第30回 税制調査会(2016年5月16日)資料一覧からの引用。
アメリカにおける包括的税制改革(86年改革)・現在の課題及び対応
包括的税制改革(86年改革)の概要・評価
【背景】
レーガン政権下の81年改革の結果、「双子の赤字」と呼ばれる財政赤字・経常赤字が拡大するとともに、各種優遇措置の増大により税制が複雑かつ不公平になっており、経済成長にも悪影響を及ぼすことが問題視されていたことから、中長期的な経済成長に焦点を当てて税収中立の下で86年改革を行った。
【概要】
「公平・簡素及び経済成長のための税制改革」が掲げられ、所得税関連では主に以下のような改革が行われた。
- 最高税率の引下げ(50%→28%)を含めた税率構造の大幅な累進緩和(14段階→2段階)
- 一部控除項目の廃止(共働き控除の廃止等)
- 人的控除(所得控除)の逓減・消失化
一方で、法人税関連では、税率構造の累進性緩和・簡素化(15%~46%の5段階→15%、24%、34%の3段階)をするとともに、減価償却期間の見直しやキャピタルゲインに係る税率の軽減措置廃止、代替ミニマム税の導入等による課税ベースの拡大が行われた。
【評価】
・企業の設備投資の拡大や産業構造転換の促進
・雇用拡大と賃金増加
カナダにおける現在の税制上の課題及び対応
○ 政権交代
・2015年に保守党から自由党に政権交代。ハーパー前保守党政権の下で、スポーツや芸術等の利益団体を優遇する税制措置が多数導入されたが、トルドー現自由党政権は、これを富裕層優遇であると批判し、富裕層への課税強化、中間層の負担軽減を行う方針が示されている。
○ 低所得者への対策
・生活保護を受けている低所得者が、就労の際に給付の減少等によりかえって手取り収入が減少する問題を解決し、就労インセンティブを促進するために、勤労所得手当を2007年に導入。また、 1991年に製造者売上税からGSTへ移行する際に、付加価値税の低所得者対策として、所得税法の枠組みの中でGSTクレジットを導入(課税ベースの拡大とセット)。
・GSTクレジットの不正受給は大きな問題とはなっていないが、その理由の一つに、確定申告時期と給付時期との間に所得情報等を当局が確認するための十分な時間を確保できることが挙げられる。
ここまで、上記から引用
財務省HP、https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/056.htm、2016.5.23アクセス