行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(2)




【第9条(利用範囲)】


(利用範囲)


第九条  別表第一の上欄に掲げる行政機関、地方公共団体、独立行政法人等その他の行政事務を処理する者



 (法令の規定により同表の下欄に掲げる事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては、その者を含む。第三項において同じ。)


 は、同表の下欄に掲げる事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、



 及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる。




 当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。



















 本条は、個人番号を利用することができる者及び利用することができる事務の種類を明らかにするとともに、当該事務処理に必要な限度においてのみ個人番号を利用することができることとするものである。





 個人番号は、将来的には幅広い行政分野で利活用することも念頭に置きつつ、






 まずは、社会保障制度、税制、災害対策に関する分野において利用することとされている。



 また、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が効率的な情報の管理等を行うことができるように設けるものであり、まずは行政事務を想定することとされている。このため、個人番号を利用することができる主体としては、当該行政事務を実施する行政機関及び当該行政事務に関連する法律の規定により何らかの事務を行うことが想定されている者並びに当該行政事務に係る申請、届出等の各種手続を行う者が想定される。


 

 また、主に個人番号の利用を想定している社会保障制度の分野では、特に多くの給付行政を市町村等の基礎自治体が担っているなど、地方公共団体での番号の活用により、国民の利便性の向上、基礎自治体の行政の効率的な運営が期待できることから、条例に基づいて実施している事業についても、地方公共団体が、地域の実情及び住民のニーズ等を踏まえ、必要な限度で個人番号を利用できることとされたものである。




 さらに、平成23年3月11日に発生した東日本大震災での経験を踏まえ、大規模災害時に限った例外的な利用として、金融機関等が個人番号の利用範囲に係る事務に用いるためあらかじめ金融機関等が顧客から告知を受け、保有している個人番号について、大規模災害時に限り、保険金の支払や預金の払戻し等のために行う名寄せ等の事務に利用できることとされたものである。






1 第1項関係



 本項は、別表第一の上欄に掲げる者(法令の規定により別表第一の下欄に掲げる事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては、その者を含む。)又はこれらの者から当該事務の全部又は一部の委託を受けた者は、当該事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる旨を規定するものである。



(1)「法令の規定により同表の下欄に掲げる事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては、その者を含む。」


 行政事務については、その事務に係る権限を下級行政庁等に委任して実施している場合や当初から下級行政庁の権限として規定されている場合もある。



 別表第1には、行政機関の長や地方公共団体の執行機関、すなわち本法の主体の基本的単位に該当するものを規定しつつ、実際に他の者が権限を委任され、又は当該者の下部組織の者が法律上根拠の主体となっている場合においても、これらの者が個人番号を利用することができるよう本項においてその旨を明記したものである。




(2)「当該事務の全部又は一部の委託を受けた者」


 別表第一の下欄に掲げる事務の実施について別表第一の上欄に規定される行政機関等から委託を受けた受託者、その先の再委託、再々委託など全ての段階における受託者も番号を利用できるようにするものである。




(3)「必要な限度で」「利用」 


 「必要な限度」とは、「当該事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するため」に必要不可欠であることを指すもの、


 「利用」とは、行政機関における個人番号が記載された申請手続などの書類の受理、個人番号を用いた当該個人番号に係る者の情報の呼出し、情報の内部管理・保存、他の書類への個人番号の転記やデータの入力、各種行政相談等、個人番号を用いる行為を指すものである。












Q1‐2 社会保障・税番号制度の導入により、税務行政にどのような影響があるのですか。





(答)


 社会保障・税番号制度の導入により、国税当局に提出される申告書・法定調書等の税務関係書類に個人番号及び法人番号が記載されることとなり、法定調書の名寄せや申告書との突合がより正確かつ効率的に行えるようになることから、所得把握の正確性が向上し、適正・公平な課税につながるものと考えています。



また、社会保障・税番号制度の導入に伴う納税者利便の向上策として、


1 住宅ローン控除等の申告手続における住民票の添付省略、

2 国と地方にそれぞれ提出する義務のある給与・年金の源泉徴収票・支払報告書の電子的提出の一元化


などの検討を進めているところです。