従業員名義で経営していた店舗に係る所得の帰属先(1)

 

 

 

 国税不服審判所裁決 、判決  平成27年3月31日 、裁決事例集No.98について検討します。

 

 

 

 

【判示事項】 従業員名義で経営していた店舗に係る経営上の行為の状況、利益の享受状況及び出資の状況等から当該店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人であると認定した事例 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1 事実

 

 

 

(1) 事案の概要

 

 

  本件は、原処分庁が、風俗店の事業に係る所得の帰属先は審査請求人(以下「請求人」という。)であるとして、請求人に対して所得税等の更正処分等を行ったのに対し、請求人が、原処分庁の認定に誤りがあるとして、同処分等の全部の取消しを求めた事案である。

 

 

 

 

(2) 審査請求に至る経緯

 

 

イ 平成18年分、平成19年分、平成20年分、平成21年分、平成22年分、平成23年分及び平成24年分(以下、これらを併せて「本件各年分」という。)の所得税について、審査請求(平成26年4月11日請求)に至る経緯及び内容は、別表1のとおりである。

  以下、平成25年12月19日付でされた平成18年分、平成19年分、平成20年分及び平成21年分の所得税の各決定処分並びに平成22年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分を併せて「本件所得税各更正決定処分」といい、本件各年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分を「本件所得税各賦課決定処分」という。

 

 

ロ 平成20年1月1日から同年12月31日まで、平成21年1月1日から同年12月31日まで、平成22年1月1日から同年12月31日まで、平成23年1月1日から同年12月31日まで及び平成24年1月1日から同年12月31日までの各課税期間(以下、順次「平成20年課税期間」、「平成21年課税期間」、「平成22年課税期間」、「平成23年課税期間」及び「平成24年課税期間」といい、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、審査請求(平成26年4月11日請求)に至る経緯及び内容は、別表2のとおりである。

  以下、平成25年12月19日付でされた本件各課税期間の消費税等の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分を、それぞれ「本件消費税等各決定処分」及び「本件消費税等各賦課決定処分」という。

 

 

ハ 平成22年12月から平成24年12月までの各月分の源泉徴収に係る所得税(以下「源泉所得税」という。)、平成25年1月分の源泉所得税及び源泉徴収に係る復興特別所得税(以下、源泉所得税と併せて「源泉所得税等」という。)並びに平成25年2月から同年6月までの期間分(以下、平成22年12月から平成25年1月までの各月分及び同年2月から同年6月までの期間分を併せて「本件各月分等」という。)の源泉所得税等について、審査請求(平成26年4月11日請求)に至る経緯及び内容は、別表3のとおりである。

  以下、平成25年12月19日付でされた、平成22年12月から平成24年12月までの各月分の源泉所得税並びに平成25年1月分及び同年2月から同年6月までの期間分の源泉所得税等の各納税告知処分を併せて「本件各納税告知処分」といい、同年2月から同年6月までの期間分の源泉所得税等に係る不納付加算税の賦課決定処分を「本件不納付加算税賦課決定処分」という。

 

 

 

 

 

 

 

 

(4) 基礎事実

  

 

 

 

 次の事実は、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。

 

 

 

イ 各店舗の概要等

  平成18年、平成19年、平成20年、平成21年、平成22年、平成23年及び平成24年(以下、これらを併せて「本件各年」という。)において、請求人が関与していた各店舗の概要及び関与の状況は、次のとおりである。

 

 

(イ) 各店舗に係る法律行為の名義等の状況

 

 

A 屋号を「J」及び「K」とする店舗

 

 

(A) 平成18年7月下旬、f市g町○-○(f市の住居表示については、○○施行後の表示である。以下同じ。)所在の「hビル」において、店長をP2として、屋号を「J」とする店舗(風俗店)が営業を開始した。

  上記店舗の店長及び屋号につき、平成21年11月頃、店長はP3、屋号は「K」に変更され、その後、同店の店長は、平成22年3月頃にP2、同年11月頃にP4にそれぞれ変更され、その状況で原処分に係る調査(以下「本件調査」という。)の開始日である平成25年11月6日に至るまで営業が継続された。

  以下、上記屋号の変更の前後を通じ、上記店舗を「K店」という。

 

 

(B) K店における営業について、平成21年10月○日付で、i県公安委員会による風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)第3条《営業の許可》に基づく営業の許可(以下「風俗営業許可」という。)が、営業者をP3とする申請に対して与えられた。

  その後、風営法第10条《許可証の返納等》に基づくP3名義による許可証の返納手続を経て、平成22年3月○日付で、営業者をP2とする申請に対して風俗営業許可が与えられ、また、上記と同様のP2名義による許可証の返納手続を経て、同年11月○日付で、営業者をP4とする申請に対して風俗営業許可が与えられた。

 

 

(C) K店における営業に係るクレジットカード加盟店契約は、代表者をP2として、平成18年5月頃にL社との間で、平成18年11月頃にM社との間で、それぞれ締結された。

  上記各クレジットカード加盟店契約におけるクレジットカードの利用による売上げ(以下「クレジットカード売上げ」という。)に係る立替金の指定振込口座は、いずれもP2名義のx1銀行○○支店の普通預金口座(番号○○○○。以下「P2x1銀行口座」という。)とされ、P2x1銀行口座の預金通帳とキャッシュカードは、いずれも請求人が所持していた。

 

 

(D) K店に係る賃貸借契約は、平成18年8月1日付で、賃貸人をN社、賃借人を請求人、契約期間を同日から平成20年7月31日までとして締結された。

  その契約期間中の平成19年1月5日、P5がhビルの所有者となったが、上記賃貸借契約は賃貸人に関する事項を除いて内容自体に変更はなくP5との間において継続し、また、当該契約は平成20年7月31日に更新された。

  請求人は、上記賃貸借契約に係る賃料を、請求人名義で、平成19年1月31日支払分まではN社に、平成21年5月25日支払分まではP5に支払った。

  その後、K店に係る賃貸借契約は、風俗営業許可上の営業者が平成22年3月○日付でP2に変更された機会(同人名義の風俗営業許可に係る申請日は同年1月20日)に、同月○日付で、賃貸人をP5、賃借人をP2、連帯保証人を請求人、契約期間を同年2月1日から平成24年1月31日までとして締結され、先行する契約は終了し、また、風俗営業許可上の営業者が平成22年11月○日付でP4に変更された機会(同人名義の風俗営業許可に係る申請日は同年10月7日)に、同年9月18日付で、賃貸人をP5、賃借人をP4、連帯保証人を請求人、契約期間を同年10月1日から平成24年9月30日までとして締結され、先行する契約は終了した。

 

 

(E) 請求人は、上記(A)の各人が店長に就任することを決定し、また、風俗営業許可の申請及び許可証の返納の各名義並びにクレジットカード加盟店契約(代表者をP2とする契約のみ)及び賃貸借契約(請求人が賃借人となっている賃貸借契約を除く。)の各契約名義についても、各店長の就任時期に合わせて各店長名義を用いることを決定した。

 

 

 

 

 

 

B 屋号を「Q」とする店舗

 

 

(A) 平成19年12月頃、f市g町○-○所在の「jビル」の○階西側において、店長をP6として、屋号を「Q」とする店舗(風俗店)が営業を開始し、平成21年11月頃、営業を終了した。

  その当時、jビルの△階東側では、後記Cの(A)のとおり、店長をP7として、屋号を「R」とする店舗(風俗店)が営業していたが、平成21年11月頃、店長を同人としたまま、屋号が「Q」に変更され、その後、同店の店長は、平成22年1月頃にP8、同年10月頃にP3にそれぞれ変更され、その状況で本件調査の開始日である平成25年11月6日に至るまで営業が継続された。

  以下、jビルの○階西側で屋号を「Q」として営業していた店舗を「旧Q店」といい、jビルの△階東側で屋号を「Q」として営業を開始した店舗を「新Q店」という。

 

 

(B) 新Q店における営業について、平成22年1月○日付で、i県公安委員会による風俗営業許可が、営業者をP8とする申請に対して与えられ、その後、上記Aの(B)と同様の同人名義による許可証の返納手続を経て、同年10月○日付で、営業者をP3とする申請に対して与えられた。

 

 

(C) 新Q店における営業に係るクレジットカード加盟店契約は、代表者をP3として、平成23年4月頃にS社との間で、平成24年4月頃にT社との間で、同年7月頃にU社との間で、同年8月頃にM社との間で、それぞれ締結された。

  上記各クレジットカード加盟店契約におけるクレジットカード売上げに係る立替金の指定振込口座は、いずれも請求人名義のx2銀行○○支店の普通預金口座(番号○○○○。以下「請求人○○支店口座」という。)とされた。

 

 

(D) 旧Q店に係るjビルの○階西側の賃貸借契約は、平成19年9月19日付で、賃貸人をV社、賃借人をP6、連帯保証人を請求人、契約期間を同日から平成21年9月18日までとして締結された。

  新Q店に係るjビルの△階東側の賃貸借契約は、平成21年11月24日付で、賃貸人をV社、賃借人をP8、連帯保証人を請求人、契約期間を同年12月1日から平成23年11月30日までとして締結され、その後、風俗営業許可上の営業者が平成22年10月○日付でP3に変更された機会(同人名義の風俗営業許可に係る申請日は同年9月28日)に、同月21日付で、賃貸人をV社、賃借人をP3、連帯保証人を請求人、契約期間を同年10月1日から平成24年9月30日までとして締結され、先行する契約は終了した。

 

 

(E) 請求人は、上記(A)の各人が旧Q店又は新Q店の店長に就任することを決定し、また、風俗営業許可の申請及び許可証の返納の各名義並びにクレジットカード加盟店契約(代表者をP3とする契約のみ)及び賃貸借契約の各契約名義についても、各店長の就任時期に合わせて各店長名義を用いることを決定した。

 

 

 

 

 

C 屋号を「R」とする店舗

 

 

(A) 平成20年4月頃、jビルのX階において、店長をP7として、屋号を「R」とする店舗(風俗店)が営業を開始し、平成21年1月頃、jビルの△階東側に移転した。

  そして、上記屋号を「R」とする店舗は、平成21年11月頃に上記Bの(A)のとおり屋号を「Q」に変更して新Q店となった。

  以下、屋号を「R」とする店舗を「R店」といい、K店、旧Q店及び新Q店と併せて「本件各店舗」という。

 

 

(B) R店に係るjビルのX階の賃貸借契約は、平成20年2月頃、賃貸人をV社、賃借人をP7、連帯保証人を請求人、契約期間を同年3月1日から平成22年2月28日までとして締結され、また、R店に係るjビルの△階東側の賃貸借契約は、平成20年12月頃、賃貸人、賃借人及び連帯保証人を上記と同様、契約期間を平成21年1月1日から平成23年12月31日までとして締結され、上記jビルのX階の賃貸借契約は終了した。

 

 

(C) 請求人は、P7がR店の店長に就任することを決定し、また、賃貸借契約の契約名義について、同人の店長就任時期に合わせて同人名義を用いることを決定した。

 

 

 

 

 

D 本件各店舗の事務所

 

 請求人は、平成18年7月下旬にK店が営業を開始した頃、hビルの4階に事務所を設け、平成20年1月頃、jビルのX階に事務所を移転し、同年11月頃、jビルのX階の請求人の自宅に隣接する区画に事務所を移転した。

 

 以下、hビルの4階に設けられていた事務所を「本件hビル事務所」といい、jビルのX階に設けられていた事務所を移転の前後を通じて「本件jビル事務所」といい、当該各事務所を併せて「本件各事務所」という。

 

 

 

 

(ロ) 本件各店舗の従業員の雇用、監督の状況

 

 

 本件各年における本件各店舗の従業員の雇用、監督の状況は、次のとおりである。

 

 

 A 請求人は、本件各店舗の各店長を責任者として、ホステスや男性従業員を監督させ、また、後記(ハ)のDの(A)のとおり、店長等に指示して、日々の営業に関する日報等の作成に係る業務をさせていた。

 

 

B 請求人は、本件各店舗のうちの一部の店舗のホステスの雇用の採否を当該店舗の店長に任せていたのを除き、全てのホステスの雇用の採否を決定していた。

  また、請求人は、本件各店舗のホステスに対する報酬の支払方法について、ホステスの希望等を考慮した上で自ら決定していた。

 

 

 C 請求人は、本件各店舗の全ての男性従業員の雇用の採否を決定し、また、タイムカードを使用するなどして男性従業員の従事時間を管理し、それを基にして男性従業員の給料を自ら計算していた。

 

 

 

(ハ) 本件各店舗の収支の管理状況

 

 

 本件各年における本件各店舗の収支の管理状況は、次のとおりである。

 

 

A 現金売上げ

 

 請求人は、本件各店舗の営業時間終了後、店長等に指示して、現金残額(当日の売上げに係る現金から経費を支払った後の金銭をいう。以下同じ。)を後記Dの(A)の日報等と一緒に本件各事務所に持参させていた。

  そして、請求人は、本件hビル事務所に持参された現金を請求人の自宅に持ち帰って保管し、また、本件jビル事務所に持参された現金を本件jビル事務所に置いてある金庫に保管して、日々における現金残額を保管していた。

 

 

 請求人は、上記のとおり保管していた現金を、随時、請求人の妹であるP9名義のx2銀行○○支店の普通預金口座(番号○○○○。以下「P9○○支店口座」という。)、請求人名義のx2銀行△△支店の普通預金口座(番号○○○○。平成22年3月23日にx2銀行××支店の番号○○○○の普通預金口座に移管された。)、請求人○○支店口座、請求人名義のx3銀行○○支店の普通預金口座(番号○○○○。以下「請求人x3銀行口座」という。)、請求人名義のx4銀行○○支店の普通預金口座(番号○○○○。以下「請求人x4銀行口座」という。)及び請求人の同居人であるP10名義のx3銀行○○支店の普通預金口座(番号○○○○。以下「P10x3銀行口座」という。)へ預け入れていた。

 

 

 以下、請求人名義のx2銀行△△支店の上記普通預金口座(以下「請求人△△支店口座」という。)及び同行××支店の上記普通預金口座(以下「請求人××支店口座」といい、請求人△△支店口座及び請求人○○支店口座と併せて「請求人x2銀行各口座」という。)を含む上記7つの普通預金口座とP2x1銀行口座を併せて「本件各口座」という。

 

 

 

B クレジットカード売上げ

 

 上記(イ)のAの(C)のとおり、K店のクレジットカード売上げに係る立替金の指定振込口座はP2x1銀行口座が使用されていたところ、請求人は、P2x1銀行口座の預金通帳及びキャッシュカードを所持してK店のクレジットカード売上げに係る振込額を確認し、また、上記(イ)のBの(C)のとおり、請求人は、新Q店のクレジットカード売上げに係る立替金の指定振込口座を請求人○○支店口座とすることにより、新Q店のクレジットカード売上げに係る振込額を確認していた。

 

 

C 経費の支出

 

  請求人は、本件各店舗で現金により支払う経費の一部について各店長に支払を任せていたのを除き、全ての本件各店舗に係る経費について、その支出を決定していた。

 

 そして、請求人は、上記Aのとおり保管していた現金を基に、自ら支出を決定した本件各店舗に係る月払の経費等を現金又はP9○○支店口座、請求人x2銀行各口座、請求人x4銀行口座及びP10x3銀行口座から振込み等の方法により支払った。

 

 

 

 

D 各月の利益の把握等

 

 

(A) 請求人は、店長等に指示して、日々、各店舗の従業員が記入したリスト表(ホステスごとの当日の客の入退店時間や売上げ等が記載されたもの)等を基に日報(当日の現金売上げ及びクレジットカード売上げの金額、ホステスの日払報酬等の店舗で支払った経費の額、現金残高等が記載されたもの)を作成させ、本件各店舗の営業時間終了後、上記Aの現金残額と一緒に、日報、リスト表及び支払った経費の領収証を本件各事務所に持参させていた。

 

 

(B) 請求人は、翌日の営業開始前に、自ら又は特定の店長に指示して、上記(A)の本件各店舗の日報等を基に本件各事務所のパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という。)で入力して、「月間売上表」又は「月間売上表.2」と題するファイル(日々の売上金額(各店舗別)、経費の額、現金残高等が入力されたもの。以下「本件月間売上げ等ファイル」という。)を作成していた。

 

 また、請求人は、上記Cのとおり自らが現金又は振込み等により支払った本件各店舗に係る月払の経費等について、支払の都度、請求書や領収証等を基に本件各事務所のパソコンで入力して、「支払」と題するファイル(支払った項目ごとの金額が各店舗別に入力されたもの。以下「本件月間支払ファイル」という。)を作成していた。

 

 

(C) 請求人は、本件月間売上げ等ファイル及び本件月間支払ファイルを基に、入力漏れの経費等を加えて本件各事務所のパソコンで入力して、「試算表」と題するファイル(月間の売上金額、項目別の経費の金額及びその合計額並びに利益の金額が各店舗別に入力されたもの。以下「本件月間試算ファイル」という。)を翌月の5日頃までに作成していた。

 

 

(D) 請求人は、平成19年頃から、上記(A)の日報に記載された各ホステスの日々の新規の客数を基に、月々の各店舗別の売上金額がそれぞれ約XXX万円になるように客数を調整して本件各事務所のパソコンで入力して、「源泉徴収表」と題するファイル(各ホステス別の日々の客数、日々の売上金額、当月の売上金額が各店舗別に入力されたもの。以下「本件源泉徴収表ファイル」という。)を作成していた。

 

 

(E) 請求人は、本件源泉徴収表ファイルを基に、年間の各店舗別の所得金額がXXX,000円からXXX,000円までの間になるように経費の額を調整して本件各事務所のパソコンで入力して、「K試算表」、「Q試算表」などと店舗名を付した試算表と題するファイル(以下「本件各店舗別試算ファイル」という。)を作成していた。

 

 

 

ロ 確定申告等の状況

 

 

 本件各店舗に係る事業所得に係る所得税及び課税資産の譲渡等の対価に係る消費税等についての各確定申告書の提出状況は、次の(イ)のAからDまで及び(ロ)のAのとおりである。

 

 

 これらの各確定申告書は、請求人が、本件各店舗別試算ファイル等に基づいて各店長の名義で作成して提出したものである。

 

 

(イ) 所得税

 

 

A K店に係る事業所得

 (A) 平成18年分から平成22年分までのK店に係る事業所得について、当該各年分の法定申告期限までにP2名義の確定申告書がそれぞれ提出されており、当該各確定申告書に記載された事業所得の総収入金額及び所得金額又は損失の金額は、次のとおりである。

 

 

a 平成18年分の総収入金額は○○○○円、損失の金額が○○○○円である。

 b 平成19年分の総収入金額は○○○○円、所得金額は○○○○円である。

 c 平成20年分の総収入金額は○○○○円、所得金額は○○○○円である。

 d 平成21年分の総収入金額は○○○○円、損失の金額が○○○○円である。

 e 平成22年分の総収入金額は○○○○円、損失の金額が○○○○円である。

 

 

(B) 平成23年分及び平成24年分のK店に係る事業所得について、当該各年分の法定申告期限までにP4名義の確定申告書がそれぞれ提出されており、当該各確定申告書に記載された事業所得の総収入金額及び所得金額は、次のとおりである。

 

 

 a 平成23年分の総収入金額は○○○○円、所得金額は○○○○円である。

 b 平成24年分の総収入金額は○○○○円、所得金額は○○○○円である。

 B 旧Q店に係る事業所得

  平成19年分から平成21年分までの旧Q店に係る事業所得について、確定申告書は提出されていない。

 

 

C 新Q店に係る事業所得

 

 

(A) 平成22年分及び平成24年分の新Q店に係る事業所得について、当該各年分の法定申告期限までに、平成22年分はP8名義で、平成24年分はP3名義で確定申告書がそれぞれ提出されており、当該各確定申告書に記載された事業所得の総収入金額及び所得金額は、次のとおりである。

 

 

a 平成22年分の総収入金額は○○○○円、所得金額は○○○○円である。

 b 平成24年分の総収入金額は○○○○円、所得金額は○○○○円である。

 (B) 平成21年分及び平成23年分の新Q店に係る事業所得について、確定申告書は提出されていない。

 

 

 

 

 

D R店に係る事業所得

  

 

 平成20年分及び平成21年分のR店に係る事業所得について、確定申告書は提出されていない。

 

 

 

 

E 請求人の確定申告

 

  請求人は、平成18年分から平成21年分までの各年分について確定申告書を提出せず、また、平成22年分から平成24年分までの各確定申告書の「職業」欄にいずれも「コンサルタント」、また、平成24年分の確定申告書のみ「屋号・雅号」欄に「X社」と記載し、当該各年分の事業所得について、平成22年分は所得金額を○○○○円、平成23年分は損失の金額を○○○○円、平成24年分は所得金額を○○○○円と記載した各確定申告書を、当該各年分の法定申告期限までにそれぞれ提出した。

 

 

 

 

 

(ロ) 消費税等

 

A 平成20年課税期間から平成22年課税期間までの各課税期間のK店に係る課税資産の譲渡等の対価について、課税売上高を○○○○円、○○○○円、○○○○円と記載された付表を添付した各確定申告書がそれぞれ法定申告期限までにP2名義で提出されたが、本件各課税期間のうち当該各課税期間以外の課税期間の確定申告書は提出されていない。

 

 また、本件各課税期間の旧Q店、新Q店及びR店に係る課税資産の譲渡等の対価について、確定申告書は提出されていない。

 

 

 

B 本件各課税期間において、請求人は、確定申告書を提出していない。

 

 

 (ハ) 源泉所得税等

 

 請求人は、平成25年1月29日、所得税法第216条《源泉徴収に係る所得税の納期の特例》に規定する納期の特例の承認を受けるため、同法第217条《納期の特例に関する承認の申請等》第1項に規定する申請書を原処分庁に提出し、同条第5項により同年2月末日においてその承認があったものとみなされた。

 

 

 

 

 

ハ 本件調査の状況

 

(イ) 原処分庁は、平成25年11月6日、jビルのX階にある請求人の自宅及び本件jビル事務所において、本件調査を開始した。

 

 

(ロ) 請求人は、平成25年11月6日、本件調査の担当者(以下「本件調査担当者」という。)に対し、同年9月1日から同年11月5日までの日報及び同年10月1日から同年11月5日までのリスト表、本件jビル事務所のパソコンに保存された本件月間支払ファイル、本件源泉徴収表ファイル、本件各店舗別試算ファイルを提示するとともに、情報記録媒体1個(媒体はUSBメモリ。本件月間売上げ等ファイルが保存されたもの。以下「本件Aメモリ」という。)を提示した。

 

  また、請求人は、平成25年11月8日、本件調査担当者に対し、情報記録媒体1個(媒体はUSBメモリ。本件月間売上げ等ファイル及び本件月間試算ファイルが保存されたもの。以下「本件Bメモリ」という。)を提示した。

 

 

 以下、上記各メモリ又は上記パソコンに保存されていた本件月間売上げ等ファイル、本件月間支払ファイル及び本件月間試算ファイルを併せて「本件各ファイル」という。

 

 

 本件各ファイルは、平成18年7月下旬にK店が開店して以降、本件各店舗について作成されていたものであるが、本件調査時に把握された本件各ファイルに入力された収支計算の期間は、別表4のとおりである。

 

 

(ハ) 請求人は、上記(ロ)の両日において、本件調査担当者に対し、平成22年12月分から平成25年10月分までの給料支払明細書(K店及び新Q店に係るもの。以下「本件給料支払明細書」という。)を提示した。

 

 

 以下、本件給料支払明細書に記載された、平成22年12月から平成25年6月までの各月におけるK店の店長のP4及び新Q店の店長のP3に対する各給与を「本件各給与」という。