政府税制調査会 海外調査報告(中里 実 、佐藤 主光)(5)

 

 

 

第30回 税制調査会(2016年5月16日)資料一覧からの引用。  

 

 

 

国際課税(BEPS)について

 

 

 

 

 

 

【ポイント】

 

○ BEPSプロジェクトの勧告に対し、アメリカでは行動3、4に係る国内法制対応が中心となっている。

 

○ BEPSプロジェクトの勧告に対し、カナダでは本年3月22日の2016年度予算(Budget)において、行動8-10、13、15に係る対応方針を公表している。

 

 

 

行動計画ごとの各国対応

 

 

 

 

アメリカ

 

 

 

 

 

行動3 (効果的な外国子会社合算税制(CFC税制)のデザイン)

 

行動4 (利子損金算入等による税源浸食の制限)

 

 

・行動3(効果的なCFC税制のデザイン)及び行動4(利子損金算入等による税源浸食の制限)に関連しては、ミニマム・タックスやEarning Stripping Ruleの強化が大統領予算教書のGreen Book(財務省により公表される歳入関連提案)に引き続き掲載されている。

 

 しかし、本年は大統領選挙の年であり、大きな税制改正は難しい。なお超過利潤アプローチについては、ライアン前下院歳入委員長が、通常収益の利率が非常に高い超過収益モデルを提案している。

 

 

・全世界課税からの移行については、共和党は属地主義課税のアプローチに関心を示している一方、政府内においてはミニマム・タックスの導入が検討されている。

 

 

 

行動12 (義務的開示制度)

 

 

・租税回避の可能性がある取引を特定するツールとして、「報告義務のある取引」の開示制度が存在。潜在的に租税回避の可能性がある取引として内国歳入庁が告示しているもの等について、納税者のほか、material adviserにも報告義務が課せられる。

 

 報告過多の状況になっているほか、報告様式も自由であるために、課題も指摘されているが、租税回避の抑制に一定の効果をあげていると考えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

注)BEPSプロジェクトとは、多国籍企業が国際的な税制の隙間や抜け穴を利用した租税回避によって、税負担を軽減している問題「税源浸食と利益移転」(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に対処するために立ち上げられたプロジェクトである。