ビットコイン引渡等請求事件

 

 

 

 

 東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)第33320号 、判決 平成27年8月5日、 LLI/DB 判例秘書について検討します。

 

 

 

 

【判示事項】 本件破産会社が運営するビットコイン取引所を利用していた原告が,破産管財人に対し,破産法62条の取戻権に基づき,原告が所有し,被告が占有しているビットコインの引渡しと破産裁判所の許可及び不法行為に基づく賠償を求めた事案。ビットコインが所有権の客体となりうるかが争われた。裁判所は,所有権の客体は,有体物であり,その対象となるには有体性と排他的支配可能性が認められなければならない。ビットコインは,「デジタル通貨」「暗号学的通貨」とされ,有体性がないことは明らかであり,ビットコインアドレスの秘密鍵の管理者が,アドレスにおいて残量のビットコインを排他的に支配しているとも認められないとし,所有権に基づく原告の各請求を棄却した事例 

 

 

 

 

 

 

 

 

主   文

 

  1 原告の請求をいずれも棄却する。

  2 訴訟費用は原告の負担とする。

 

        

 

 

 

事実及び理由

 

 

 

第1 請求

  1 被告は,原告に対し,ビットコイン458.8812618btcを引き渡せ。

  2 被告は,原告に対し,766万5580円を支払え。

  3 上記各履行に必要な裁判所の許可を得ろ。

 

 

第2 事案の概要

  本件は,破産手続開始決定を受けた株式会社C(以下「本件破産会社」という。)が運営するインターネット上のビットコイン取引所を利用していた原告が,本件破産会社の破産管財人である被告に対し,原告が所有しており,したがって本件破産会社の破産財団を構成しないビットコイン458.8812618btcを被告が占有していると主張して,同ビットコインの所有権を基礎とする破産法62条の取戻権に基づき,その引渡しを求めるとともに,被告が原告に対し上記ビットコインの引渡しをしないことにより,ビットコインを自由に使用収益あるいは処分することを妨げられ,766万5580円の損害を被ったとして,不法行為に基づく損害賠償として上記損害額と同額の金員の支払を求める事案である。なお,原告は,被告に対し,破産法78条2項13号に基づく破産裁判所の許可を得ることも求めている。

  

 

1 前提事実(証拠を付記しない事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により容易に認められる。)

   

(1) 本件破産会社は,IT(情報技術)システムの構築及びコンサルティング,インターネットサイトの運営及び管理等を目的とする株式会社であり,インターネット上において,ビットコインの取引所(以下「本件取引所」という。)を運営していた。

   

(2) 原告は,本件取引所において,「tj○○○○」との名称のアカウント(以下「原告アカウント」という。)を使用していた。

   

(3) 本件破産会社は,平成26年2月25日,本件取引所への利用者のアクセスを停止し,同月28日,東京地方裁判所に対し民事再生手続開始を申し立てたが,同年4月16日頃には,破産手続が行われることとなり,同月24日,同裁判所から破産手続開始の決定を受けて,被告が破産管財人に選任された(甲4,5)。

   

(4) 破産手続開始後の本件破産会社のサイトにおいては,原告アカウントの残高は,以下のとおりとされている(甲2)。

    

ア ビットコイン 458.8812618btc(「btc」はビットコインの単位である。以下,原告アカウントの残高とされているビットコインを「本件ビットコイン」という。)

    

イ 日本円    10.762円

    

ウ アメリカドル 0.00002米ドル

 

 

2 争点及び争点に関する当事者の主張

  

 

(1) ビットコインが所有権の客体となるか否か(争点1)

   

 

(原告の主張)

 

  所有権の客体となるのは「有体物」であるが,権利の客体としての性質を重視すれば,法律上の排他的な支配可能性があるものは「有体物」に該当する。ビットコインは,多数の電子計算機上に現実に存在する電磁的記録の一種であり,単に観念的存在ではなく,排他的な支配が可能であるから,有体物として民法85条の定める「物」に該当し,所有権の客体となる。

  なお,ビットコインの排他的支配可能性は,特定のビットコインアドレスにビットコインの有高が確認できる場合,当該アドレスを所有する者が有高に相当するビットコインを所有しているのであり,同人が当該アドレスの秘密鍵を秘匿して管理していれば,同人の意思に反して当該アドレスのビットコインの有高を増減させることはできないことにより認められる。

   

 

 

(被告の主張)

  所有権は「物」すなわち「有体物」を客体とするものであり,無体物を客体とすることはできないところ,「有体物」とは,空間の一部を占める有形的存在であり,広義に解すれば電気等の自然力が含まれるものの,単なるデータ等の情報や権利等の観念的存在はこれに該当しない。

  ビットコインは,ビットコインネットワークにおいてその送付を行う場合にも,送付元となるビットコインアドレスの秘密鍵を管理・把握する者から送付先となるビットコインアドレスの秘密鍵を管理・把握する者に対し送付されるビットコインを表象する電磁的記録等を送付することはないのであり,上記送付元から送付先に引き渡されるべき送付対象のビットコインを表象する電磁的記録自体が存在しない。このように,個々のビットコインを表象する電磁的記録はなく,ビットコインは純粋に観念的な存在であるから,「有体物」には該当せず,所有権の客体とならない。

  したがって,原告が本件ビットコインの所有権を有することはなく,これを基礎とする取戻権を有することもない。

   

 

 

(2) 原告が被告に対しビットコインの取戻権を行使し得るか否か(争点2)

   

 

(原告の主張)

    

ア 上記(1)に関し主張したように,ビットコインは「物」として所有権の対象となる上,ビットコインアドレスと秘密鍵により排他的な支配や他との区別・特定が可能である。そして,原告は,本件破産会社に対し,日本円及びビットコインの預託を行い,これらを用いて本件取引所において他の利用者とビットコインの売買を行い,本件破産会社が破産手続開始決定を受けた時点において,本件ビットコインを所有していた。

  なお,原告は,ビットコインの売買という特定の目的のために,本件破産会社にビットコインを寄託したのであるから,同寄託に係るビットコインの所有権は寄託者である原告にあり,受託者である本件破産会社に移転することはない。また,原告が本件破産会社に預託したビットコインが,同社が利用者毎に作成し,秘密鍵を同社のみが管理・把握するビットコインアドレス(「利用者に紐付くアドレス」)に移転していたとしても,本件破産会社のみが秘密鍵を管理・把握していたのは,利用者からの依頼を受けてビットコインを売買するとの業務を安定して行うためであったから,上記事実をもって本件破産会社が利用者である原告に対し優越的な権利又は法的地位を得ることはない。

    

イ 本件破産会社は,原告を含む本件取引所の利用者から預託を受けたビットコインを,本件破産会社が作成した各「利用者に紐付くアドレス」から,同社が作成した多数のビットコインアドレス(秘密鍵を同社のみが管理・把握するもので,利用者と紐付かないもの)へと自動的に分散し,無作為に移転させていた。このような状況は,複数の寄託者が同じ種類・品質のものを寄託し,受託者がこれを混合する形で保管して,契約で定められた返還時期に各寄託者が寄託した割合に応じて寄託物の返還を受けるとの混蔵寄託というべきである。したがって,原告は,被告に対し,本件破産会社が管理していたビットコインのうち,原告が預託した割合に応じたビットコインの返還を求めることができる。

    

ウ また,上記イのような本件破産会社によるビットコインの保管状況に基づけば,同社のみが秘密鍵を管理・保有する全ビットコインアドレスにおいて保管されていたビットコイン全てが,原告を含む利用者全員の共有となっていたというべきである。そして,被告は,上記ビットコインアドレスに保管されているビットコインについて破産手続を進め,配当を行おうとしているところ,配当が行われれば本件ビットコインは第三者の手に渡り失われることとなる。そこで,原告は共有物の管理における保存行為として,上記ビットコインアドレスに保管されているビットコインについて,原告の持分に応じた返還を請求し得る。

    

エ なお,本件破産会社が本件取引所への利用者のアクセスを停止して以降,原告は原告アカウントに保管されている本件ビットコインを原告の占有する「ウォレット」に移動させたり,移動のための指図を行ったりすることができないことから,原告所有の本件ビットコインは被告が占有している。

   

 

 

 

(被告の主張)

  上記(1)に関し主張したように,ビットコインは有体物ではなく,所有権の客体にはならないから,ビットコインが所有権の客体となることを前提とする寄託契約や共有物の保存行為の主張は理由がない。

  また,占有権も「物」を対象とするところ,上記のとおりビットコインは「物」すなわち有体物に該当しないから,占有権の客体にもならない。本件取引所における利用者のアカウントは,本件破産会社が利用者毎に作成していた顧客帳簿の一種であり,数字を記録等していたに過ぎず,本件破産会社がアカウントにおいて,ビットコインを保管して占有していたものではない。

   

 

 

(3) 被告が原告にビットコインを引き渡さないことが,原告に対する不法行為を構成するか否か及び構成する場合の原告の損害額(争点3)

   

 

 

(原告の主張)

    

 

ア 被告は,原告が所有するビットコインを原告に引き渡さずに占有しており,被告の同行為は原告が有するビットコインの所有権を侵害する不法行為である。

    

イ 被告の上記不法行為により,原告はビットコインを自由に使用収益することを妨げられた。これによる損害を金銭に換算すると50万円を下らない。

  また,被告の上記不法行為により,原告はビットコインを自由に処分することを妨げられ,その間にビットコインの市場価格が低下したことにより,平成26年6月2日時点の本件ビットコインの時価相当額である3112万2442円(458.8812618btc×658.79米ドル〔CoinDesk Bitcoin Price Indexの同日のクロージング・プライス〕×102.95円〔同日の三菱東京UFJ銀行のTTSレート〕)と同年8月24日時点の本件ビットコインの時価相当額である2395万6862円(458.8812618btc×497.4米ドル〔上記Indexの同日のクロージング・プライス〕×104.96円〔同日の上記TTSレート〕)の差額である716万5580円の損害が生じた。

   

 

(被告の主張)

  上記(1)に関し主張したように,ビットコインは所有権の客体とならないから,原告には本件ビットコインの所有権はなく,これを侵害する不法行為が成立することはない。

 

 

 

 

 

 

第3 判断

  

 

 

1 争点1(ビットコインが所有権の客体となるか否か)について

  

 

(1) 原告は,原告アカウントの残高である本件ビットコインは原告が所有するものであるとして,その所有権を基礎として破産法62条の取戻権を行使し,ビットコインの引渡しを請求しているところ,上記第2の2(1)のとおり,原告が本件ビットコインを所有しているかに関し,そもそもビットコインが所有権の客体となり得るかが争われている(なお,上記第2の2(2)記載のとおり,原告は,本件破産会社が原告を含む本件取引所の利用者のビットコインを,同社が作成した多数のビットコインアドレスに自動的に分散し,無作為に移転させていたことを前提に,原告と本件破産会社との混蔵寄託契約の成立や本件破産会社が作成した多数のビットコインアドレスに保管されていたビットコインに対する共有持分権を主張しているが,これらの主張もビットコインが所有権の客体となることを前提とする主張である。)。

  そこで,この点について検討する。

   

 

 

(2) 所有権の客体となる要件について

   

 

ア 所有権は,法令の制限内において,自由にその所有物の使用,収益及び処分をする権利であるところ(民法206条),その客体である所有「物」は,民法85条において「有体物」であると定義されている。有体物とは,液体,気体及び固体といった空間の一部を占めるものを意味し,債権や著作権などの権利や自然力(電気,熱,光)のような無体物に対する概念であるから,民法は原則として,所有権を含む物権の客体(対象)を有体物に限定しているものである(なお,権利を対象とする権利質〔民法362条〕等民法には物権の客体を有体物とする原則に対する明文の例外規定があり,著作権や特許権等特別法により排他的効力を有する権利が認められているが,これらにより民法の上記原則が変容しているとは解されない。)。

  

 

また,所有権の対象となるには,有体物であることのほかに,所有権が客体である「物」に対する他人の利用を排除することができる権利であることから排他的に支配可能であること(排他的支配可能性)が,個人の尊厳が法の基本原理であることから非人格性が,要件となると解される。

    

 

イ 原告は,所有権の客体となるのは「有体物」であるとはしているものの,法律上の排他的な支配可能性があるものは「有体物」に該当する旨の主張をする。原告のこの主張は,所有権の対象になるか否かの判断において,有体性の要件を考慮せず,排他的支配可能性の有無のみによって決するべきであると主張するものと解される。

  このような考えによった場合,知的財産権等の排他的効力を有する権利も所有権の対象となることになり,「権利の所有権」という観念を承認することにもなるが,「権利を所有する」とは当該権利がある者に帰属していることを意味するに過ぎないのであり,物権と債権を峻別している民法の原則や同法85条の明文に反してまで「有体物」の概念を拡張する必要は認められない。したがって,上記のような帰結を招く原告の主張は採用できない。

  また,原告は,法的保護に値する財産性を有すれば民法85条の「物」すなわち「有体物」に該当するとの趣旨の主張もするが,法的保護に値するものには有体物も無体物もあるから,法的保護に値するか否かは,民法85条の「物」に該当するか否かを画する基準にはならないというべきである。したがって,この主張も採用できない。

    

 

 

ウ 以上で述べたところからすれば,所有権の対象となるか否かについては,有体性及び排他的支配可能性(本件では,非人格性の要件は問題とならないので,以下においては省略する。)が認められるか否かにより判断すべきである。

   

 

 

(3) ビットコインについての検討

   

 ア ビットコインは,「デジタル通貨(デジタル技術により創られたオルタナティヴ通貨)」あるいは「暗号学的通貨」であるとされており(甲7),本件取引所の利用規約においても,「インターネット上のコモディティ」とされていること(甲1),その仕組みや技術は専らインターネット上のネットワークを利用したものであること(甲7,乙1)からすると,ビットコインには空間の一部を占めるものという有体性がないことは明らかである。

    

イ また,証拠(甲7,乙1)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。

     

(ア) ビットコインネットワークの開始以降に作成された「トランザクションデータ」(送付元となるビットコインアドレスに関する情報,送付先となるビットコインアドレス及び送付するビットコインの数値から形成されるデータ等)のうち,「マイニング」(ビットコインネットワークの参加者がトランザクションを対象として,一定の計算行為を行うこと)の対象となった全てのものが記録された「ブロックチェーン」が存在する。ビットコインネットワークに参加しようとする者は誰でも,インターネット上で公開されている電磁的記録であるブロックチェーンを,参加者各自のコンピューター等の端末に保有することができる。したがって,ブロックチェーンに関するデータは多数の参加者が保有している。

     

(イ) ビットコインネットワークの参加者は,ビットコインの送付先を指定するための識別情報となるビットコインアドレスを作成することができ,同アドレスの識別情報はデジタル署名の公開鍵(検証鍵)をもとに生成され,これとペアになる秘密鍵(署名鍵)が存在する。秘密鍵は,当該アドレスを作成した参加者が管理・把握するものであり,他に開示されない。

     

(ウ) 一定数のビットコインをあるビットコインアドレス(口座A)から他のビットコインアドレス(口座B)に送付するという結果を生じさせるには,ビットコインネットワークにおいて,①送付元の口座Aの秘密鍵を管理・把握する参加者が,口座Aから口座Bに一定数のビットコインを振り替えるという記録(トランザクション)を上記秘密鍵を利用して作成する,②送付元の口座Aの秘密鍵を管理・把握する参加者が,作成したトランザクションを他のネットワーク参加者(オンラインになっている参加者から無作為に選択され,送付先の口座の秘密鍵を管理・把握する参加者に限られない。)に送信する,③トランザクションを受信した参加者が,当該トランザクションについて,送付元となる口座Aの秘密鍵によって作成されたものであるか否か及び送付させるビットコインの数値が送付元である口座Aに関しブロックチェーンに記録された全てのトランザクションに基づいて差引計算した数値を下回ることを検証する,④検証により上記各点が確認されれば,検証した参加者は,当該トランザクションを他の参加者に対しインターネットを通じて転送し,この転送が繰り返されることにより,当該トランザクションがビットコインネットワークにより広く拡散される,⑤拡散されたトランザクションがマイニングの対象となり,マイニングされることによってブロックチェーンに記録されること,が必要である。

  このように,口座Aから口座Bへのビットコインの送付は,口座Aから口座Bに「送付されるビットコインを表象する電磁的記録」の送付により行われるのではなく,その実現には,送付の当事者以外の関与が必要である。

     

(エ) 特定の参加者が作成し,管理するビットコインアドレスにおけるビットコインの有高(残量)は,ブロックチェーン上に記録されている同アドレスと関係するビットコインの全取引を差引計算した結果算出される数量であり,当該ビットコインアドレスに,有高に相当するビットコイン自体を表象する電磁的記録は存在しない。

  上記のようなビットコインの仕組み,それに基づく特定のビットコインアドレスを作成し,その秘密鍵を管理する者が当該アドレスにおいてビットコインの残量を有していることの意味に照らせば,ビットコインアドレスの秘密鍵の管理者が,当該アドレスにおいて当該残量のビットコインを排他的に支配しているとは認められない。

    

ウ 上記で検討したところによれば,ビットコインが所有権の客体となるために必要な有体性及び排他的支配可能性を有するとは認められない。したがって,ビットコインは物権である所有権の客体とはならないというべきである。

  

 

 

2 争点2(原告の被告に対する取戻権行使の可否)について

 上記1で認定説示したように,ビットコインは所有権の客体とならないから,原告が本件ビットコインについて所有権を有することはなく,本件破産会社の管理するビットコインアドレスに保有するビットコインについて共有持分権を有することもない。また,寄託物の所有権を前提とする寄託契約の成立も認められない。

  したがって,原告は本件ビットコインについてその所有権を基礎とする取戻権を行使することはできない。

  

 

3 争点3(被告の不法行為の成否等)について

 原告は被告が本件ビットコインの所有権を侵害したと主張するが,上記で検討したように,原告に本件ビットコインの所有権が認められない以上,これを侵害したとの不法行為も認められない。

  

 

 

4 請求の趣旨第3項の請求について

 原告は,取戻権に基づく請求及び破産管財人の不法行為に基づく損害賠償請求に伴い,被告に対し,破産法78条2項13号に基づく破産裁判所の許可を得ることを求めていると解されるが,上記のとおり,原告は取戻権を有さず,これを行使することはできないし,破産管財人である被告に不法行為が成立することもない。また,そもそも破産財団に対する取戻権や財団債権を有する者であっても,破産管財人に対し,上記許可を得るとの行為請求をする権利を有するとは解されない。

  したがって,上記許可を得ることを求める請求も理由がない。

 

 

第4 結論

  よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。

     東京地方裁判所民事第28部

         裁判長裁判官  倉地真寿美

            裁判官  阿保賢祐

            裁判官  蕪城真由子