会計帳簿の閲覧謄写の請求

 

 

 

 

 東京高等裁判所判決/平成26年(ネ)第4543号 、判決 平成28年3月28日、 金融・商事判例1491号16頁について検討します。

 

 

 

 

【判示事項】

 

 

1 会計帳簿の閲覧謄写の請求について請求の理由が具体的であると認められた事例 

 

      

2 会計帳簿の閲覧謄写の請求について請求者に別件訴訟の証拠とするため等の言動があったとしても会社法433条2項1号所定の拒絶事由があるとは認められなかった事例 

 

      

3 会計帳簿の閲覧謄写の請求について請求の理由との関係ですでに必要な会計帳簿等の開示を受けていることを理由に会社法433条2項2号所定の拒絶事由があると認められた事例 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主   文

 

  

1 原判決を次のとおり変更する。

   

(1) 控訴人は、被控訴人に対し、その営業時間内は、いつでも、別紙対象目録記載の会計帳簿を閲覧謄写させよ。

   

(2) 被控訴人のその余の請求を棄却する。

  

 

2 訴訟費用は、第1、2審を通じて、これを2分し、その1を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

 

        

 

 

 

事実及び理由

 

 第1 当事者の求めた裁判

 

1 控訴の趣旨

  

(1) 原判決を取り消す。

  

(2) 被控訴人の請求を棄却する。

 

 

2 控訴の趣旨に対する答弁

  

(1) 本件控訴を棄却する。

  

(2) なお、被控訴人は、当審において、第1審で求めていた閲覧謄写請求の対象につき、原判決別紙目録記載のものから別紙請求目録記載のものに変更し、請求を減縮した。

 

 

 

第2 事案の概要

 

(1) 控訴人は、医薬品の製造及び販売等を目的とする株式会社であり、発行済株式の総数は6万株である。

  被控訴人は、控訴人の株式を4730株有しており、控訴人の発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主である。

  

(2) 本件は、控訴人の100の3以上の数の株式を有する株主である被控訴人が、控訴人に対し、会社法433条1項に基づき、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する事案である。

  

(3) 原審は、被控訴人の控訴人に対する請求を認容し、控訴人が控訴した。

  なお、被控訴人は、原審において、原判決別紙目録記載の会計帳簿等の閲覧謄写を請求していたが、当審において、閲覧謄写請求の対象を、別紙請求目録記載のとおりに変更し、請求を減縮した。

 

 

2 前提事実

  

(1) 控訴人は、医薬品の製造及び販売等を目的とする株式会社であり、発行済株式の総数は6万株である。

  被控訴人は、控訴人の株式を4730株有しており、被控訴人の発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主である(争いがない。)。

  

(2) 控訴人は、被控訴人の父である甲田秋夫(以下「秋夫」という。)が設立した会社である。秋夫とその妻である甲田冬美の子として、長男太郎、長女乙山花子及び二男被控訴人がいる。秋夫及び甲田冬美は既に死亡しており、現在、乙山花子の夫である乙山春夫が控訴人の代表取締役を務め、乙山花子も取締役を務めている。

  

(3) 控訴人の会計年度は、10月1日から翌年9月30日までであり、控訴人には、別紙請求目録記載の会計帳簿が存在する(弁論の全趣旨。ただし、当座預金に係る平成17年9月分の勘定元帳の存否については後記のとおり争いがある。)。

  

(4) 控訴人は、被控訴人に対し、後記争点1についての被控訴人の主張に掲げられた理由アないし理由ウに関して、原審において一部資料を提出したほか、当審においても、9回の弁論準備手続期日を経る間に、被控訴人からの要望等を踏まえて、資料を送付した。その結果、控訴人から被控訴人に対して送付された資料は、別紙送付資料目録記載のとおりである(甲23~25、48~81、乙8~13、16~20、22~27(いずれも枝番のあるものは枝番を含む。))。

 

 

 

3 争点

  (1) 本件の請求の理由は明らかにされているか(争点1)

  (2) 本件の請求の理由と関連性のある会計帳簿等の範囲(争点2)

  (3) 本件の請求に対する拒絶事由の有無(争点3)

  (4) 本件の請求が権利の濫用となるか(争点4)

 

 

4 争点に関する当事者の主張

  

(1) 争点1(本件の請求の理由は明らかにされているか)について

 

 

(被控訴人の主張)

 

  会社法433条1項が請求者に請求の理由を明示することを求めるのは、会社において、請求の理由と関連性のある会計帳簿等の範囲を認識するとともに、同条2項に規定する閲覧拒否事由の存否を判断する資料とするためであるから、その具体性は、上記の要請を充足する程度のものであることを要し、かつ、それで足りると解される。

 

  本件において被控訴人が控訴人の別紙請求目録記載の会計帳簿等の閲覧謄写を請求する理由は、次のとおりである。

 

   

 

(ア) 控訴人は、平成17年3月に関連会社である有限会社丙川(以下「丙川」という。)に対する貸付金4000万円の返済を受けたことになっているが、控訴人の平成16年度の短期貸付金は前年度より減少しているものの、これと未収入金、立替金、仮払金及び貸倒引当金の合計額は前年度とほとんど変わっておらず、帳簿の不正操作が疑われるから、被控訴人は、株主として、会計帳簿等を確認して、不正を明らかにするとともに、帳簿を操作した役員に対し責任追及を行う必要がある(以下、この理由を「理由ア」という。)。

    

(イ) 控訴人代表者の妻であり、控訴人の取締役でもある乙山花子は、控訴人が平成17年3月頃に資金繰りに窮しており、丙川に対する貸付金4000万円の返済を受けることが必要であったと述べている。また、この金員の振込みに関与したA銀行の担当者は、返済を受ける際に控訴人において新規に本件普通預金口座を開設し、この口座は丙川の管理をしていくための専用の口座であると聞いていると述べている。そして、同年4月14日本件普通預金口座から控訴人の当座預金口座に2000万円が移動され、また、控訴人の当座預金口座から丙川に対して、同年1月から8月までの間に774万4774円が支出され、同年10月から平成18年8月までの間に1756万8145円が支出されている。

 

  これらのことを踏まえると、丙川から控訴人に返済された4000万円は、そのうち一部が本件普通預金口座から当座預金口座に送金されて、さらに丙川に再び送金されていることからすれば、乙山花子によって丙川の口座から現金等による引出しがされたことが推測され、また、同様に、控訴人の当座預金口座から関連会社である株式会社甲田に送金され、乙山花子によって株式会社甲田の口座から現金等による引出しがされたことも推測される。

   

イ 控訴人の平成16年度以降の決算書の地代家賃及び賃借料の項目をみると、金額の急激な上昇とその後の上昇傾向、更にその後の下降がみられ、極めて不自然であり、他方、控訴人代表者は、その所有する自宅の一部を控訴人に店舗として賃貸しており、自宅を不当に高く控訴人に貸し付けて利益を得ていた可能性が疑われるから、被控訴人は、株主として、不正を正し、役員の責任追及を行う必要がある(以下、この理由を「理由イ」という。)。

   

 

(ア) 控訴人代表者及びその妻で控訴人の取締役である乙山花子は、平成18年9月以降、控訴人に対し有利子の貸付けを行い、利益相反取引を行っているところ、これについての控訴人の取締役会の承認の手続は、被控訴人から利益相反取引である旨の指摘を受けた後である平成25年7月8日に開催された取締役会において執られたにすぎないのであり、他にも、控訴人代表者、乙山花子又はその他の取締役と控訴人との間の利益相反取引が行われていることが推認される。被控訴人は、株主として、貸付けの必要性を調査し、不必要な貸付けがある場合には役員に対して責任を追及する必要があり、さらに、役員との利益相反取引の有無を確認し、不必要な取引があれば、役員に対して責任を追及する必要がある(以下、この理由を「理由ウ」という。)。

   

(イ) 控訴人の期末の現金・預金残高をみると次のとおりであり、控訴人は資金繰りに窮している状況にはない。

  平成16年9月末 1億6704万8494円

  平成17年9月末 2億0386万0600円

  平成18年9月末 1億8317万5396円

  平成19年9月末 1億5638万8928円

  平成20年9月末 1億3408万5831円

  平成21年9月末 1億2586万5844円

  平成22年9月末 1億5863万4066円

  平成23年9月末 1億3910万6632円

 

  このような状況で役員から有利子で貸付けをする必要はないにもかかわらず、控訴人代表者及び乙山花子は、有利子で貸付けを行っている。

 

 

 

 

 

(控訴人の主張)

 

  会社法433条1項柱書後段は、会計帳簿等閲覧謄写請求を利用した調査が容易に認められると、会社の営業に支障が生ずるだけでなく、営業秘密の漏洩、閲覧株主による会計情報の不正利用等の危険が大きくなることに鑑み、株主に対し、会計帳簿等閲覧謄写請求に際して請求する具体的な理由の明示を求めている。

 

  また、請求の理由に具体的な記載が必要とされるのは、それによって会社が閲覧謄写に応ずる義務の存否及び閲覧謄写させるべき帳簿等の範囲を判断できるようにするとともに、株主等による探索的・証拠漁り的な閲覧等を防止し、株主等の権利と会社の経営の保護とのバランスを確保する趣旨であるから、請求の理由は、客観的にみて相当の合理性を有することが必要である。

 

  ところが、被控訴人が主張する請求理由は、いずれも抽象的な疑いにすぎず、また、客観的にみて相当の合理性を有するものともいえないから、本件請求については、請求の具体的な理由が明示されていると評価することはできない。

  

 

 

 

(2) 争点2(本件の請求の理由と関連性のある会計帳簿等の範囲)について

 

(被控訴人の主張)

  別紙請求目録記載の会計帳簿は、本件の請求の理由との関連性のあるものである。

 

(控訴人の主張)

  被控訴人の主張は争う。

  

 

 

(3) 争点3(本件の請求に対する拒絶事由の有無)について

 

 

(控訴人の主張)

   

ア 被控訴人の請求の目的は、被控訴人が乙山花子を相手方として提起した株券引渡請求訴訟(以下「別件訴訟」という。)で用いるための材料探しであり、被控訴人は、株主権の確保又は行使に関する調査以外の目的で会計帳簿等の閲覧謄写請求を行っているから、会社法433条2項1号に該当する。なお、会計帳簿等の閲覧謄写請求は、株主の権利行使のために必要な情報の確保を図ることを可能にすることにあるから、これにより株式の帰属を確認するというのは本末転倒である。

   

イ 被控訴人の請求は、合理性のない疑惑を作り挙げて控訴人に多大な労力とコストをかけさせるものであり、控訴人の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害することを目的とする請求であって、会社法433条2項2号に該当する。

   

 

(ア) 被控訴人は、これまでに、控訴人から別紙送付資料目録記載の各資料の送付を受けており、これらによって、本件の会計帳簿等の閲覧謄写請求の理由と関連性のある資料を入手しているといえるから、それにもかかわらず、更に閲覧謄写を求める被控訴人の本件の請求は、会社法433条2項1号又は同項2号に該当するというべきである。被控訴人の主張する理由ごとにみると、次のとおりである。

    

(イ) 被控訴人の主張する理由アは、要するに、乙山花子において、丙川から控訴人に貸付金の返済として送金された4000万円を横領したとの疑惑を解明するためというものである。

 

  そこで、控訴人は、まず、資料Ⅰ①ないし資料Ⅰ③を送付して、丙川から控訴人に返済された4000万円が控訴人の財産として本件普通預金口座に入金されたことを示し、次に、同資金が本件普通預金口座から当座預金口座に移った後の相当期間に該当する第41期(平成16年10月~平成17年9月)及び第42期(平成17年10月~平成18年9月)の当座預金に係る元帳の写しである資料Ⅰ④及び資料Ⅰ⑥を送付した。出金が問題とされていることから、資料Ⅰ④及び資料Ⅰ⑥に係る当座預金に係る元帳の入金部分はマスキングしている。

  なお、当座預金に係る総勘定元帳の写しについて平成17年9月分がない(資料Ⅰ④は、同部分を除く第41期の当座預金に係る総勘定元帳の写しである。)のは、期末の決算月で確定するまで数か月かかるところ、印刷を失念している間に元帳として綴じてしまい、その後、会計システムを変更した結果、出力することができないためである。そして、これに係る電磁的記録自体は現存しない。控訴人は、これに代わるものとして、資料Ⅰ⑦を送付している。

 

  さらに、被控訴人から元帳の科目欄に「諸口」として処理されているものが多いとの指摘を受けたので、上記返済金から当座預金口座に2000万円が振り込まれた平成17年4月14日以降の出金であり、かつ、金額が大きめの「諸口」である同日付の30万2232円と同月15日付けの485万0321円について、当座勘定取引照合表及び関係する小切手の耳及び振込受付書(資料Ⅰ⑦及び資料Ⅰ⑧の一部、資料Ⅰ⑨)を送付した。その上で、被控訴人が問題とする「諸口」としての処理(甲34、35)のうち金額が100万円以上の部分について、出金内容が明示された当座勘定取引照合表、同表中の「フリコミカワリキン」に係る振込受付書、同表中の振出小切手及び振出手形の各耳部分を開示した(資料Ⅰ⑦及び資料Ⅰ⑧の一部、資料Ⅰ⑩)。なお、100万円以上の諸口にしたのは、4000万円を100万円未満に分けて横領することは常識的にあり得ず、また、100万円未満のものまで資料をそろえるとすれば、控訴人の労力があまりにも過大なものとなるからである。

 

  以上のとおり、控訴人は、理由アと関連し得る資料は既に開示したといえるのであり、更なる閲覧謄写を求める被控訴人の請求には、会社法433条2項1号及び同項2号に該当する事由がある。

 

    

(ウ) 被控訴人の主張する理由イは、要するに、控訴人代表者が自宅を店舗として控訴人に高く賃貸して暴利を得ているとの疑惑を解明するためというものである。

 

  そこで、控訴人は、控訴人代表者と控訴人との間の賃貸借契約書(資料Ⅱ①及び資料Ⅱ②)を送付し、さらに、賃料の上昇等を問題視する被控訴人の指摘への対応として、第40期ないし第50期(平成15年10月1日~平成26年9月30日)の控訴人において支払った賃借料に係る元帳を開示した(資料Ⅱ③~資料Ⅱ⑦)。

  以上のとおり、控訴人は、その支払っている賃借料に係る元帳等を全て開示しており、更なる閲覧謄写を求める被控訴人の請求には、会社法433条2項1号及び同項2号に該当する事由がある。

 

    

(エ) 被控訴人の主張する理由ウは、要するに、控訴人代表者及び乙山花子が不当に高い金利(年利2%)で控訴人に資金を貸し付けて暴利を得ているとの疑惑を解明するためというものである。

 

  そこで、控訴人は、控訴人代表者及び乙山花子が年利2%で行った控訴人代表者と控訴人との間の金銭消費貸借に関して、貸付金の交付時期、元本の返済及び利息の支払金額並びに支払時期を明らかにした帳簿等の写しを交付し(乙4の2)、その後、平成18年10月1日から平成25年9月30日までの借入金及び支払利子の内訳書(資料Ⅲ①)を送付し、控訴人の長期借入金及び短期借入金の元帳のうち、控訴人が控訴人代表者及び乙山花子から借入れをしていた期間が網羅されている平成18年10月1日から平成22年9月30日までのもの(資料Ⅲ②~資料Ⅲ⑤、資料Ⅲ⑦~資料Ⅲ⑩)を開示したほか、長期借入金の推移を視覚的に理解できる図表(資料Ⅲ⑥)をも送付した。

 

 

 

(被控訴人の主張)

   

ア 本件の請求の理由は、被控訴人において、株主として、控訴人の役員の不正を正すことであり、会社法433条2項1号に該当しない。

 

  仮に、本件の請求が、別件訴訟の証拠収集のみを目的とするものであったとしても、別件訴訟は、被控訴人が株券の返還を受け、被控訴人の控訴人における株主の地位を確保することを目的の一つとするものであるから、自己の株主権の確保のために本件請求を行っていることになり、会社法433条2項1号に該当しない。

   

イ 被控訴人は、株主としての正当な権利を主張しているにすぎず、被控訴人の請求が、控訴人の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害することを目的とするものではない。

   

ウ 被控訴人は、送付を受けた資料の内容の不当性を述べているのではなく、また、被控訴人において製薬会社を経営しているものでもないから、控訴人の会計情報を不正利用するなどの動機を持つこともあり得ない。

   

エ 被控訴人は、これまでに、控訴人から、別紙送付資料目録記載のとおり資料の送付を受けた。

  しかしながら、送付された資料には、次のような問題があり、これによっても、今回の請求に係る会計帳簿等を開示したとはいえないから、更に別紙請求目録記載の会計帳簿の閲覧謄写を請求することが会社法433条2項1号又は同項2号に該当するものではない。

 

    

(ア) 控訴人の総勘定元帳には、相手勘定科目を「諸口」とする処理が多く、会計処理が不明瞭となっており、対応する各勘定項目の元帳が開示されていない以上、結局開示したことにならない。

    

(イ) 開示された資料のほとんどが大部分マスキングされている状態であり、記載内容が不明である。

    

(ウ) 取り分け、理由アについては、貸付金の返済として受領した4000万円の出金を明らかにしたのみでは、その使途が不明であり、理由アに対する閲覧謄写請求に対する開示として十分でない。

    

(エ) また、資料Ⅰ④のうち当座預金に係る総勘定元帳の写しについては、平成17年9月分がない。控訴人は、これについて電磁的記録自体が現存しないと主張するが、同月分のみ存在しないことなどあり得ない。仮にないのであれば、他の勘定項目に係る勘定元帳を開示すべきである。

    

(オ) 資料Ⅰ⑦と、対応する月の当座預金元帳とを対照すると、日付や金額に食い違いがあり、単なる記帳の遅れなどでは説明ができない相違があり、当座預金元帳についても開示されたとは評価し得ない。そして、資料Ⅰ⑦のうち、平成17年9月の当座勘定取引照合表については、同月1日の残高が228万8472円であるところ、同年8月31日の残高607万5770円からの約380万円の出金について何ら示されていない。また、同年9月30日までに、約5154万円の出金があり、約7890万円の入金があるところ、これらの内訳が全く提出されていないことになる。

  

 

 

(4) 争点4(本件の請求が権利の濫用となるか)について

 

(控訴人の主張)

  本件の請求は、別件訴訟の材料収集であるから、会社法上認められた会計帳簿等の閲覧謄写請求の趣旨に著しく反するものであり、権利の濫用である。

 

(被控訴人の主張)

  本件の請求は全て理由があるものであり、権利の濫用に当たらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3 当裁判所の判断

 

1 当裁判所は、被控訴人の請求は別紙対象目録記載の会計帳簿の閲覧謄写を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却することが相当であると判断する。その理由は、次項以下のとおりである。

 

 

2 争点1(本件の請求の理由は明らかにされているか)について

 

(1) 会社法433条1項に基づく会計帳簿等の閲覧謄写請求をする株主等は、その理由を具体的に記載しなければならない(最高裁平成15年(受)第1104号同16年7月1日第一小法廷判決・民集58巻5号1214号参照)。

 

そして、株主等に理由を具体的に記載させるのは、請求を受けた会社が閲覧等に応ずる義務の存否及び閲覧させるべき会計帳簿等の範囲を判断できるようにするとともに、株主等による探索的・証拠漁り的な閲覧等を防止し、株主等の権利と会社の経営の保護とのバランスをとることにあると解されるから、違法な経営が行われているとの疑いを調査するために上記請求をする場合には、具体的に特定の行為が違法又は不当である旨を記載すべきであると解される。

  

 

(2) 被控訴人の主張する理由アは、控訴人が丙川に対する貸付金4000万円の返済を受け、平成16年度の短期貸付金は減少したものの、これと未収入金、立替金、仮払金及び貸倒引当金の合計額は前年度とほとんど変わっておらず、帳簿の不正操作が疑われるというものであるところ、

 

このことのみでは、上記返済を受けた以降の全ての資金の流れを把握するというに等しく、違法又は不当であるとする行為が具体的に特定されているとはいい難い。

 

もっとも、被控訴人は、丙川から控訴人に返済された4000万円は、そのうち一部が本件普通預金口座から当座預金口座に送金されて、さらに丙川に再び送金されていることを踏まえ、乙山花子によって丙川の口座から現金等による引出しがされたことが推測され、また、同様に、控訴人の当座預金口座から関連会社である株式会社甲田に送金され、乙山花子によって株式会社甲田の口座から現金等による引出しがされたことも推測される旨主張しており、

 

控訴人からその関連会社である丙川及び株式会社甲田に対して不必要又は不適切な財貨の移動がされていないかを確認する必要があることを理由として主張しているものと解される。

 

そうすると、被控訴人の主張する理由アは、丙川から控訴人に返済された4000万円の資金について丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動を通じた不正会計処理という限度において、控訴人の取締役らの問題とする行為を具体的に特定していると解することができる。

 

  そうすると、控訴人から丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動を確認する旨の理由は、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する理由として具体性に欠けるところはないと認められる。

 

  

(3) 被控訴人の主張する理由イは、控訴人代表者において、その所有する自宅の一部を控訴人に店舗として不当に高く賃貸して利益を得ていた可能性が疑われ、責任追及を行う必要があるというものであり、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する理由として具体性に欠けるところはない。

 

  被控訴人は、また、平成16年度以降の決算書における地代家賃及び賃借料の金額について急激な上昇とその後の上昇傾向、更にその後の下降がみられ、極めて不自然である旨を主張するところ、控訴人の平成16年度以降の地代家賃及び賃借料の負担が適正であるか否かを明かにするというものであると善解することができ、この限度で具体的な請求理由を主張するものと認めることができる。

  

(4) 被控訴人の主張する理由ウは、控訴人代表者及び乙山花子から控訴人に対する有利子の貸付けの相当性や平成18年9月以降の取締役の利益相反取引の有無を明らかにするというものであり、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する理由として具体性に欠けるところはない。

 

 

3 争点2(本件の請求の理由と関連性のある会計帳簿等の範囲)について

 

(1) 株主等による会計帳簿等の閲覧謄写請求は、請求に当たっての理由の明示が要件とされていることからすれば、請求理由と関連性のある範囲の会計帳簿等に限って認められると解される。

  そこで、前記2の判断を踏まえ、被控訴人の閲覧謄写請求の理由と関連性のある会計帳簿等の範囲について検討する。

  

(2) 理由アについては、前記2(2)のとおり、丙川から控訴人に対する4000万円の返済の使途に関連するものとして、控訴人から丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動を確認するというものであるところ、返済された4000万円が入金された控訴人のA銀行の普通預金口座から、平成17年4月14日に2000万円、平成18年4月12日に1500万円、同年5月18日に300万円、同年7月20日に200万円が同銀行の当座預金口座に入金されていること(乙8)を踏まえれば、被控訴人の主張する理由アと関連性のある会計帳簿等の範囲は、被控訴人が求める別紙請求目録記載のもののうち、4000万円の貸付金の返済を受けた平成17年3月から平成18年9月30日までの間の丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動に係る部分であると認められる。

 

  被控訴人は、平成17年3月より前の期間及び平成18年10月1日以降の期間の会計帳簿の閲覧謄写を求めるが、理由アが上記貸付金の返済金の使途に係る疑問を内容とするものであり、返済された4000万円が振り込まれた普通預金口座から平成18年7月20日までの間に同金額が当座預金口座に入金されたことからすれば、平成17年3月より前の期間及び平成18年10月1日以降の期間の会計帳簿は、理由アとの関連性を欠くというべきである。

 

  また、被控訴人は、控訴人の丙川及び株式会社甲田からの財貨の移動に係る部分も求めるが、丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動の確認という理由アからすれば、控訴人への財貨の移動について関連性を認めることはできない。

 

  さらに、乙山花子、乙山春夫、A銀行、B信用金庫、F銀行、C、有限会社D及び甲田冬美との財貨の移動に関する部分については、理由アにおいて具体的な主張がなく、理由アとの関連性を認めることはできない。

  

(3) 理由イについては、前記2(3)のとおり、控訴人代表者の控訴人に対する建物賃貸に係る家賃の不当性を確認するというもの及び控訴人の平成16年度以降の地代家賃及び賃借料の負担が適正であるか否かを明かにするであるから、これと関連する会計帳簿の範囲は、別紙請求目録記載のもののうち、地代家賃及び賃借料に関する部分であると認められる。

  

(4) 理由ウは、前記2(4)のとおり、控訴人代表者及び乙山花子から控訴人に対する有利子の貸付けの相当性並びに平成18年9月以降の取締役の利益相反取引の有無を確認するというものであるところ、有利子の貸付けがされていたことを踏まえた理由であることからすれば、理由ウと関連する会計帳簿の範囲は、被控訴人の求める別紙請求目録記載のもののうち、控訴人代表者及び乙山花子から控訴人に対する貸付けに関する部分であると認められる。

 

 

 

 4 争点3(本件の請求に対する拒絶事由の有無)及び争点4(本件の請求が権利の濫用となるか)について

 

(1) 控訴人は、本件の請求の目的が別件訴訟で用いるための材料探しであり、株主権の確保又は行使に関する調査以外のところにある旨を主張する。

 

  この点、被控訴人は、本件訴訟に先だって会計帳簿閲覧請求仮処分申立事件(以下「仮処分事件」という。)を申し立て、保全の必要性を基礎付ける事情として、別件訴訟への証拠提出の必要性があることを主張し、また、別件訴訟において文書提出命令等の申立てを行い、これが却下された直後頃に仮処分事件を申し立てたことが認められる(乙1、2)が、被控訴人は、仮処分事件において、控訴人の取締役の責任追及の準備や取締役の利益相反取引の有無を調査する必要などをも主張していた(乙2)のであり、そうであれば、本件の請求の目的が別件訴訟で用いるための材料探しであると直ちにいうことはできないし、他にこれを認めるに足りる証拠もない。

 

  したがって、控訴人の上記の主張は採用することができない。

 

  

(2) 控訴人は、本件の請求が、合理性のない疑惑を作り上げて控訴人に多大な労力とコストをかけさせるものであり、控訴人の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害することを目的とするものである旨主張するが、本件の請求の理由として被控訴人の述べるところは前記のとおりであり、これ自体が合理性のない疑惑を作り上げて控訴人に多大な労力とコストをかけさせるものであることを推認させるものではないから、控訴人の上記主張は採用することができない。

 

  

(3)

 

ア もっとも、控訴人は、被控訴人の主張する閲覧謄写を求める理由に鑑みれば、被控訴人において原審及び当審で控訴人から送付を受けた資料によりその目的は達せられるとして、更なる会計帳簿等の閲覧謄写を求める被控訴人の請求は会社法433条2項1号及び同項2号に該当する旨を主張するので、この点について検討する。

   

 

 

(ア) 前記のとおり、被控訴人の主張する理由アに関連する会計帳簿は、被控訴人が求める別紙請求目録記載のもののうち、平成17年3月から平成18年9月30日までの間の丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動に係る部分であるところ、被控訴人は、既に、資料Ⅰ④及び資料Ⅰ⑥として、本件普通預金口座から4000万円が入金されたA銀行の当座預金口座に係る平成17年3月1日から平成18年9月30日までの期間(第41期及び第42期、ただし、平成17年9月分を除く。)の当座預金元帳写しの送付を受けており、その他、資料Ⅰ⑦、資料Ⅰ⑧及び資料Ⅰ⑩として、この期間に係る当座預金元帳写しのうち、相手勘定項目が「諸口」とされ、出金合計額が100万円以上のものについての当座勘定取引照合表写し並びに同照合表中の「フリコミカワリキン」に係る振込受付書の写し、振出小切手の耳の写し及び振出手形の耳の写しの送付を受けていることからすれば、送付を受けた上記資料の範囲で、理由アとの関係で必要となる会計帳簿の内容については開示を受けたと認められるというべきであり、更に他の会計帳簿の閲覧謄写を求めることは、不必要に多数の会計帳簿の閲覧謄写を求めるものと認められ、控訴人の業務の遂行を妨げるものとして会社法433条2項2号に該当すると解される。

 

  もっとも、上記のとおりに送付を受けた資料によっても、控訴人の定期積金、定期預金及び普通預金の各口座から丙川及び株式会社甲田に対する資金の移動に関する部分については開示されているということはできない。そして、平成17年9月の当座預金元帳については、現存していることを認めるに足りる証拠はなく、これについて閲覧謄写を求めることはできないと解されるところ、それに代わるものとして送付された同月分のA銀行の当座勘定取引照合表の写し(資料Ⅰ⑦の一部、甲68)では、少なくない金額が手形や振り込み代わり金として出金されていることが認められる(同月15日の手形405万6942円、同日の振り込み代わり金1828万3559円など)ものの、その内訳を示す振込受付書、振出手形の耳などは開示されていない。したがって、平成17年3月1日から平成18年9月30日までの期間についての定期積金元帳、定期預金元帳及び普通預金元帳の丙川及び株式会社甲田に対する資金の移動に関する部分並びに平成17年9月1日から同月30日までの期間についての現金元帳、売掛金元帳、長期貸付金元帳、短期貸付金元帳及び立替金元帳の丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動に関する部分については、会社法433条2項2号に該当しないと解される。

    

 

(イ) 被控訴人は、①控訴人の総勘定元帳には、相手勘定科目を「諸口」とする処理が多く、会計処理が不明瞭となっており、対応する各勘定項目の元帳が開示されていない以上、結局開示したことにならない、②開示された資料のほとんどが大部分マスキングされている状態であり、記載内容が不明である、③貸付金の返済として受領した4000万円の出金を明らかにしたのみでは、その使途が不明である、④平成17年9月分の当座預金に係る勘定元帳が存在しないというのは不自然であり、存在しないのであれば他の項目の勘定元帳が開示されるべきである、⑤A銀行の当座勘定取引照合表は、対応する月の当座預金元帳と日付や金額に食い違いがあり、これをもって当座預金元帳の開示がされたとはいえないし、また、平成17年9月の当座勘定取引照合表では出金の内訳が不明であり、結局、送付を受けた資料では理由アに対する閲覧謄写請求に対する開示として十分でないと主張する。

 

  しかしながら、①については、資料Ⅰ⑦、資料Ⅰ⑧及び資料Ⅰ⑩の送付を受け、必要な情報についての開示を受けたと認められることは前記のとおりであり、②については、マスキングが施されているのが理由アと関連しない入金に係る部分であることからすれば、いずれも採用することができない。③についても、本件の請求の理由の具体性に係る前記の検討のとおり、前提となっている請求の理由に具体性を欠くことからすれば、採用することはできない。④については、前後の時期の会計帳簿を開示している状況からすれば、平成17年9月分の当座預金に係る勘定元帳のみを秘匿するのは不自然であり、他に、これが現存しないことが不合理であるというべき事情も認められないのであって、現存すると認めるに足りないことは前記のとおりである。⑤についても、資料Ⅰ⑦及び資料Ⅰ⑧のとおり、同年1月1日から平成18年9月30日までのA銀行当座預金口座に係る当座勘定取引照合表の写し及び一定の振込受付書についても送付を受けており、当座預金元帳については、前記のとおり、平成17年9月1日から同月30日までのものを除き、同等の資料の開示を受けているというべきであって、被控訴人において指摘する事情は、記録内容についての信用性に関するものといわざるを得ない。

   

 

ウ 被控訴人の主張する理由イと関連性が認められる範囲は、別紙請求目録記載のもののうち、地代家賃及び賃借料に関する部分であるところ、控訴人は、既に、資料Ⅱ①ないし資料Ⅱ⑦の送付を受けていることからすれば、更なる閲覧謄写請求は必要性がないものについての請求であると認められ、そうであれば、これに係る請求は会社法433条2項2号に該当すると解される。

   

エ 被控訴人の主張する理由ウと関連性が認められる範囲は、別紙請求目録記載のもののうち、控訴人代表者及び乙山花子から控訴人に対する貸付けに関する部分であるところ、被控訴人は、既に、資料Ⅲ①ないし資料Ⅲ⑩の送付を受けていることからすれば、これらによって、理由ウと関連して必要となる資料の開示は受けたと認められるから、それ以上の閲覧謄写請求は必要性がないものについての請求であると認められ、そうであれば、これに係る請求は会社法433条2項2号に該当すると解される。

 

5 小括

  以上をまとめると、本件請求のうち、被控訴人の請求し得る会計帳簿の範囲は、別紙対象目録記載のとおりであると認められる。

 

6 よって、被控訴人の請求は、別紙対象目録記載の会計帳簿の閲覧謄写を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は棄却すべきであるところ、原判決別紙目録記載の会計帳簿の閲覧謄写の請求を全部認容した原判決は一部失当であって、本件控訴は一部理由があるから、原判決を本判決第1項のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。

 

  裁判長裁判官 永野厚郎

     裁判官 山本剛史 山田真紀

 

 

 

 

(別紙)対象目録

 

1 平成17年3月1日から平成18年9月30日までの期間についての定期積金元帳、定期預金元帳及び普通預金元帳のうち、有限会社丙川及び株式会社甲田に対する資金の移動に関する部分

 

2 平成17年9月1日から同月30日までの期間についての現金元帳、売掛金元帳、長期貸付金元帳、短期貸付金元帳及び立替金元帳のうち、有限会社丙川及び株式会社甲田に対する財貨の移動に関する部分

 

                              以上

 

 

(別紙)請求目録

 

  平成16年10月1日から平成25年9月30日までの総勘定元帳の次の勘定元帳のうち、有限会社丙川、株式会社甲田、乙山花子、乙山春夫、A銀行、B信用金庫、F銀行、C、有限会社D及び甲田冬美との金銭財貨の移動に関する部分

 

  (1) 現金元帳

  (2) 売掛金元帳

  (3) 売掛金元帳

  (4) 長期借入金元帳

  (5) 長期貸付金元帳

  (6) 短期借入金元帳

  (7) 短期貸付金元帳

  (8) 立替金元帳

  (9) 当座預金元帳

  (10) 定期積金元帳

  (11) 定期預金元帳

  (12) 普通預金元帳

  (13) 未払金元帳

  (14) 未収入金元帳

                              以上

 

 

(別紙)送付資料目録

 

 

Ⅰ 理由アに関する資料

  

① 控訴人の株式会社A銀行(以下「A銀行」という。)普通預金口座(店番号〈略〉、口座番号〈略〉)(以下「本件普通預金口座」という。)の通帳写し(平成17年3月1日の取引から平成19年6月4日の15万7500円の払戻しに係る取引を記帳した頁)(乙8)(以下「資料Ⅰ①」という。)

  

② 控訴人の丙川に対する平成16年度の短期貸付金に係る補助元帳のうち、平成16年10月から平成17年7月までの部分の写し(乙9)(以下「資料Ⅰ②」という。)

  

③ 控訴人のA銀行普通預金に係る補助元帳のうち、平成16年4月部分の写し(乙10)(以下「資料Ⅰ③」という。)

  

④ 控訴人の当座預金に係る総勘定元帳のうち第41期(平成16年度)のものの写し(ただし、出金部分のみ。また、当座預金に係る総勘定元帳のうち平成17年9月分を除く。)(甲25、乙17)(以下「資料Ⅰ④」という。)

  

⑤ 控訴人のA銀行普通預金に係る総勘定元帳のうち第41期(平成16年度)のものの写し(ただし、出金部分のみ)(甲25、乙17)(以下「資料Ⅰ⑤」という。)

  

⑥ 控訴人のA銀行当座預金に係る総勘定元帳のうち第42期(平成17年度)のものの写し(ただし、出金部分のみ)(甲25、乙17)(以下「資料Ⅰ⑥」という。)

  

⑦ 平成17年1月1日から平成18年9月30日までの間の控訴人のA銀行当座預金口座に係る当座勘定取引照合表の写し(ただし、④ないし⑥において「諸口」とされた出金のうち出金合計額が100万円を超えるものなど)(甲49、60~81、乙18)(以下「資料Ⅰ⑦」と総称する。)

  

⑧ 平成17年1月1日から平成18年6月30日までの間の控訴人のA銀行当座預金口座に係る振込受付書の写し(ただし、資料Ⅰ⑦のうち、振り込み代わり金(「フリコミカワリキン」と表示されているもの)に関するもの)(甲49、60~78、乙18、20の1~20の18)(以下「資料Ⅰ⑧」と総称する。)

  

⑨ 控訴人において平成17年4月13日に発行した30万2232円の小切手の耳の写し(甲49、乙18)(以下「資料Ⅰ⑨」という。)

  

⑩ 資料⑦に示された小切手又は手形の振出しに係る出金⑧のうちの振出小切手の耳・振出手形の耳の写し(乙19、20の1~20の21)(以下「資料Ⅰ⑩」と総称する。)

 

 

Ⅱ 理由イに関する資料

  

① 店舗賃貸借契約書写し(控訴人代表者所有の建物の一部を控訴人に賃料月額5万円で賃貸する旨の平成18年6月1日付けのもの)(乙11)(以下「資料Ⅱ①」という。)

  

② 店舗賃貸借契約書写し(控訴人代表者所有の建物の一部を控訴人に賃料月額10万円で賃貸する旨の平成21年11月1日付けのもの)(乙12)(以下「資料Ⅱ②」という。)

  

③ 控訴人の賃借料に係る総勘定元帳のうち第40期(平成15年度)のものの写し(甲24の1、乙17)(以下「資料Ⅱ③」という。)

  

④ 控訴人の賃借料及び地代家賃に係る総勘定元帳のうち第41期(平成16年度)のものの写し(甲24の2、乙17)(以下「資料Ⅱ④」という。)

  

⑤ 控訴人の賃借料及び地代家賃に係る総勘定元帳のうち第42期(平成17年度)のものの写し(甲50、乙18)(以下「資料Ⅱ⑤」という。)

 

⑥ 控訴人の賃借料及び地代家賃に係る総勘定元帳のうち第43期(平成18年度)のものの写し(甲51、乙18)(以下「資料Ⅱ⑥」という。)

  

⑦ 控訴人の地代家賃・賃借料に係る総勘定元帳のうち第44期(平成19年度)から第50期(平成25年度)までのものの写し(甲52~58、乙18)(以下「資料Ⅱ⑦」という。)

 

 

Ⅲ 理由ウに関する資料

  

① E税理士事務所作成に係る借入金及び支払利子の内訳書写し(平成18年10月1日から平成25年9月30日までのもの)(乙13)(以下「資料Ⅲ①」と総称する。)

  

② 控訴人の長期借入金に係る総勘定元帳のうち第43期(平成18年度)のものの写し(ただし、乙山春夫及び乙山花子に係る部分のみ)甲23、乙17)(以下「資料Ⅲ②」という。)

  

③ 控訴人の長期借入金に係る総勘定元帳のうち第44期(平成19年度)のものの写し(ただし、乙山春夫及び乙山花子に係る部分のみ)甲23、乙17)(以下「資料Ⅲ③」という。)

 

④ 控訴人の長期借入金に係る総勘定元帳のうち第45期(平成20年度)のものの写し(ただし、乙山春夫及び乙山花子に係る部分のみ)甲23、乙17)(以下「資料Ⅲ④」という。)

  

⑤ 控訴人の長期借入金に係る総勘定元帳のうち第46期(平成21年度)のものの写し(ただし、乙山春夫及び乙山花子に係る部分のみ)甲23、乙17)(以下「資料Ⅲ⑤」という。)

  

⑥ 控訴人作成の長期借入金一覧表(乙22、27)(以下「資料Ⅲ⑥」という。)

  

⑦ 控訴人の短期借入金・長期借入金に係る総勘定元帳のうち第43期(平成18年度)のものの写し(マスキングのないもの)(乙23の1、23の2、27)(以下「資料Ⅲ⑦」と総称する。)

  

⑧ 控訴人の短期借入金・長期借入金に係る総勘定元帳のうち第44期(平成19年度)のものの写し(マスキングのないもの)(乙24の1、24の2、27)(以下「資料Ⅲ⑧」と総称する。)

  

⑨ 控訴人の短期借入金・長期借入金に係る総勘定元帳のうち第45期(平成20年度)のものの写し(マスキングのないもの)(乙25の1、25の2、27)(以下「資料Ⅲ⑨」と総称する。)

  

⑩ 控訴人の短期借入金・長期借入金に係る総勘定元帳のうち第46期(平成21年度)のものの写し(マスキングのないもの)(乙26の1、26の2、27)(以下「資料Ⅲ⑩」と総称する。)

                              

以上