確定申告(5)



 Q 平成26年12月中に出国し平成27年から住民税が課税されないこととしました。所得税はどこに

  申告すればよいですか?




 

 地方税法   第39条  個人の道府県民税の賦課期日


 個人の道府県民税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする。














 所得税の確定申告書は、提出時の納税地を所轄する税務署長に提出することになっています。




 1 納税地について主なものを説明します。 


 (1) 納税地とは一般的には住所地になります。つまり、国内に住所がある人は、その住所地が納税地

   になります。

    住所とは、生活の本拠のことです。生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定されます。 


 (2) 国内に住所がなくて居所がある人は、その居所地が納税地になります。

    

   一般的に居所とは、相当期間継続して居住しているものの、その場所との結びつきが住所ほど密

  接でないもの、すなわち、そこがその者の生活の本拠であるというまでには至らない場所をいうも

  のとされています。 



 2 納税地の特例


 (1) 国内に住所のほかに居所がある人は、住所地に代えて居所地を納税地とすることができます。


 (2) 国内に住所又は居所のいずれかがあり、しかも事業所などがある人は、住所地等に代えてその事

   業所などの所在地を納税地にすることができます。


 納税地の特例を受けようとする人は、いずれの場合にも、本来の納税地を所轄する税務署長と特例により納税地とする場所を所轄する税務署長の両方に、納税地の特例を受けたい旨の届出書(「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」)を提出してください。


(所法15、16、所基通2-1、通法21)








一方


相続税法 第62条  納税地では



2 第1条の3第2号若しくは第3号又は第1条の4第2号若しくは第3号の規定に該当する者及び第1条の3

 第1号若しくは第4号又は第1条の4第1号の規定に該当する者でこの法律の施行地に住所及び居所を有

 しないこととなるものは、納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告しなければならない。その

 申告がないときは、国税庁長官がその納税地を指定し、これを通知する。



 とされています。









 相続税・贈与税の納税義務者制度に関する現行の枠組みは、近年において、個人に係る無制限納税義務者の範囲の拡大や納税義務者とされる法人等の範囲の拡大などの見直しがなされているものの、今日まで基本的に維持されています。


 このうち、「個人に対する納税義務者制度」について講じた適正化措置(非居住無制限納税義務者制度の新設)については、「武富士事件」の最高裁判決において、「贈与税回避を可能にする状況を整えるためにあえて国外に長期の滞在をするという行為が課税実務上想定されていなかった事態であり、このような方法による贈与税回避を容認することが適当でないというのであれば、法の解釈では限界があるので、そのような事態に対応できるような立法によって対処すべきである」と判示されました。


  一方、適正化後の制度の下においても、相続人(受贈者)が日本国籍を有しないか、又は、被相続人(贈与者)若しくは相続人(受贈者)が過去5年以内において国内に住所を有していなかった場合(国外居住5年超の場合)には、この制度の対象外となるため、国外財産の取得が課税対象とはならないこととなります。





参考判決例:名古屋地裁平成23年3月24日判決(平成20年(行ウ)第114号)














国民健康保険




 この制度は,農業者や自営業者,民間企業を退職した方等が加入するもので,各市町村がその市町村に住所を有する方(健康保険組合等に加入する方を除く)を加入対象として運営しています。


 国民健康保険加入者が海外に短期渡航した際の海外療養費支給制度がありますので,各市町村の保険担当課にお問い合せ下さい。


 なお,市町村の住民登録を抹消している場合は,被保険者ではなくなりますので必要な方は民間の医療保険に加入することになります。







国民年金




 国民年金は,日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の全ての方が加入する年金制度です。加入者は職業などにより3つの種別に分けられています。


1)第1号被保険者:自営業・自由業・農林漁業・学生・無職の方などで20歳以上60歳未満の方(第2

 号,第3号被保険者以外の方)

2)第2号被保険者:厚生年金や共済年金に加入している会社員や公務員など。

3)第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者


(注)海外に居住する厚生年金または共済年金加入者及びその被扶養者である配偶者もすべて国民年金加入者となります(第2号被保険者と第3号被保険者)。







海外に居住する日本人も国民年金に任意加入できます。




 20歳以上65歳未満の海外に居住する日本人(第2号,第3号被保険者を除く)は国民年金に任意加入することができます。


 任意加入の手続や保険料納付方法などは,最後に住所を置いていた地域を管轄する市区町村役場か社会保険事務所にお問い合せ下さい。

  なお,平成19年6月まで社団法人日本国民年金協会で手続を行っていた方については,千代田年金事務所(電話:03-3265-4381)にて事務を引き継ぎました。


(注)任意加入しない場合,海外在住期間は合算対象期間として老齢基礎年金を受給するための資格期間に算入されますが,受給する年金額には反映されません。(任意加入しても保険料を納めない場合には,年金額には反映されません)。

  海外在住時に任意加入したうえで保険料を納めれば,死亡したときや病気やけがで障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。

  なお,海外の大学等に留学した場合には学生納付特例制度(学生の方で保険料納付を猶予する制度)は利用できません。






年金の受給




 海外に住んでいる方も,海外にいながら年金を受給するための手続(裁定請求)を行ったり,すでに受けている年金を受け続けたりすることができます。


 手続先は,原則として,国民年金のみに加入していた方の年金については日本における最終住所地の市区町村役場,厚生年金に加入していた方の年金については年金事務所,共済年金に加入していた方の年金については各共済組合となります。