本日は 第78節 自律と客観性 から
秩序だった社会にあっては〔正義と善との〕一致が成り立つ。
自由と理性との間に二律背反は存在しない。
自律と客観性はともに、原初状態を参照することによって首尾一貫した仕方で特徴づけられる。
初期状態という考えは、契約説という理論全体の中枢に位置しており、その他の基礎的な観念はこの
考えの見地から定義される。
したがって、自律的に行為するとは、自由で平等な理性的存在者として私たちが合意すると考えられ
る原理、私たちがこのような仕方で理解すべきだとされる原理に基づいて、行為することに等しい。
また、こうした原理は客観的でもある。
それらの原理は、もし適切な一般的観点を私たちがともに採用すべきであるならば、すべての人(私た
ち自身をも含む)が従うことを私たちが欲すると考えられる原理に相当する。
原初状態はそのような視座を定義し、そして原初状態の条件は客観性の条件を体現してもいる。
秩序だった社会は人びとの自律を支持し、正義に関するしっかりした判断の客観性を後押しする。