他に連帯保証人がある旨の債務者の言

 

 

 

 

 

 最高裁判所第1小法廷判決/昭和31年(オ)第223号、判決 昭和32年12月19日、 最高裁判所民事判例集11巻13号2299頁について検討します。

 

 

 

 

 

【判決要旨】 他に連帯保証人がある旨の債務者の言を誤信した結果、連帯保証をした場合は、縁由の錯誤であつて、当然には要素の錯誤ではない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

主   文

 

  本件上告を棄却する。

  上告費用は上告人の負担とする。

 

        

 

 

理   由

 

  上告代理人弁護士大井善蔵の上告理由について。

 

  しかし、保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であつて、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない。

 

 されば、原判決説示のごとく被控訴人(上告人)において訴外人も連帯保証人となることが特に本件保証契約の内容とした旨の主張、立証のない本件においては、原判決の判断は正当であつて、引用の判例は本件に適切でないから、論旨は採ることができない。

 

  よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

 

 

      最高裁判所第一小法廷

          裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔

             裁判官    入   江   俊   郎

             裁判官    下 飯 坂   潤   夫