでした控訴人の平成10年分の所得税についての更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち総所得額2653万3968円を超える部分(ただし、いずれも平成14年2月5日付け裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。

  4 被控訴人が平成12年12月25日付けでした控訴人の平成11年分の所得税についての更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち総所得額2604万7439円を超える部分(ただし、いずれも平成14年2月5日付け裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。

  5 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

 

 

 

第2 事案の概要

  1 本件は、弁護士業を営む控訴人が、平成9年分ないし平成11年分の所得税の申告に対して被控訴人が平成12年12月25日付けでした更正及び過少申告加算税賦課決定の各処分(ただし、いずれも平成14年2月5日付け裁決により一部取り消された後のもの。以下、これらを併せて「本件各処分」という。)につき、所得税法56条の「生計を一にする」を理由に控訴人が妻である乙弁護士(乙弁護士)に対して支払った報酬を必要経費として算入することを認めなかったのは、同条の解釈適用を誤った違法なものであるなどと主張して、本件各処分の取消しを求めた事案である。

    なお、控訴人の乙弁護士に対する弁護士報酬の支払についての所得税法56条の適用の有無に関する部分を除く本件各処分のその余の計算関係は、いずれも当事者間に争いがない。

 

 

  2 前提事実(証拠を掲げた事実以外は、当事者間に争いがない。)

    (1) 控訴人と乙との身分関係等

      控訴人と乙弁護士とは、夫婦であり、両者は、同居して、生計を一にしている。

    (2) 控訴人と乙弁護士の事業形態等

     ア 控訴人は、A弁護士会に所属する弁護士であり、東京都港区虎ノ門において、Bの名称で事務所を開設して弁護士業務を営む者である(名称につき甲4)。

     イ 乙弁護士は、C弁護士会に所属する弁護士であり、東京都新宿区新宿において、控訴人とは独立して、Dの名称で事務所を開設して弁護士業務を営む者である(名称につき甲4)。

       上記事務所の事務員、事務所諸設備、購入図書等に係る経費は、控訴人の営むBにおける経費とは別であり、それぞれの事務所において記帳されている。

    (3) 控訴人の事業から乙弁護士への弁護士報酬の支払

      乙弁護士は、控訴人の営む事業に従事した労務ないし役務の対価として、控訴人の事業の総収入金額の中から平成9年ないし平成11年に毎年595万円ずつの弁護士報酬(本件弁護士報酬)の支払を受けた。この金額は、乙弁護士が営む弁護士業務の総収入金額のうち約4分の1程度を占めている。

      控訴人は、本件弁護士報酬の支払について、その都度源泉徴収して納税し、他方、乙弁護士も、同報酬を自らの事業の総収入金額に計上して、各年分の所得税の申告を行った(甲4、甲12の1ないし3)。

    (4) 確定申告及び本件各処分等の経緯

     ア 控訴人は、被控訴人に対し、平成9年分ないし平成11年分の所得税につき、法定申告期限内にそれぞれ原判決別表記載のとおりの確定申告(本件各申告)を行った。

       本件各申告において、控訴人は、各年の事業所得の総収入金額から乙弁護士への本件弁護士報酬の支払を必要経費として計上し、これを控除した。

     イ これに対し、被控訴人は、平成12年12月25日付けで、控訴人の平成9年分ないし平成11年分の所得税に係る更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行った。上記各処分の内容及びその後の経緯は、原判決別表記載のとおりである。なお、上記各処分は、平成14年2月5日付け裁決により、原判決別表記載のとおり一部取り消された。

       本件各処分は、控訴人が乙弁護士に対して支払った本件弁護士報酬を控訴人の総収入金額から必要経費として控除することを認めていない。

 

 

  3 本件の主たる争点は、①控訴人と乙弁護士のように生計を一にする夫婦がそれぞれ独立した事業主として事業を営む場合において、一方配偶者が他方配偶者の事業に従事したことにより他方配偶者の事業から対価の支払を受けたときに、他方配偶者に当たる控訴人の各年分の事業所得の金額の計算上、一方配偶者に当たる乙弁護士に対する本件弁護士報酬の支払につき、所得税法56条の適用があるか否か、②控訴人の各年分の事業所得の金額の計算上、本件弁護士報酬の支払について所得税法56条を適用し、これを必要経費として控除することが許されないとすると、必要経費として控除が認められる青色申告者や親族以外の他人を使用する者と比較し、不合理な差別となり、憲法14条1項に違反するか否かである。

 

 

  4 原判決は、争点①については、控訴人と乙弁護士が別個に独立した事業主であり、乙弁護士が控訴人の事業に従属的に従事しておらず、かつ、仮に乙弁護士の労務の対価として適正な額の本件弁護士報酬が支払われたものであって、恣意的な所得の分散がされているものではないとしても、控訴人の各年分の事業所得の金額の計算上、本件弁護士報酬の支払には、所得税法56条が適用され、これを必要経費に算入することはできない旨判断し、争点②については、所得税法56条が消費単位課税を採用し、同条の適用される「生計を一にする配偶者その他の親族に対価を支払う場合」と同条の適用されない「それ以外の者に対価を支払う場合」との間に設けた区別は、合理的なものであり、憲法14条1項の規定に違反するものではない旨判断し、結局、本件各処分は適法である旨認定判断し、控訴人の本件請求をいずれも棄却したので、控訴人が控訴をした。

 

 

  5 上記1ないし3以外の本件事案の概要は、下記6に控訴人の当審における主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄第二の四の1及び2に記載のとおり(原判決8頁7行目から15頁22行目まで)であるから、これを引用する。

 

 

  6 控訴人の当審における主張

    (1) 争点①について

     ア 所得税法12条についての所得税基本通達12-5は、「生計を一にしている親族間における事業主がだれか」についての判定基準を置いており、その(2)では「生計を主宰している者以外の親族が…弁護士、税理士、…その他の自由職業者として、生計を主宰している者とともに事業に従事している場合において、当該親族に係る収支と生計を主宰している者に係る収支とが区別されており、かつ、当該親族の当該従事している状態が、生計を主宰している者に従属して従事していうと認められない場合 当該事業のうち当該親族の収支に係る部分の事業主 当該親族」となっているから、乙弁護士がこの場合の「当該親族」に当たることは間違いない。そして、同通達の解説書によれば、生計を一にする夫婦が同じ場所で医院を開業している場合の例を挙げ、この場合は夫婦が個別で申告することができるとしているのであるから、所得税法12条によって、同法56条が制限的に解釈されている具体的な例であり、所得税法12条が同法56条の解釈に影響を及ぼしている証拠である。もし、所得税法12条がなければ、この場合夫婦のどちらかを事業主と定め、配偶者へ支払った分は経費として算入できないことになる。

 

 

     イ 原判決は、収入がいったん控訴人に帰属した後に生計を一にする者に支払ったから、あとは所得税法56条を適用すれば足り、同法12条は関係がないとするが、原判決のように解釈すると、控訴人が得た収入から配分を受ければ、その部分の収入について乙弁護士の事業主であることが否定されることになる。

 

 

だが、通達では、収支が区分されていること、従属して従事していることが認められないことが事業主となるすなわち納税申告の主体となるといっているのであって、どういう経路で収入を得たかについては何ら制限がない。

 

 

前記通達の要件の中に「生計を主宰している者とともに事業に従事している場合において」となっている以上、生計を主宰している者に帰属した収入をあとで分配することも当然含まれていると解釈すべきであって、実際問題としても領収書等の発行、あるいは売上げについていちいち配偶者のうち、どちらの売上げであると書き分けて記帳することはないと思われる。

 

 

     ウ さらに、所得税法56条の「居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したこと」という要件の「従事する」の用語の意味は、事業の一員として参加し又は事業に雇用される等従たる立場で当該事業に関係していることを指すと解すべきであるから、納税者たる事業者と別個独立の事業を行う者が、自己の事業の一環として納税者から委任に基づいて事務を処理し対価を得る場合には従たる立場で事業者の事業に関係したとはいえないから、たとえ対価を得た者が事業者の配偶者であったとしても前記要件には該当しないというべきである。

 

 

       また、同条の「その他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」という要件の「その他の事由」とは、無限定なものではなく、従属的な立場で事業に関係した場合を指すと理解すべきである。なぜなら家族労働の対価を納税義務者の事業所得の計算上必要経費としない理由は、個人の事業においては事業の合計と家計との分離計算が困難であり、しかも事業所得の計算は家計費排除主義を採る税法の根本原則に基づいて計算されるから、事業者が家族労働の対価として親族に支払った金額は名義の如何に関わらず必要経費に算入しないとしたのであって、記帳によって事業会計と家計が明確に分離できる青色申告者については、専従者に対する給与の一定額を納税義務者の必要経費として容認することにしているのである。そうとするなら、納税者たる事業者の親族等が、自らも独立に事業を営み、その事業の一環として納税者たる事業者と取引をして何らかの対価を得る場合は含まれないと解すべきである。

 

 

       控訴人と乙弁護士の関係をいえば、乙弁護士は控訴人と別個の事務所で弁護士業を営む者であり、双方とも独立した会計帳簿を有しており、乙弁護士は控訴人から得る収入より多くの収入を他の弁護士活動によって得ており、控訴人が経費として支払う以外の金銭を家計費として計算上別個に渡していることは当事者間に争いのない事実である。したがって、控訴人ら夫婦に所得税法56条の適用はない。

 

 

    (2) 争点②について

      所得税法5条1項は「居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。」とし、同法2条1項3号で、居住者を「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。」と定め、個人単位課税を明らかにしている。課税は家族単位ではなく個人単位が原則なのである。さらにいえば、我が国固有の戸主制度と結び付いた「世帯合算制度」がシャウプ勧告によって廃止され、例外的に残った所得税法56条も同法57条の創設により空洞化されてきているのである。

 

      こうした歴史の流れからしても、所得税法56条を解釈するには同法57条の創設によってとり残された控訴人のような事例について、それを差別する合理的理由がない以上所得税法56条の文理的解釈のみによって文言上特に何らの限定がないという理由のみで本件各処分を適法とするには過ちがある。

 

      日本の法人というのは、その多くが個人企業と実体が同じようなもので、この場合には家族でも従業員になって給与の支払を受け、法人はそれを必要経費に算入できるところ、専従者控除はこれと公平を保つために設けられたという側面もあるのであるから、公平を比較するには、生計を一にする者でも、所得税法57条によって専従者控除が認められる者と、控訴人ら夫婦のような事例で合理的な差別をする理由があるか否かが検討されるべきである。

 

  7 証拠関係

    本件の証拠関係は、原審及び当審記録中の各証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

 

 

 

 

 

第3 当裁判所の判断

 

 

  1 争点①について

 

 

    (1) 所得税法56条が適用される要件は、

 

①所得ないし対価の支払の対象者が「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族」であること及び

 

②その支払の事由が「居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」であることは、その規定自体に照らし、明らかである。

 

 

      控訴人と乙弁護士とは、生計を一にする夫婦であることは当事者間に争いがない。したがって、本件においては、上記①の要件が存することは、疑問の余地がないところというべきである。

 

      そして、本件弁護士報酬は、控訴人の事業すなわち控訴人が弁護士として依頼者から受任した訴訟事件に係る法律事務で控訴人が処理すべきもののうち、

 

ア.訴状、準備書面等の起案の下書き、

 

イ.起案するに必要な判例、学説の調査、

 

ウ.訴訟外での和解、交渉等における関連判例、学説の調査を、乙弁護士が控訴人の委任を受けて処理したことの対価として乙弁護士が控訴人の事業から平成9年分以降毎年定額(595万円)の支払を受けたものであることは、当事者間に争いがない。

 

 

      これらの事実関係によれば、乙弁護士が別の法律事務所を経営し、別に会計帳簿の記帳をする別個独立の弁護士業を営む者であるとしても、本件弁護士報酬は、乙弁護士が控訴人の事業に従事したことの対価として控訴人の事業からその支払を受けたものといわざるを得ない。

 

 

      これに対し、控訴人は、当審においても、所得税法56条の「居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したこと」という要件の「従事する」の用語の意味は、事業の一員として参加し又は事業に雇用される等従たる立揚で当該事業に関係していることを指すと解すべきであり、また、同条の「その他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」という要件の「その他の事由」とは、無限定なものではなく、従属的な立場で事業に関係した場合を指すと理解すべきである旨主張するが、所得税法56条の適用要件のうち上記②の要件は、事業の一員として参加するとか、あるいは事業者に雇用され従業員として労務を提供する等従たる立場で当該事業に関係し、ないしそのような従属的な立場で当該事業に関係する場合に限定されると解すべき根拠は、規定の文言上何ら見当たらないのみならず、上記認定のような、控訴人の事業からの乙弁護士への本件弁護士報酬の支払について同条の前記②の要件が適用されないと解すべき合理的な事情も存しないから、控訴人の主張は、採用することができない。

 

 

      そうすると、本件弁護士報酬の支払については、所得税法56条の前記②の要件にも該当すると認められるから、本件弁護士報酬の支払に対して同条が適用されざるを得ず、控訴人は、本件弁護士報酬をその事業の必要経費に算入することはできないといわざるを得ない。

 

    (2) 控訴人は、当審でも、所得税法12条や所得税基本通達12-5(2)を根拠に同法56条を限定的に解釈すべきである旨重ねて主張するが、当裁判所も、そのように限定的に解釈することはできないものと判断する。そのように判断する理由は、原判決が説示するとおり(原判決17頁4行目から13行目まで)であるから、これを引用する。

 

      その他、控訴人は、所得税法12条の事業主の判定には、生計を主宰している者に帰属した収入をあとで分配することも当然含まれていると解釈すべきであるなどと、争点①に関してるる主張するが、その主張するところは、いずれも、独自の解釈論であるか、解釈を超えた立法論に属するものであって、採用することができない。

 

    (3) したがって、本件弁護士報酬の支払につき所得税法56条の適用がない旨の控訴人の主張は、採用することができない。

 

 

  2 争点②について

 

    (1) 当裁判所も、所得税法56条が消費単位課税を採用し、同条の適用される「生計を一にする配偶者その他の親族に対価を支払う場合」と同条の適用されない「それ以外の者に対価を支払う場合」との間に設けた区別は、合理的なものであり、憲法14条1項の規定に違反するものではないから、その違反をいう控訴人の主張は、理由がないものと判断する。そのように判断する理由は、原判決が説示するとおり(原判決17頁18行目から21頁3行目まで)であるから、これを引用する。

 

    (2) そうすると、憲法14条1項の違反をいう控訴人の主張は、採用することができない。

  3 以上1及び2の認定判断によれば、本件各処分は適法であり、控訴人の本件請求は、いずれも理由がなく、棄却を免れない。

 

 

第4 結論

   よって、これと同旨の原判決は正当であり、本件控訴は、理由がないから、棄却することとし、控訴費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法67条1項、61条を適用して、主文のとおり判決する。

    東京高等裁判所第9民事部

        裁判長裁判官  雛形要松

           裁判官  山崎 勉

           裁判官  浜秀 樹