源泉徴収

 

 

 

 請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約の当事者が、当該子会社ではなく請求人であるとはいえないとした事例

 

 

 

 本件は、原処分庁が、インターネット関連事業を営む法人である審査請求人(以下「請求人」という。)の子会社が複数の外国法人と締結した契約について、民法第667条第1項に規定する組合契約に当たると認定するとともに、当該契約の当事者が当該子会社ではなく請求人であるとして行った法人税及び復興特別法人税の更正処分等並びに源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分等に対し、請求人がその認定に誤りがあるとして同処分等の全部の取消しを求めた事案である。

 

 

 

 

 

(1) 争点1(本件更正処分等及び本件各納税告知処分等の理由付記に不備があるか否か。)について

 

イ 本件更正処分等の理由付記について

 

(イ) 法令解釈

 

 法人税法第130条第2項が、青色申告に係る法人税について更正をする場合に更正通知書に更正の理由を付記すべきものとしているのは、法が、青色申告制度を採用し、青色申告に係る所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨に鑑み、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるとの趣旨に出たものというべきであるから、更正通知書に記載された更正の理由が、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正の理由付記として欠けるところはないと解するのが相当である。

 

(ロ) 当てはめ

 

 これを本件更正処分等の理由付記についてみると、別紙2のとおり記載されており、これによると、

 

1加算項目の(1)において原処分庁が認定した事実が列挙され、

 

当該事実によって請求人がq社の名義を使用して締結した本件○○契約が民法第667条第1項に規定する組合契約に該当すると判断したことが記載され、

 

かつ、組合事業から生ずる利益が分配割合に応じて各組合員に直接帰属することを示した上で、

 

当該認定事実及び判断を前提に請求人の所得金額に加算及び減算する金額の計算過程が記載されているから、

 

原処分庁が本件更正処分等を行うに至った理由が具体的に明示されているといえる。

 

 このように、本件更正処分等の理由付記は、原処分庁による判断結果とその基礎とされた事実関係が具体的に明示され、

 

原処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという趣旨目的を充足する程度に具体的に記載されているものといえるから、

 

法人税法第130条第2項の要求する更正の理由付記として欠けるところはないというべきである。

 

 したがって、本件更正処分等の理由付記に不備はない。

 

 

 

 

 

ロ 本件各納税告知処分等の理由付記について

 

(イ) 法令解釈

 

 行政手続法第14条第1項が、不利益処分をする場合に、その名宛人に、同時にその理由を示さなければならないとしているのは、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものと解されるから、当該処分の理由が、上記の趣旨を充足する程度に処分の理由を具体的に明示するものである限り、同項本文の要求する理由の提示として不備はないものと解するのが相当である。

 

(ロ) 当てはめ

 

 これを本件各納税告知処分等の理由付記についてみると、別紙3のとおり記載されており、これによると、

 

原処分庁が認定した事実が列挙され、当該事実により、

 

1請求人が本件○○契約を締結したこと、

 

2本件○○契約が民法第667条第1項に規定する組合契約に該当すること、

 

3本件○○契約に基づく利益分配金が所得税法第161条第1号の2に規定する国内源泉所得に該当すること、

 

及び

 

4所得税法第212条第5項の規定により請求人に源泉徴収義務があることと判断したことが記載され、

 

かつ、当該認定事実及び判断を前提に請求人が源泉徴収すべき税額及び請求人がこれを行っていないことが記載されており、

 

原処分庁が本件各納税告知処分等を行うに至った理由が具体的に明示されているといえる。

 

 このように、本件各納税告知処分等の理由付記は、原処分庁による判断結果とその基礎とされた事実関係が具体的に明示され、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという行政手続法の趣旨目的を充足する程度に具体的に記載されているものといえる。

 

 したがって、本件各納税告知処分等の理由付記に不備はない。

 

 

(2) 争点2(当初更正処分等を取り消し、処分理由を書き直して本件更正処分等をしたことは、違法か否か。)

 

原処分庁が、更正処分を取り消し、再度更正処分をすることができないとする法令の規定はなく、原処分庁は、適正な課税の確保の実現を図るため、更正処分等の瑕疵を発見したときは、当該瑕疵が実体的なものであれ手続的なものであれ、これを取り消して新たに更正処分をなし得るものと解すべきである。

 

 本件の場合、原処分庁が、当初更正処分等に係る通知書に付記された更正の理由に不備を発見し、当初更正処分等を取り消して、是正した更正の理由を付記して本件更正処分等を行ったことは、瑕疵ある処分を是正したものであり、課税権の濫用をうかがわせる事実は何ら認められないから、違法とは認められない。

 

 

 

(3) 争点3(本件○○契約は、組合契約に当たるか否か。)

 

イ 認定事実

 

 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

 

(イ) 本件○○契約書の第10条に定められたとおり、売上げから「共通経費」を控除して計算された利益が、定められた分配割合により本件契約当事者に分配されていた。

 

(ロ) 上記の利益分配金の計算において売上げから控除される「共通経費」とは、本件○○業務に係る費用のうち、広告費及びサーバー利用料等の本件商材の販売に直接要する費用であり、本件契約当事者が負担する人件費、外注費、事務所賃借料、水道光熱費、通信料等の費用は「共通経費」に含まれていない。

 

ロ 当てはめ

 

 民法第667条第1項は、「組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定し、組合契約が有効に成立するためには、12人以上の当事者の存在、2各当事者が出資をすることを合意したこと、3各当事者が共同の事業を営むことについて合意したことの各要件が必要であると解される。したがって、本件○○契約がこれらの要件を満たすかどうかについて、以下検討する。

 

(イ) 2人以上の当事者の存在

 

 本件○○契約は、上記1の(4)のチのとおり、本件契約当事者の4者により締結された契約であるから、2人以上の当事者が存在するといえる。この点について、原処分庁と請求人の間に争いはない。

 

(ロ) 各当事者が出資をすることを合意したこと

 

 本件○○契約において、本件契約当事者が金銭出資を行う旨の定めはないが、民法第667条第1項にいう「出資」は、金銭に限らず、極めて広い概念であり、金銭はもとより、金銭以外の物、債権、労務などでもよいと解されている。

 

 上記1の(4)のチのとおり、本件○○契約書の第7条では、本件契約当事者が分担する役割が定められ、

 

第3条ないし第6条において本件契約当事者がこれらの役割を果たすことが義務付けられている。

 

また、上記イの(ロ)のとおり、これらの役割を果たすために要する費用は、本件○○業務の利益の計算において売上げから控除される「共通経費」に含まれておらず、

 

本件契約当事者は自らの負担でこれらの役割を果たしていることからすると、

 

本件契約当事者がこれらの役割を果たすことが出資であり、本件○○契約において本件契約当事者が出資に合意しているとみることができる。

 

 

(ハ) 各当事者が共同の事業を営むことについて合意したこと

 

 共同の事業を営むことの合意が認められるためには、「共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意」と、「その事業を共同で営むことについての合意」とを要し、

 

「事業を共同で営む」というためには、各当事者が当該組合の事業の遂行に関与し得る権利をもつこと、及び各当事者が事業の成功に何らかの利害関係を有することが必要であると解される。

 

 

 本件○○契約は、上記1の(4)のチのとおり、本件商材の販売という事業の成功を目的として締結されたものであり、本件契約当事者間に「共同で営む事業の内容についての合意」はあるといえる。

 

 

 また、上記1の(4)のチのとおり、本件○○契約書には、

 

第3条ないし第7条において、本件契約当事者の販売上の権利、義務及び役割が明確に定められているほか、

 

第12条において、本件契約当事者のいずれかの契約違反を理由に契約の解除の申入れができることが定められていることからすれば、

 

本件契約当事者は本件○○業務の遂行に関与し得る権利を有しており、

 

また、第10条では、本件商材の販売による利益を同条第2項に定めた分配率により本件契約当事者に分配することとされていることからすれば、

 

本件契約当事者は本件○○業務の成功に利害関係を有しているといえる。

 

したがって、本件契約当事者間には、「その事業を共同で営むことについての合意」があるといえる。

 

 以上のことから、本件契約当事者が共同の事業を営むことについて合意したと認められる。

 

 したがって、上記(イ)ないし(ハ)のとおり、本件○○契約は、上記1ないし3の全ての要件を満たすことから組合契約に当たる。

 

 

 

 

 

ハ 請求人の主張について

 

(イ) 本件利益分配金について

 

 請求人は、本件利益分配金について、本件契約当事者が果たすべき役割の対価の算定方法として、利益分割法的対価算定方法は一般的に採用される方法であるから、原処分庁が、利益分割法的対価算定方法を採用していることを根拠として、本件契約当事者が果たすべき役割の対価を出資に対する利益分配金であると認定していることは誤りである旨主張する。

 

 しかしながら、上記ロの(ロ)のとおり、本件契約当事者には出資の合意があったと認められることからすると、本件利益分配金は当該出資に対するものとみるのが相当であるから、この点における請求人の主張には理由がない。

 

(ロ) 出資の評価について

 

 請求人は、組合における出資は利益分配割合決定上及び残余財産分配上重要な意味を持つから、本件契約当事者が評価できる形で提供されるはずであり、本件○○契約については、出資が評価された事実がないから出資は行われていない旨主張する。

 

 しかしながら、上記ロの(ロ)のとおり、本件契約当事者には出資の合意があったと認められることからすると、本件利益分配金は当該出資に対するものとみるのが相当であるから、本件利益分配金は出資に対するものであり、本件契約当事者の果たすべき役割である出資を評価した結果が利益分配割合に表れているとみることができる。したがって、請求人の主張には理由がない。

 

(ハ) 組合の事業の遂行に関与し得る権利について

 

 請求人は、組合の事業の遂行に関与し得る権利として、民法第673条に基づく検査権及び同法第672条第2項に基づく解任権を有することが必要である旨主張する。

 

 しかしながら、これらの規定は、組合契約に定めがない場合の補充規定であるから、本件○○契約がこれらの規定に基づく検査権及び解任権を明示的に定めていないとしても、そのことをもって組合契約の該当性を欠くことにはならない。したがって、請求人の主張には理由がない。

 

 

(4) 争点4(請求人は、本件○○契約の契約当事者か否か。)

 

イ 認定事実

 

 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

 

(イ) q社の在籍者は代表者1名であり、名義貸しとアフィリエイト事業を行っている。q社の平成25年10月1日から平成26年9月30日までの事業年度における売上高は○○○○円、所得金額は○○○○円、総資産の額は○○○○円である。

 

(ロ) q社は、役員が1名のみの法人で従業員がおらず事務処理能力がないため、本件業務委託契約を締結して、経理会計業務等を請求人に委託した。

 

(ハ) 請求人代表者は、情報商材販売の業界ではインターネット上の悪意ある書き込みによる風評被害を受けやすいという状況を考慮し、風評被害が請求人に及ばないようにするために、また、一般顧客に対する責任及び義務をq社に帰属させて、請求人に責任及び義務が及ばないようにするために、q社と本件販売名義使用許諾契約を締結した。

 

(ニ) 請求人代表者は、他の事業と同様に、風評被害が請求人に及ばないようにするために、q社の名義で本件商材の販売を行うこととした。本件商材の販売においては、特定商取引に関する法律第11条《通信販売についての広告》に規定する表示義務があり、q社を販売者として表示する必要があったため、本件○○契約の契約者名もq社とし、対外的に、法律的な意味における本件商材の販売者及び本件○○契約の当事者はq社であることを他の契約当事者に了解を得た上で、本件○○契約を締結した。

 

ロ 当てはめ

 

本件○○契約書は、いわゆる処分証書に該当し、作成の真正に争いがないことからすると、他に特段の事情がない限り、作成者によって記載どおりの行為がなされたものと認めるべきである(最高裁昭和45年11月26日第1小法廷判決・集民101号565頁、最高裁昭和32年10月31日判決・民集11巻10号1779頁参照)。

 

 したがって、q社が本件○○契約の販売窓口業務を担当する契約当事者であることを否認する特段の事情の有無を検討するに、まず、q社は代表者1名のみの法人ではあるが、上記イの(イ)のとおり、いわゆるペーパーカンパニーではなくアフィリエイト事業を営む実体のある法人であることが認められ、その法人格を否認する特段の事情は認められない。また、上記イの(ニ)のとおり、本件○○業務における販売名義人をq社とすることを他の契約当事者が合意していることが認められる。

 

 以上の点を考慮すると、本件契約当事者は、本件○○契約の契約当事者の一当事者はq社であるとの意思に基づいて、本件○○契約を締結したと認められるのであって、本件○○契約の文言に反して、あえて契約当事者を請求人であるとする特段の事情があるとは認められない。

 

 これに対し、原処分庁は、本件○○契約の契約当事者が、q社ではなく請求人であることの根拠として、

 

1請求人の従業員が本件○○契約に定められたq社が行うべき経理会計業務及び販売窓口業務を行っていたこと、

 

2本件販売名義使用許諾契約に基づき請求人がq社の販売名義を使用していること、

 

3請求人代表者らが、対外的な販売名義人はq社とするが実際の販売者は請求人である旨を契約当事者間で合意していたと申述したこと、

 

4請求人が本件○○業務の売上げを自社の収益に計上していることを挙げる。

 

 

しかしながら、これらの事実は、いずれも請求人とq社との間で締結された本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約に基づき、本件○○契約に定められたq社が行うべき経理会計業務及び販売窓口業務の全てを請求人が行っていたことに帰着するものである。

 

そして、本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約と本件○○契約とは、契約当事者が異なる別個の契約である。

 

 

 

 上記イの(ロ)のとおり、q社は代表者1名のみの法人であるから本件業務委託契約を締結して、請求人に業務を委託したことに合理的な理由があり、

 

上記1の(4)のヘのとおり業務委託料の支払も行われている。

 

また、本件販売名義使用許諾契約についても、上記1の(4)のトのとおり、名義使用料を支払うことが定められているが、

 

上記イの(ハ)のとおり、本件販売名義使用許諾契約が締結された理由は、インターネット上の悪意ある書き込みによる風評被害が請求人に及ばないようにするため、

 

及び一般顧客に対する責任及び義務をq社に帰属させるためであるから、

 

q社は、当該風評被害のリスク並びに責任及び義務を引き受けることの対価として、名義使用料を収受しているといえる。

 

したがって、本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約の締結には合理的な理由があり、これらの契約の存在を否認する特段の事情は認められない。

 

 

 また、上記で述べたとおり、q社の法人格を否認する特段の事情はなく、

 

本件販売名義使用許諾契約の締結の経緯からも、q社と請求人は、それぞれ別々の法人格を有すると認めることができる。

 

 

 したがって、請求人とq社との間で締結された本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約の存在意義を度外視した上で、法人格を有する異なった当事者間の別々の契約である本件○○契約と本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約をいわば不可分一体のものとみて、本件○○契約の当事者であるq社の存在を否認して、本件○○契約の当事者が請求人であると認定することはできない。

 

 以上のことから、請求人は本件○○契約の契約当事者ではない。

 

 

 

(5) 争点5(請求人は、本件利益分配金に係る源泉徴収義務者に当たるか否か。)

 

所得税法第212条第5項は、国内において組合契約に基づいて行う事業から生ずる利益で当該組合契約に基づいて配分を受ける国内源泉所得については、当該配分をする者を当該国内源泉所得の支払をする者とみなし、源泉徴収義務者とする旨規定している。

 

 また、所得税基本通達212-4は、所得税法第212条第5項に規定する「配分をする者」とは、同法第161条第1号の2に規定する国内源泉所得につき同項に規定する組合契約に基づき共同事業により配分をする者をいうのであるから、その全ての組合員は、同号に規定する利益につき源泉徴収する義務があることに留意する旨定めているところ、この取扱いは、当審判所においても相当と認める。

 

 これを本件についてみると、上記(3)のとおり、本件○○契約は組合契約に当たり、上記(4)のとおり、本件○○契約の契約当事者すなわち組合員は、請求人ではなくq社であると認められる。そうすると、仮に本件利益分配金が国内源泉所得に該当するとしても、本件○○契約から生ずる利益の配分をする者は、請求人ではなく、組合員である本件契約当事者であると認められる。

 

 したがって、請求人は、所得税法第212条第5項に規定する「配分をする者」には該当せず、本件利益分配金に係る源泉徴収義務者には当たらない。

 

(6) 本件更正処分について

 

上記(1)のとおり、本件更正処分の理由付記に不備はなく、また上記(2)のとおり、当初更正処分等を取り消し、処分理由を書き直して本件更正処分等をしたことは違法とは認められない。

 

そして、上記(3)のとおり、本件○○契約は組合契約に当たり、組合契約に基づいて行われる事業から生ずる利益金額又は損失金額は、分配割合に応じて各組合員に直接帰属することとなるから、本件○○業務から生ずる利益のうち、本件○○契約に定められた20%相当額は、一旦q社に帰属する。

 

しかしながら、上記1の(4)のトのとおり、本件販売名義使用許諾契約に係る契約書の第6条において、請求人がq社の名義を使用して発生した売上げ全てを請求人のものとする旨が定められていることから、

 

q社に帰属するとされる本件○○業務から生ずる利益は、請求人に帰属すると認められる。

 

これらに基づき、請求人の本件事業年度の法人税の所得金額及び納付すべき税額並びに本件課税事業年度の復興特別法人税の課税標準法人税額及び納付すべき税額を計算すると、いずれも本件更正処分の金額と同額となるから、本件更正処分は適法である。

 

 

 

 

(7) 本件賦課決定処分について

 

上記(6)のとおり、本件更正処分は適法であり、本件更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定に基づいてされた本件賦課決定処分は適法である。

 

 

 

(8) 本件各納税告知処分について

 

上記(1)のとおり本件各納税告知処分の理由付記に不備はなく、また、上記(3)のとおり、本件○○契約は組合契約に当たるが、上記(4)のとおり、請求人は本件○○契約の当事者ではない。そして、上記(5)のとおり、仮に本件利益分配金が国内源泉所得に該当するとしても、請求人は本件利益分配金に係る源泉徴収義務者には当たらない。

 

 したがって、請求人が本件○○契約の実質的な当事者であり源泉徴収義務者に当たるとしてされた本件各納税告知処分は違法であるから、争点6について判断するまでもなく、その全部を取り消すべきである。

 

 

(9) 本件各賦課決定処分について

 

上記(8)のとおり、本件各納税告知処分はその全部を取り消すべきであるから、本件各賦課決定処分は、その全部を取り消すべきである。

 

(10) その他

 

原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

 

 

(平成28年7月6日裁決)