従業員名義で経営していた店舗に係る所得の帰属先(2)

 

 

 

 

 

2 主張

 

 

 (1) 争点1(本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人か否か。)について検討します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2 主張

 

 

 (1) 争点1(本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人か否か。)

 

 

 

 

 

 

 

 

原処分庁

 

 

 

 

 次のとおり、本件各年における本件各店舗の経営者は請求人であるから、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人である。

 

 

イ 平成18年7月頃、P11がK店を6,000,000円で買い取り、請求人がP11の下でK店の経営を任されていたという事実はないし、その後の本件各年における各店舗の開業等に際し、P11が資金を支出したという事実もない。

 

  後記ロ及びハの状況からすると、本件各店舗の開業等に際して出資したのは請求人であると認められる。

 

 

ロ 本件各店舗に関して、①風俗営業許可及びクレジットカード加盟店契約は、請求人が各店長の名前を借りて、許可を得た又は締結したものであり、各賃貸借契約は、請求人が賃借人又は賃借人と同等の責任を負う立場にある連帯保証人となっていること、②請求人は、一部の店舗のホステスの雇用の採否を除いて各店長を含む男性従業員やホステスの雇用の採否を決定し、日々の営業に係る指示を行うなど、従業員の雇用、指揮監督を行っていたこと、③請求人は、現金売上げ及びクレジットカード売上げに係る資金を管理し、経費の支払義務を負っていた上、本件各事務所のパソコンで本件各ファイルを作成して収支の管理を行っていたこと、加えて、④請求人が、個人的に多額の貸付けや資産運用をし、高額な美術品及び装飾品を購入していることなどの事情が存在した。

 

 

  これらを総合すると、本件各店舗の経営者は請求人であると認められる。

 

 

ハ 請求人がP11から毎月給料を受け取っていたという事実はないし、毎月の現金保管額から給料を差し引いた額をP11に渡し、P11が利益を得ていたという事実もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 請求人

 

 

 

 

  次のとおり、本件各年における本件各店舗の経営者はP11であるから、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人ではない。

 

 

イ 平成18年7月頃、請求人が従業員として働いていたK店をP11が6,000,000円で買い取り、請求人はP11の下でK店の経営を任されることとなったものであり、その後の本件各年における各店舗の開業等に際し、資金を支出したのもP11である。

 

 

ロ 本件各店舗に関して、①風俗営業許可、クレジットカード加盟店契約、賃貸借契約等の法律行為の名義人について、請求人が各店長又は請求人とすることを決めたこと、②請求人が、一部の店舗のホステスの雇用の採否を除いて本件各店舗の全ての従業員の雇用の採否を決定し、日々の日報の作成等の業務に関する指示等を行っていたこと、③請求人が、本件各店舗の売上金の管理や支出の決定を行った上、本件各事務所のパソコンで本件各ファイルを作成して収支の管理をしていたこと、④請求人が、本件各店舗から生じる所得等の申告名義を各店長名義とすることを決めたことなど、請求人は本件各店舗の経営に関与していたが、これは実質経営者であるP11から本件各店舗の経営を任されていたからにすぎない。

 

 

 

ハ 請求人は、本件各店舗の収支を管理し、毎月、月末締めの本件各店舗に係る現金保管額及び売上げの合計額をP11に電話で報告し、また、P11との事前の取決めにより、平成21年3月頃までは、月初めに、本件各店舗に係る前月分の利益から請求人の給料○○○○円を受け取り、これを差し引いた残額の全額をP11に渡しており、同月頃以降は、前月末の現金残額から、請求人の給料○○○○円のほかに事務所の経費の支払用資金として別途500,000円を受け取り、これらを差し引いた後の現金保管額(当該金額が200,000円を下回った場合は200,000円)をP11に全て渡していた。

 

 

  このように、請求人は、本件各店舗の実質経営者であるP11に雇われて給料を受け取っていたにすぎず、本件各年における本件各店舗に係る利益を得ていたのはP11である。