本日は 第71節 連合体の道徳性 から
連合体の道徳性は多くの理想を含んでおり、各理想はそれぞれの地位や役割に相応しい仕方で定義さ
れる。
私たちの道徳的理解は、人生の途上においてさまざまな地位の系列を歩むにつれて、増大する。
それに対応するさまざまな理想の系列は、次第により優れた知的判断力とより洗練された道徳的識別
力を要求する。
明らかに、こうした理想のうちのいくつかはやはり、他の理想よりも包括的であり、個人に対してま
ったく異なる要求をする。
公人のみならずすべての人は、共通善に関して政治的な見解を持たなければならない。
したがって次のように仮定することができよう
お互いを対等でありかつ友人にして仲間であると見なしている社会の成員が、すべての人の相対的利
益になると知られており、共通の正義構想によって律せられる協働のシステムに参加しているという、
連合体の道徳性が存在する、
と。
この道徳性の内容は協働に関わる徳によって、すなわち、正義と公正、忠誠と信頼、清廉高潔と不
偏・公平性といった複数の徳によって特徴づけられる。
そして典型的な悪徳は、貧欲と不公正、不誠実と欺隔、嫌悪感と偏見である。
仲間たちを前にしてこうした欠点(悪徳)に屈することは、一方には(連合体の)罪責の意識を生じさ
せ、他方には憤慨と義憤を引き起こすであろう。
こうした道徳的態度は、ひとたび、正義にかなった(もしくは公正な)制度枠組みにおいて私たちと協
働している人びとに対して愛着を持つようになるならば、必ず実在するようになる。