確定申告(20)



 Q  平成18年の医療法改正前に、設立された財団たる医療法人を設立しました。当該法人の寄附行

   為では「本財団を解散した場合の残余財産は、設立当時における寄附行為者又はその相続人に帰

   属するものとする。」と規定されています。

  

    このたび、設立時の寄附行為者である理事長甲が死亡しましたが、甲の相続に係る相続税の申

   告に当たって、1会に対する残余財産分配請求権は相続財産を構成するのでしょうか。








 A 財団には持分の概念がないため、本件の場合の残余財産分配請求権は、法人が解散した場合に具

  体化するものであり、解散しない限りは、具体的な権利として生ずるものではありませんから、相

  続財産を構成しません。

  

   なお、本件のような寄附行為を定めた財団たる医療法人への寄附については、相続税法第66条第

  4項の規定により、医療法人について贈与税の課税関係が生じることとなります。










相続税法   第66条  人格のない社団又は財団等に対する課税




 代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。この場合においては、贈与により取得した財産について、当該贈与をした者の異なるごとに、当該贈与をした者の各1人のみから財産を取得したものとみなして算出した場合の贈与税額の合計額をもつて当該社団又は財団の納付すべき贈与税額とする。





2 前項の規定は、同項に規定する社団又は財団を設立するために財産の提供があつた場合について準用する。





3 前2項の場合において、第1条の3又は第1条の4の規定の適用については、第1項に規定する社団又は財団の住所は、その主たる営業所又は事務所の所在地にあるものとみなす。





4 前3項の規定は、持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合において、当該贈与又は遺贈により当該贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と第64条第1項に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときについて準用する。この場合において、第1項中「代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団」とあるのは「持分の定めのない法人」と、「当該社団又は財団」とあるのは「当該法人」と、第2項及び第3項中「社団又は財団」とあるのは「持分の定めのない法人」と読み替えるものとする。





5 第1項(第2項において準用する場合を含む。)又は前項の規定の適用がある場合において、これらの規定により第1項若しくは第2項の社団若しくは財団又は前項の持分の定めのない法人に課される贈与税又は相続税の額については、政令で定めるところにより、これらの社団若しくは財団又は持分の定めのない法人に課されるべき法人税その他の税の額に相当する額を控除する。





6 第4項の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるか否かの判定その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。