移転価格税制(3)

 

 

 

 

 平成27(2015)年10 月には、「BEPSプロジェクトの最終報告書」が公表され、同年11 月に開催されたG20 サミットにおいて了承されました。

 

 

 

 

 

 

 移転価格文書化に関するBEPS プロジェクトの最終報告書制度及び国別報告書では、経済界のコンプライアンス・コストに配慮しつつ、多国籍企業の事業活動に関する透明性を高め、移転価格税制を適切に執行することを目的とし、

 

(イ)ローカルファイル(Local File。自国企業と国外関連者との取引における独立企業間価格を算定

するための詳細な情報)、

 

(ロ)国別報告書(Country-by-Country Report。多国籍企業グループの国ごとの収入、納税額の配分等、多国籍企業グループの国ごとの活動状況に関する情報)、

 

(ハ)マスターファイル(Master File。多国籍企業グループの組織・財務・事業の概要等、多国籍企業グループの活動の全体像に関する情報)といった書類の作成、保存又は提出を企業に求めていくこと

 

が勧告されました。

 

 

 また、この最終報告書では、納税者は、

 

①通常、取引価格の設定前に税務上、移転価格が適切かどうか検討するとともに、

 

②確定申告時には、独立企業原則に従ったものとなっているかどうか確認することが求められるとした上で、

 

ローカルファイルについては確定申告書の提出期限までの同時文書化の実施が望ましいとされています。

 

 

 

 さらに、国別報告書について、いかなる納税者の所得も、国別報告書のデータに基づいた所得配分方式を基礎に配分しようとすべきではない旨、並びに国別報告書は移転価格リスク評価、その他のBEPS に関連するリスク評価及び統計に使用する旨の勧告がなされています。