財産の評価 宅地及び宅地の上に存する権利

 

 

 

 

 審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断した事例について検討します。

 

 

 本件は、別紙記載の共同審査請求人(以下「請求人ら」という。)が、審査請求人E(以下「請求人E」という。)及び同G(以下「請求人G」という。)が相続により取得した土地の一部について、財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか国税庁長官通達。以下「評価通達」という。)24-4《広大地の評価》に定める広大地に該当するなどとして、それぞれ相続税の更正の請求をしたところ、原処分庁が、請求の一部のみを認める各更正処分を行ったのに対し、請求人らが、各更正の請求額まで減額すべきであるとして当該各処分の全部の取消しを求めた事案である。

 

 

 

 

 

 

(1) 相続税法第22条について

 

相続税法第22条は、相続財産の価額は、特別に定める場合を除き、当該財産の取得の時における時価によるべき旨を規定しており、ここにいう時価とは相続開始時における当該財産の客観的な交換価値をいうものと解するのが相当である。

 

 しかし、客観的交換価値は、必ずしも一義的に確定されるものではないから、これを個別に評価する方式をとった場合には、その評価方式等により異なる評価額が生じたり、課税庁の事務負担が重くなり、大量に発生する課税実務の迅速な処理が困難となったりするおそれがある。

 

そこで、課税実務上は、特別の定めのあるものを除き、相続財産評価の一般的基準が評価通達によって定められ、原則としてこれに定められた画一的な評価方式によって相続財産を評価することとされている。

 

このように、あらかじめ定められた評価方式によってこれを画一的に評価することは、税負担の公平、効率的な租税行政の実現という観点から見て合理的であり、相続財産の評価に当たっては、評価通達によって評価することが著しく不適当と認められる特段の事情がない限り、評価通達に定められた評価方式によって画一的に評価することが相当である。

 

そして、本件各土地の評価については、評価通達によって評価することが著しく不適当と認められる特段の事情があるとは認められないから、評価通達によって評価することが相当である。

 

 

 

 

(2) 広大地通達について

 

イ 広大地通達の趣旨は、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、「都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合」に「公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」は、道路、公園等のいわゆる潰れ地が生じることになるため、当該土地の評価の際に、一定割合を減額することにしたものである。

 

ロ 上記の広大地通達の趣旨に照らせば、広大地通達にいう「その地域」とは、

 

1河川や山などの自然的状況、

 

2行政区域、

 

3都市計画法による土地利用の規制などの公法上の規制等、

 

4道路、鉄道及び公園など土地の利用状況の連続性や地域としての一体性を分断することがあると一般に考えられる客観的な状況を総合勘案し、

 

各土地の利用状況、環境等がおおむね同一と認められる、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりとみるのが相当な地域を指すものと解される。

 

ハ また、広大地通達の文言及び趣旨に照らせば、広大地通達にいう「標準的な宅地の地積」とは、評価対象地の付近で状況の類似する地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地の地積、評価対象地の付近の標準的使用に基づく宅地の平均的な地積などを総合勘案して求めた地積を指すものと解するのが相当である。

 

 

ニ そして、評価通達は、相続税法第22条にいう「時価」すなわち相続開始時における当該財産の客観的な交換価値(不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額)を評価するために定められたものであることは前述したとおりであることに照らせば、評価通達の一部を構成する広大地通達についても上記の時価を評価する目的にかなうように解釈するのが相当である。

 

 そして、土地は、通常、その土地に係る法規制の下において、経済的に最も合理的であると認められる利用を想定して価格が形成されて取引されていること及び上記広大地通達の趣旨に鑑みれば、広大地通達にいう「開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」とは、その土地を経済的に最も合理的に利用するために都市計画法に規定する開発行為を行うことが必要であり、その開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる場合を意味するものと解するのが相当である。

 

 

 

(3) 本件各土地の評価単位について

 

本件各土地が広大地に該当するか否かを検討するに先立ち、その評価単位について検討するに、本件自宅敷地等及び本件5土地をそれぞれ1画地の宅地として評価することについて請求人らと原処分庁との間に争いはない。そして、本件5土地については、当審判所の調査の結果によっても、1画地の宅地として評価することが相当であると認められる。

 

 しかしながら、本件1土地と本件2土地の間に、a市が所有する本件水路が存在するのは上記1(2)ニのとおりであり、

 

本件1土地と本件2土地は、所有者を異にする本件水路により分断されて隣接していないところ、

 

当審判所の調査の結果によれば、被相続人は生前本件水路上の一部に蓋等を架けるなどした上で、当該蓋等の上を通行して本件1土地と本件2土地との移動を行うなど本件水路の一部を利用しており、

 

本件相続の開始時においてもかかる状況が継続していたものの、本件水路自体は、その所有者であるa市が水路として利用し、保全・管理も行っており、被相続人及び請求人らが本件相続の開始時の前後を通じて本件水路の利用許可等を受けていないことが認められる。そして、本件1土地及び本件2土地はいずれも道路に接している。

 

 以上の事実関係に照らせば、本件1土地と本件2土地は、被相続人及び同人を相続した請求人らが所有権も土地利用権も有しない本件水路により分断されている以上、

 

本件1土地と本件2土地がその間に存する本件水路を含めて一体利用されていたということはできないから、本件自宅敷地等を1画地の宅地として評価することは相当でなく、本件1土地と本件2土地はそれぞれを1画地の宅地として評価すべきである。

 

(4) 本件各土地に係る広大地通達に定める「その地域」について

 

イ 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

 

(イ) 本件相続の開始時における本件各土地の周辺の土地の利用状況等は、次のとおりである(なお、位置関係等については別図2参照。)。

 

A 本件各土地が所在する工業地域に指定されている地域(原処分庁主張地域に重なる。)においては、本件相続の開始前20年間に工場が新築された実績はなかった。また、同地域には、工場が4件存在していたほか、事業所、いわゆる農家住宅、戸建住宅及び駐車場が混在していた。上記の4件の工場のうち、1件が15,500平方メートル程度の画地であり、その他の画地は500平方メートル程度である。

 

B 本件各土地の東方に存するe川の東側の地域には、事業所が散見されるものの、戸建住宅や共同住宅といった住居系の利用が多く、工業系の利用は見受けられない。そして、e川の東側沿いには事業所や市営団地が連たんしており、それぞれの画地の規模は大きい。

 

 これに対して、e川の西側の地域には、戸建住宅、共同住宅、事業所・事務所が混在しており、e川の東側に比べ、それぞれの画地の規模は小さい。 

 

C 本件各土地の北方から西方に存する市道f号線の西側及び北側の地域は、共同住宅が散見されるものの、主として戸建住宅用地として利用されている。

 

 これに対して、同市道の東側及び南側の地域には、戸建住宅、共同住宅、事業所・事務所、店舗及び工場が混在している。

 

D 本件各土地の南方に存する市道g号線の北側の地域は、都市計画法第7条《区域区分》に規定する市街化区域と定められている一方、同市道の南側の地域は同条に規定する市街化調整区域と定められている。

 

 

 

 

(ロ) 本件各土地の周辺においては、良好な住宅地としての発展、公共施設の整備改善、宅地の利用増進を図る目的で、昭和○年から平成○年にかけてm土地区画整理事業、n土地区画整理事業及びp土地区画整理事業が施行された。

 

 なお、m土地区画整理事業及びp土地区画整理事業の施行区域は、原処分庁主張地域内にも及んでいる。

 

 

(ハ) a市は、都市計画法第18条の2《市町村の都市計画に関する基本的な方針》第1項の規定に基づき、a市都市計画マスタープランとして都市計画の基本方針を定め、これを平成○年○月に改定した(以下、改定後のa市都市計画マスタープランを「本件マスタープラン」という。)。

 

 本件マスタープランによると、本件各土地の周辺は南部地域に分類されているところ、南部地域の土地利用の方針として、「工業地域に指定している地域において、主たる土地利用の実態が住宅地に推移している地区については、既存工場の操業環境に配慮しつつ、住居系の土地利用の誘導を図る。」旨定められている。 

 

 

 

 

ロ 上記イで認定した事実によれば、本件各土地は、用途地域が工業地域に定められた地域に存するところ、当該工業地域に定められた地域において、本件相続の開始前20年間に工場の新築はなく、工場として利用されている戸数の割合は僅かである上、良好な住宅地としての発展等を目的とする土地区画整理事業が施行され、かつ、本件マスタープランが住居系の土地利用への誘導を図っていることを踏まえると、

 

当該工業地域に定められた地域における土地の標準的な使用は工場用地から住宅用地に移行しつつあるものと認められる。

 

そして、上記1(2)ト、チ及び上記イで認定した事実に照らせば、

 

 

1当該工業地域に定められた地域は用途地域が第一種住居地域(戸建住宅、共同住宅及び床面積3,000平方メートル以下の店舗事業所等の建築において、工業地域と用途制限に差異がない(建築基準法第48条《用途地域等》)。)に定められた地域に囲まれるように存しており、容積率及び建ぺい率も同一である(別図2参照)、

 

 

2本件各土地の東方には川幅約8mのe川が流れており、これを境に土地の利用状況が異なる、

 

3本件各土地の北方及び西方には幅員約17mの市道f号線が通っており、これを境に利用状況が異なる、

 

4本件各土地の南方には幅員約25mの市道g号線及び市道h号線が通っており、市道g号線の北側は市街化区域であるが、その南側は市街化調整区域であるということができ、

 

 

以上の事情を総合勘案すれば、e川、市道f号線、市道g号線及び市道h号線に囲まれた地域(別図6の実線で囲まれた地域であり、以下「審判所認定地域」という。)が本件各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると認めるのが相当である。

 

 この点について、原処分庁は、原処分庁主張地域内は用途地域が工業地域と定められており、工場、事務所、戸建住宅等が混在する地域であるのに対し、その外は用途地域が第一種住居地域と定められ、戸建住宅を中心とする地域であるから、本件各土地に係る広大地通達に定める「その地域」は原処分庁主張地域である旨主張する。

 

しかしながら、上記のとおり、原処分庁主張地域(用途地域が工業地域に定められた地域)における土地の標準的な使用は工場用地から住宅用地に移行しつつあるものと認められ、原処分庁主張地域とそれを囲んでいる地域は容積率及び建ぺい率を同じくし、用途制限についても、戸建住宅、共同住宅及び床面積3,000平方メートル以下の店舗事業所等の建築においては差異がないことからすれば、

 

これらの地域における土地の利用状況、環境等はおおむね同一であると認めるのが相当であるから、原処分庁の上記主張には理由がない。

 

 なお、請求人らは、本件各土地に係る広大地通達に定める「その地域」は請求人ら主張地域である旨主張するが、上記のとおり、本件各土地の北側及び西側には幅員約17mの市道f号線が通っており、これを境に利用状況が異なることからすれば、同市道により、土地の利用状況の連続性や地域としての一体性が分断されていると認められるから、請求人らの上記主張には理由がない。 

 

 

(5) 本件各土地が審判所認定地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であるか否かについて

 

イ 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

 

(イ) 審判所認定地域では、本件相続の開始前20年間における新築着工件数は78件であった。そのうち戸建住宅が33件、共同住宅が28件(うち地上階数2以下のものは20件)であった一方、工場の新築着工件数は1件もなかった。また、審判所認定地域では、地上階数3以上の集合住宅や事業所の新築着工件数は8件であったが、平成18年以降に着工されたものは存在しない。

 

(ロ) 本件相続の開始時において審判所認定地域に存する建物の種類ごとに敷地面積をみると、戸建住宅は、約130平方メートルから約230平方メートルの画地がほとんどであり、審判所認定地域に存する戸建住宅の敷地の地積の平均は190平方メートル程度である。一方、共同住宅は約240平方メートルから約600平方メートルの画地がほとんどであり、審判所認定地域に存する共同住宅の敷地の平均は400平方メートル程度である。

 

(ハ) 本件相続の開始時における審判所認定地域内の土地の利用状況をみると、建物敷地181件のうち戸建住宅の敷地が99件(約55%)、低層(地上階数2以下のもの)の共同住宅の敷地が25件(約14%)、地上階数3以上の共同住宅や事業所・事務所が12件(約7%)であった。

 また、本件相続開始時における審判所認定地域内の工場敷地は5件であったが、そのうち敷地面積が15,500平方メートル程度の画地が1件あり、他の工場の敷地面積は、500平方メートル程度であった。

 

 

 

ロ 上記イで認定した事実によれば、本件相続の開始時における審判所認定地域内の土地の利用状況は戸建住宅及び低層の共同住宅の敷地が約7割に達しており、近年における建築着工状況を見てもその多くが戸建住宅及び低層の共同住宅であることが認められ、本件マスタープランが本件各土地の周辺について住居系の土地利用に誘導していることは上記(4)イ(ハ)のとおりであることをも併せ考慮すると、審判所認定地域における標準的な宅地の使用方法は戸建住宅又は低層の共同住宅の敷地であると認められる。

 

 なお、広大地通達は、広大地の定義からマンション適地(広大地通達に定める中高層の集合住宅等の敷地用地に適している土地をいう。以下同じ。)を除外しているところ、審判所認定地域には、地上階数3以上の共同住宅や事業所・事務所が12件存することは上記イ(ハ)のとおりであるが、この件数は戸建住宅や低層の共同住宅の件数に比して少なく、また、平成18年から本件相続の開始時までにおいて、地上階数3以上の集合住宅や事務所の新築着工がなかったことは上記イ(イ)のとおりであることからすると、本件各土地は、マンション適地とは認められない。

 

 

 そして、上記1(2)リ及び上記4(5)イ(ロ)のとおり、本件公示地の地積が○○平方メートル、審判所認定地域に存する戸建住宅の敷地の地積の平均が約190平方メートルであり、低層の共同住宅の敷地の地積が約400平方メートルであるのに対し、上記1(2)ニ及びホのとおり、本件2土地の地積が2,803.75平方メートル、本件5土地の地積が1,631.12平方メートルであることからすれば、本件2土地及び本件5土地は、いずれも広大地通達にいう「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」であると認められる。

 

 これに対し、上記1(2)ニのとおり、本件1土地の地積は191.67平方メートルであるから、「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」であるとは認めることができない。

 

 

 

 

(6) 本件2土地及び本件5土地について、開発行為を行う場合に公共公益的施設用地の負担が必要であるか否かについて

 

審判所認定地域に存する土地の標準的使用が戸建住宅又は低層の共同住宅であり、審判所認定地域における本件相続の開始前20年間の新築着工件数のうち戸建住宅の件数が最も多く、審判所認定地域における戸建住宅の敷地の平均が190平方メートル程度であることは上記(5)のとおりであることからすると、本件2土地及び本件5土地についての経済的に最も合理的な開発行為は、1区画190平方メートル程度の戸建住宅の敷地としての分譲であると認めるのが相当である。

 

 そして、上記1(2)ニ及びホのとおり、本件2土地及び本件5土地の地積はそれぞれ2,803.75平方メートルと1,631.12平方メートルであり、また、当審判所の調査の結果によれば、本件2土地の間口は約13mで、奥行が約71m、本件5土地の間口は約33mで、奥行が約58mと認められるところ、このような本件2土地及び本件5土地の地積及び形状を踏まえると、それぞれ戸建住宅の敷地として分譲する開発行為を行うとした場合に、道路を開設することが必要となるというべきである。

 

 したがって、本件2土地及び本件5土地について開発行為を行う場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる。

 

(7) 小括

 

以上によれば、本件各土地のうち、本件2土地及び本件5土地は、いずれも広大地に該当するが、本件1土地は、広大地に該当しない。

 

(8) 本件各土地以外の土地の評価について

 

原処分庁は、本件各更正処分において、1本件3土地及び本件4土地を合わせて1画地と判断の上、いずれも庭内神しの敷地に該当するとして、当該各土地は非課税であるとしたこと、2本件6土地及び本件7土地を合わせて1画地の宅地と判断の上、広大地に該当するとして評価したことは上記1(4)ロのとおりである。

 

 本件3土地及び本件4土地を請求人Gが相続したことは上記1(2)ハのとおりであり、当審判所の調査の結果によれば、当該各土地にその所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利が設定されているとは認められないことからすれば、本件3土地及び本件4土地は、合わせて1画地の宅地として評価することが相当であるが、当審判所の調査の結果によれば、本件3土地は被相続人の自宅の敷地として、本件4土地は庭内神しの敷地として利用されていたことが認められることからすれば、本件4土地の地積に相当する部分のみを非課税として評価すべきである。

 

 また、当審判所の調査の結果によれば、本件6土地と本件7土地の間にはa市が所有する本件水路が存在することが認められ(別図1参照)、本件6土地と本件7土地は、所有者を異にする本件水路により分断されて隣接していないところ、本件水路について、被相続人及び同人を相続した請求人らが所有権も土地利用権も有しないことは、上記(3)のとおりである。

 

そして、上記1(2)ハ及び別図1のとおり、本件6土地はその東側及び北側で道路にそれぞれ接し、本件7土地はその南側で道路に接している。以上の点を踏まえると、本件6土地と本件7土地を1画地として評価することは相当でなく、本件6土地と本件7土地はそれぞれを1画地として評価すべきである。

 

 そして、上記1(2)ハによれば、本件6土地及び本件7土地は、いずれも審判所認定地域に存し、本件6土地の地積は15,422.86平方メートル、本件7土地の地積は99.00平方メートルであるところ、本件6土地は審判所認定地域における「標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」であり、戸建住宅の敷地として開発行為を行う場合に公共公益的施設用地の負担が必要であると認められることから広大地に該当するが、本件7土地は広大地に該当しない。

 

 

 

(9) 本件1土地から本件7土地までの各土地の価額について

 

以上のとおり、1評価単位については、本件1土地、本件2土地、本件5土地、本件6土地及び本件7土地はそれぞれを1画地として、本件3土地及び本件4土地はこれらを合わせて1画地とした上で、2本件2土地、本件5土地及び本件6土地は広大地に該当するとして評価すべきであり、これらに基づき本件1土地から本件7土地までの各土地を評価通達に従って評価すると、別表3の「審判所認定額」欄記載のとおりとなる(なお、U国税局長が定めた平成24年分財産評価基準書によれば、本件6土地の北側及び東側で接する道路に付された路線価はいずれも1平方メートル当たり32,000円であり、借地権割合はいずれも40%である。)。

 

 

(10) 本件各更正処分の適法性について

 

以上に基づき、請求人らの本件相続税に係る課税価格及び納付すべき税額を計算すると、別表2の「審判所認定額」欄記載のとおりとなり、本件各更正の請求における納付すべき税額をも下回るから、本件各更正処分は、いずれも違法であり、その全部の取消しを免れない。

 

 

(平成28年9月26日裁決)