Final return(2)

 

 

 

帰属主義への移行に関する平成26年度及び平成27年度の主な改正事項

 

 

 

国際課税原則の帰属主義への見直しの観点から、平成26年度及び平成27年度の税制改正により、非居住者等に対する課税原則について、次の改正が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1 非永住者の課税所得の範囲(所法7①)

 

 非永住者の課税所得の範囲を、国外源泉所得以外の所得及び国外源泉所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたものとする。

 

 

 

2 国内源泉所得(所法161)

 

 平成26年度税制改正前の国内において行う事業から生ずる所得に代えて恒久的施設帰属所得を国内源泉所得の一つとする。

 なお、恒久的施設帰属所得は、恒久的施設が非居住者から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、当該恒久的施設が果たす機能、当該恒久的施設と当該非居住者の事業場等との間の内部取引その他の状況を勘案して、当該恒久的施設に帰せられるべき所得とする。

 

 

 

3 非居住者に対する課税の方法(所法164)

 

 非居住者に対して課する所得税の額は、非居住者の有する国内源泉所得の種類に応じて、①居住者の課税標準及び所得税の額の計算に準じて計算した金額(以下「総合課税に係る所得税の額」という。)及び②他の所得と分離してその国内源泉所得に一定の税率を乗じて計算した金額(以下「分離課税に係る所得税の額」という。)とする。

 

 

 

4 総合課税に係る所得税の額の計算(所法164①、165)

 

 非居住者の総合課税に係る所得税の額の計算は、次に掲げる非居住者の区分に応じそれぞれ次に定める国内源泉所得について、居住者に係る所得税の課税標準、税額等の計算の規定に準じて計算した金額とする。

 

 

 

⑴ 恒久的施設を有する非居住者 次に掲げる国内源泉所得

 

① 恒久的施設帰属所得

 

② 総合課税の対象となる国内源泉所得(①を除く。)

 

 

 

⑵ 恒久的施設を有しない非居住者 総合課税の対象となる国内源泉所得

 

 

 

 

5 恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算(所法165②)

 

 恒久的施設帰属所得に係る各種所得の金額は、非居住者の恒久的施設帰属所得について、別段の定めを除き、居住者に係る所得税の課税標準の計算に関する規定に準じて計算した金額とする。

 

 

 

⑴ 恒久的施設に帰せられるべき純資産に対応する負債の利子の必要経費不算入(所法165の3)

 

 非居住者の恒久的施設に係る純資産の額が、恒久的施設に帰せられるべき純資産の額に満たない場合には、恒久的施設を通じて行う事業に係る負債の利子のうち、その満たない金額に対応する部分の金額は、恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。

 

 

 

⑵ 配賦経費に関する書類の保存がない場合における配賦経費の必要経費不算入(所法165の5)

 

 非居住者の配賦経費につき、その配分の基礎となる書類の保存がない場合には、その書類の保存がなかった配賦経費については、恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。

 

 

 

6 非居住者に係る外国税額の控除(所法165の6)

 

 非居住者が外国所得税を納付することとなる場合には、恒久的施設帰属所得に係る所得の金額に係る所得税の額のうち国外所得金額に対応する金額を限度として、その外国所得税の額をその年の所得税の額から控除する。

 

 

 

7 恒久的施設に係る取引に係る文書化(所法166の2)

 

 恒久的施設帰属所得を有する非居住者は、当該非居住者が他の者との間で行った取引で当該取引から生ずる所得が当該非居住者の恒久的施設に帰せられるものに係る明細を記載した書類及び非居住者の事業場等と恒久的施設との間の内部取引に係る明細を記載した書類を作成しなければならない。

 

 

 

8 租税回避の防止(所法168の2)

 

 非居住者の行為又は計算で、これを容認した場合には所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、恒久的施設帰属所得に係る所得に対する所得税の課税標準、税額等を計算することができる。

 

 

《適用関係》 これらの改正(上記8を除きます。)は、平成29年分以後の所得税について適用され、上記8の改正は、非居住者が平成29年1月1日以後に行う行為又は計算について適用されます(平成26年度改正法附則10~15)。