本日は 第69節 秩序だった社会という概念 から
秩序だった社会とは、〔1〕他の人びとも同一の正義の原理を承認しており、そして
〔2〕基礎的な社会の制度がその原理を充たしかつ充たしていることが周知されている、
以上の二点を全員が承服・承知している社会である。
〈公正としての正義〉は、こうした社会の理念と調和するように構成されている。
私たちは正しいことを行ないたいという欲求と、不正なことを行なうことに対する嫌悪とを習得する。
幼少期以降に発揮される道徳的情操は、私たちの初発の自然本性を多かれ少なかれおおよそ形成す
る、幼い頃の訓練の痕跡を帯びている可能性が高い。
道徳的見解はさまざまな原理、理想そして指針からなる、非常に複雑な構造を有しており、思考、行為、そして感情といったすべての要素を含んでいる。
私見、正義は社会という器の中でしか醸成されない。その社会は常に正しいかというと、そうでもない。
権利の拡大は正義ではない、結果の平等は正義ではない、と言われる。自由は社会の動的不均衡を創出するため、正義がそこでは機能しない側面を有しているともいえる。