r>g 資本収益率と経済成長率(5)




第4章 古いヨーロッパから新世界へ







 18世紀以降のイギリスとフランスの資本の性質は一変したが、所得に対する資本の総額はほとんど変わっていない。


 外国資本減少の一因として、革命による収用と非植民地化プロセスがある。


 貯蓄率が低かったため、経済成長の低迷と、度重なる不況もその要因であった。


 1913-1950年の資本/所得比率の減少はヨーロッパの自殺の歴史である。





 1840年トクヴィルは「米国では、土地にほとんどコストがかからず、誰でも容易に地主になれる」ことが、米国に民主的精神が行き渡っている明白な理由のひとつと考えていた。


 21世紀初頭のヨーロッパは米国に比べ特に人口増加が低迷したため、自動的に過去の蓄財の影響が増した。一方、米国の資本/所得比率は、ヨーロッパに比べてはるかに安定していた。




 米国では外国資本は重要性を持たなかった。しかし、二回の大戦で、純外国資産ポジションは逆転した。


 米国では南北戦争以前、奴隷資本が土地資本を補う極端で暴力的な状況と、比較的平等な社会が矛盾する社会が基礎となっていた。これは、現在でも米国に根強く残っている。












第5章 長期的に見た資本/所得比率







 1970年代、1980年代には、世界経済の大規模な「金融化」が見られ、これが富の構造を変えた。


 










第6章 21世紀における資本と労働の分配










 すべての税を考慮すると、資本所得に対する平均税率は、現在ほとんどの富裕国で約30%だ。


 これが主な理由となって、資本による純粋な経済収益率と、所有者個人に実際にもたらされる収益率に大きな差が生じている。


 資本は有効な用途を目指すが、金融機関と株式市場が、慢性的な不安定さ、投機の波をもたらす。


 そして、過剰な資本は資本収益率を減らす。


 資本と労働の分配率の安定が、非常に平和で調和のとれた社会秩序をもたらす、技術革新が人的資本と才能を基盤とする文明をもたらす、という考えは愚かな楽観主義である。



 生産性の伸びと知識の拡散を基盤とした現代の成長は、マルクスが予想した大災厄の回避と、資本蓄積プロセスの均斉化を可能にした。


 だが、資本の深層構造は変えていない。