アパート及び倉庫が恒久的施設に該当するとされた事例 (2)

 

 

 

 

 

 

 

 引き続き 東京地方裁判所判決/平成24年(行ウ)第152号 、判決 平成27年5月28日、について検討します。 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

(4) 本件訴訟に至る経緯等

    

 

 

ア(ア) 原告は,平成17年3月10日,処分行政庁に対し,平成16年分の所得税の確定申告書を提出したが,その後は,本件各係争年分の所得税の確定申告書を提出しなかった。

     

 

 

(イ) 原告は,消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について,平成17年1月1日から平成20年12月31日までの各課税期間(以下「本件各課税期間」という。)に係る消費税等の確定申告書を提出しなかった。

    

 

 

イ(ア) 加古川税務署の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)は,平成20年10月8日,原告に対し,所得税及び消費税等の調査(以下「本件税務調査」という。)を実施し,同日から平成21年11月9日までの間,本件アパート等に赴くなどして,繰り返し本件税務調査への協力及び帳簿書類等の提示を要請した。しかし,原告は,本件各係争年分に係る帳簿書類等を提示することはしなかった。

     

 

(イ) 原告は,平成21年1月23日,本件倉庫において,本件調査担当職員からの質問に応じており(以下,この調査を「本件訪問調査」という。),本件調査担当職員の一人であるP9は,このときのやり取りについて,問答形式により「質問調査応答内容」と題する書面(乙7〔4ないし10枚目〕。以下「本件訪問調査記録」という。)を作成した(なお,原告は,本件訪問調査記録に記載された内容の信用性を争っている。)。[乙7,弁論の全趣旨]

    

 

 

ウ(ア) 処分行政庁は,原告から帳簿書類等の提示がなく,本件各係争年分に係る原告の所得金額等を実額により把握することができなかったため,やむを得ず,原告の平成16年分の事業所得に係る青色申告特別控除前の所得金額の総収入金額に占める割合(以下「原告所得率」という。)を本人比率として算出して,本件税務調査により把握した本件各係争年分における原告の事業所得の総収入金額に原告所得率を乗じて原告の所得金額を推計し,平成22年6月30日付けで,本件各処分を行った。

     

 

 

(イ) なお,処分行政庁は,平成22年1月29日付けで,消費税等について,本件税務調査の結果に基づき,本件各課税期間に係る消費税等の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分を行った。

    

 

 

エ(ア) 原告は,平成22年8月27日,処分行政庁に対し,本件各処分に対し,異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)をしたが,処分行政庁は,同年11月12日付けで,本件異議申立てを棄却する旨の異議決定をした。なお,原告は,同年10月13日及び同月29日,加古川税務署内において,本件調査担当職員による質問調査に応じ(以下,これらを「本件各質問調査」という。),本件各質問調査に係る各質問てん末書(以下,同月13日の質問調査に係る質問てん末書を「本件原告てん末書」という。)に署名押印した。[乙24,25,弁論の全趣旨]

     

 

 

(イ) 原告は,平成22年12月9日,国税不服審判所長に対し,本件各処分について審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成23年11月25日付けで,当該審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。なお,本件各処分の課税の経緯については別表1「課税の経緯(所得税)」記載のとおりである。

    

 

 

オ 原告は,平成24年3月16日,本件訴訟を提起した。

  

 

 

 

 

3 被告が本件訴訟において主張する本件各処分の根拠及び適法性

    

 

 

 被告が本件訴訟において主張する本件各処分の根拠及び適法性は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性(被告の主張)」記載のとおりである。

  

 

 

 

 

 

4 争点

   

 

 

(1) 実特法省令9条の2第1項又は7項の定める届出書を提出しなければ,日米租税条約7条1項による税の軽減又は免除を受けることができないのか否か。 [争点1]

   

 

 

(2) 本件アパート等は,日米租税条約5条の規定する恒久的施設に該当するか否か(本件アパート等は,同条4項(a)号により恒久的施設から除外すべきものに該当するか否か。)。 [争点2]

   

 

 

(3) 本件アパート等が恒久的施設に該当する場合において,日米租税条約7条に基づき課税できる所得の範囲はどこまでか。 [争点3]