米国の正義 Do the right thing ? (43)




本日は 第49節 混成構想との比較 から







 混成構想とは正義の二原理に代え効用基準や他の基準を用いる構想である。



 格差原理によらない場合、平均効用の最大化と、適正なソーシャル・ミニマムの最大化のバランスを取ろうとしても、適正なミニマムが特定されない。



 格差原理では複数の目標の組み合わせから、最も恵まれない人々の見通しを高める、相対的緻密な構想を有している。



 効用原理は、あるレベルから別のレベルに移行する場合の社会的効用をすべての個人について同じ値とするが、幸福や暮らしよさの基準は個々人にとって同じではない。



 

 私見、効用原理は、格差原理よりもっと数学的人格を前提としている。そうすると、政治家や官僚を全て数学者にすれば、正義らしきものがなされるはずである。各個人に付番し、キャッシュの流れをデータ化して、インフロー・アウトフローを記録し、それに健康状態を関連化し、データ化すれば、適正なソーシャル・ミニマムが特定できる。


 また、格差原理下であっても、租税の機能が当該格差を是正する機能を有するようになるのかもしれない。




 「自由/免れる(FREE)という単語はいまだにニュースピークに存在している。しかしそれは「この犬はしらみから自由である/免れている」であるとか「この畑は雑草から自由である/免れている」といった文章でしか使用されない」(『一九八四年』ジョージ・オーウェル)