行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(3)



【第12条(個人番号利用事務実施者等の責務)】


(個人番号利用事務実施者等の責務)


第十二条 個人番号利用事務実施者及び個人番号関係事務実施者(以下「個人番号利用事務等実施者」という。)は、個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人番号の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない















 個人番号が漏えいした場合には、これを使ったデータマッチングにより個人の権利利益に対する甚大な被害を招く危険があり、また、滅失・き損した場合も個人番号を利用した効率的な行政サービスを受けるという国民の利便等が害されることとなる。


 そこで、個人番号利用事務実施者及び個人番号関係事務実施者(以下「個人番号利用事務等実施者」という。)に対し、個人番号に関する安全確保の措置を義務づけるものである。



 個人番号については、死者の個人番号を除き、個人情報保護法制における「個人情報」に含まれるため、個人情報保護法制における安全確保措置の対象となるので、本項の創設的効果は、個人情報保護法制の対象となっていない者における個人番号の安全確保措置のほか、死者の個人番号を安全確保措置の対象とすることである。




1 漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人番号の適切な管理のために必要な措置 


 保管庫の施錠、立入制限等の物理的保護措置、ネットワーク接続されているコンピュータへのファイアウォールの構築、情報の暗号化等の技術的保護措置、職員に対する教育・研修の実施、安全管理者の設置等管理体制の整備などの組織的保護措置等である。




2 担保措置について



 本条違反の行為については、特定個人情報情報保護委員会による勧告の対象となる。また、勧告に従わなかった場合又は勧告がなされていなくても緊急に措置をとる必要がある場合は是正命令の対象となり、この命令に反した場合には刑事罰の対象となる(第73条)。 






【第73条(命令違反)】


 第七十三条 第五十一条第二項又は第三項の規定による命令に違反した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。



【第50条(指導及び助言)】


(指導及び助言)


第五十条 委員会は、この法律の施行に必要な限度において、個人番号利用事務等実施者に対し、特定個人情報の取扱いに関し、必要な指導及び助言をすることができる。この場合において、特定個人情報の適正な取扱いを確保するために必要があると認めるときは、当該特定個人情報と共に管理されている特定個人情報以外の個人情報の取扱いに関し、併せて指導及び助言をすることができる。



【第51条(勧告及び命令)】


(勧告及び命令)


第五十一条 委員会は、特定個人情報の取扱いに関して法令の規定に違反する行為が行われた場合において、特定個人情報の適正な取扱いの確保のために必要があると認めるときは、当該違反行為をした者に対し、期限を定めて、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。


2 委員会は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。


3 委員会は、前二項の規定にかかわらず、特定個人情報の取扱いに関して法令の規定に違反する行為が行われた場合において、個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該違反行為をした者に対し、期限を定めて、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を命ずることができる












Q6‐1 番号法に規定されている「個人番号利用事務実施者」や「個人番号関係事務実施者」とは具体的に誰を指すのですか。





(答)


番号法において、「個人番号利用事務実施者」とは、「個人番号を使って番号法別表第一で定める事務(個人番号利用事務)を処理する者」をいい、国税分野では、国税庁長官をはじめ、国税局や税務署等において国税の賦課又は徴収の事務に従事する者が「個人番号利用事務実施者」となります。


また、番号法において、「個人番号関係事務実施者」とは、「法令に基づき、個人番号利用事務に関し他人の番号を利用した事務(個人番号関係事務)を行う者」をいい、国税分野では、例えば、従業員等の個人番号を記載した源泉徴収票を提出する法定調書提出義務者の方などが「個人番号関係事務実施者」となります。


なお、番号法においては、個人番号利用事務実施者及び個人番号関係事務実施者を合わせて「個人番号利用事務等実施者」としています。