本日は 第38節 法の支配 から
形式上の正義の構想を、法システムに適用するところに、法の支配が成立する。
自由とは制度が規定する権利と義務の複合体である。さまざまな自由は私たちが為すことを選択しうることがらを特定し、自由の本性が適当とするときには、それに対して他の人々が干渉してはならない義務を有することがらを特定する。
自由の制限下で一部の人々の利益の最大は他の人々の利益の減少と相殺されていない。
私見、米国の自由は米国の正義によって維持されており、それはシンプルな「Do the right thing」という道徳的な問いかけによって調整されうる。
一方わが国の文学では、
सब्बे संखारा अफिच्चा
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
(1212年か 『平家物語』)
といった道徳的な問いかけを無価値にしてしまう、無常感覚が知識人に共有されている。文脈が違うわが国で、自由と正義は、明文化はされていないだけで、存在していなかったわけではない、と考える。