移転価格税制(2)

 

 

 

 

 

 近年では、大企業が生産・販売・管理等の拠点を世界各国に展開するなど、国際的なビジネスモデルをはじめとして、グローバルな経済活動の構造変化が進んでいるといわれています。

 

 こうしたグローバルな経済活動の構造変化に、移転価格分野をはじめとする各国の税制や国際課税ルールが追い付いておらず、多国籍企業の活動実態とルールの間にずれが生じているとの問題意識が高まったことなどを受けて、平成24(2012)年6月に、OECD租税委員会によって「税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクト」が立ち上げられ、その後、OECD とG20 の共同プロジェクトとなりまし

た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 BEPS プロジェクトは、公正な競争条件(Level Playing Field)の確立という理念の下、国際課税ルールを現在の世界経済やビジネスモデルに即したものにし、かつ、各国政府・多国籍企業の透明性を高めるために国際課税ルール全体の見直しを行っていくプロジェクトであり、経済団体や市民団体等の参画を受けつつ、国税庁を含めた各国の税務当局等による集中的な議論が行われました。

 

 

 BEPS プロジェクトでは、各国が協調して情報を共有していくとの方向性で議論が進められました。

 

 

 

 なお、各国の移転価格税制等に関する文書化制度は、各国で独自に導入されたものであり、それぞれの制度が異なるために、多国籍企業グループにおいてコンプライアンス・コストが上昇しているのではないかといった問題への対応も認識しつつ、議論が進められました。