○ 平成 27 年度において査察に着手された件数は、189 件でした。
○ 平成 27 年度以前に着手した査察事案について、平成 27 年度中に処理(検察庁へ の告発の可否を最終的
に判断)された件数は 181 件、そのうち検察庁に告発された件数 は 115 件であり、告発率は 63.5%で
した。
国税庁HP(https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/sasatsu_h27/01.pdf)
参照日 2016年6月20日
○ 平成 27 年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で 138 億円、そのうち 告発分は 112 億円でした。
○ 告発した事案1件当たりの脱税額は 9,700 万円でした。
○ 告発した事案のうち、脱税額が3億円以上のものは5件、うち5億円以上のもの は1件でした。
○ 平成 27 年度に告発した査察事案で多かった業種・取引は、 「建設業」、「不動産業」、 「クラブ・バー」、「機械器具卸」でした。また、その事業活動自体に違法または不 当な行為が含まれるとして、社会問題化した業種についても積極的に告発しまし た。
○ 脱税の手段・方法としては、売上除外や架空の原価・経費の計上が多くみられた ほか、平成 23 年度に創設された単純無申告ほ脱犯及び消費税受還付未遂犯の事例 もありました。
○ 脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金、有価証券として留保されて いたほか、絵画や高級車の購入、ギャンブルなどの遊興費、特殊関係人に対する資 金援助などに充てられていた事例もみられました。また、不正資金の一部が海外の 預金口座で留保されていた事例もありました。
○ 脱税によって得た不正資金の隠匿事例としては、居宅のクローゼットに置かれた バッグの中に現金を隠していたものなどがありました。
また、告発の多かった業種以外にも、
○ ネットワークビジネスと称して、新規会員を勧誘することで多額の手数料を 得ていた、いわゆる「マルチ商法」
○ 運用実態がないにもかかわらず、海外投資の名目で出資金を募っていた、い わゆる「投資詐欺」 など、その事業活動自体に違法または不当な行為が含まれるとして、社会問題化した 業種についても積極的に告発しました。
⑵ 脱税の手段・方法 告発の多かった業種における脱税の手段・方法として、
建設業や不動産業では架空 の経費を計上していたもの、
クラブ・バーではホステス報酬に係る源泉所得税を徴収 していたにもかかわらず納付していなかったものが多くみられました。
また、本年度は売上除外や架空の原価・経費の計上が多くみられたほか、
○ 複数の納税者に脱税を持ち掛け成功報酬を得ることを業とする、いわゆる脱 税請負人に依頼して不正を行っていたもの
○ 国際事案では、海外で保有する株式の配当収入を除外したものや海外の法人 に対して架空の経費を計上したもの
○ 消費税事案では、輸出免税売上に対応する課税仕入の消費税が還付になるこ とを奇貨として、輸出取引を装い、国内における架空の課税仕入とこれに見合 う架空の輸出免税売上を計上する方法で不正に還付を受けていたもの、または、 還付を受けようとしていたことから、消費税受還付未遂犯(平成 23 年度創設) を適用したもの
○ 多額の利益がありながら、故意に税を免れようとして、法定申告期限までに 申告書を提出しなかったことから、単純無申告ほ脱犯(平成 23 年度創設)を適 用したもの などがありました。
⑶ 不正資金の留保状況及び隠匿場所 脱税によって得た不正資金の多くは、
現金や預貯金、
有価証券として留保されてい たほか、
絵画や高級車の購入、ギャンブルなどの遊興費、特殊関係人に対する資金援 助などに充てられていた事例もみられました。
また、不正資金の一部が海外の預金口座で留保されていた事例もありました。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
○ 居宅のクローゼットに置かれたバッグの中
○ 居宅階段下の物置に積まれた段ボール箱の中
○ 契約したトランクルームに保管された段ボール箱の中 に現金を隠していた事例などがありました。