保証債務
1 保証債務の付従性(民法第448条関係)
民法第448条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度
に減縮する。(民法第448条と同文)
(2) 主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重
されない。
2 主たる債務者の有する抗弁等
(1) 主たる債務者の有する抗弁
保証人が主たる債務者の有する抗弁をもって対抗することの可否について、次のような規律を設けるものとする。
保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
(2) 主たる債務者の有する相殺権、取消権又は解除権(民法第457条第2項関係)
民法第457条第2項の規律を次のように改めるものとする。
主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者が主たる債務の履行を免れる限度で、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
3 保証人の求償権
(1) 委託を受けた保証人の求償権(民法第459条関係)
民法第459条の規律を次のように改めるものとする。
ア 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の
裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅
させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務の免責を得るために支出した金銭その他の
財産の額(当該財産の額が主たる債務の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)
について、主たる債務者に対して求償権を有する。
イ 民法第442条第2項の規定は、アの場合について準用する。(民法第459条第2項と同文)
ウ 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人が主たる債務の履行について
の期限が到来する前に弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたとき
は、主たる債務者は、主たる債務の履行についての期限が到来した後に、債務が消滅した当時利益を
受けた限度において、償還すれば足りる。
エ ウの償還は、主たる債務の履行についての期限以後の法定利息及びその期限以後に履行したとしても
避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
(2) 委託を受けた保証人の求償権(民法第460条関係)
民法第460条第3号を削除するものとする。
(3) 保証人の通知義務(民法第463条関係)
民法第463条の規律を次のように改めるものとする。
ア 保証人(主たる債務者の委託を受けて保証をした者に限る。)が弁済をし、その他自己の財産をもっ
て主たる債務者にその債務を免れさせた場合において、保証人がその旨をあらかじめ主たる債務者に
通知していなかったときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができる事由をもってその保証
人に対抗することができる。この場合において、相殺をもって保証人に対抗したときは、保証人は、
債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
イ 保証人が弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせた場合において、
保証人がその旨を主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で弁済をし、その
他有償の行為をもって免責を得たときは、主たる債務者は、保証人が主たる債務者の意思に反して保
証をした者でないときであっても、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみ
なすことができる。
ウ 主たる債務者が弁済をし、その他自己の財産をもって免責を得た場合において、主たる債務者がその
旨を保証人(主たる債務者の委託を受けて保証をした者に限る。)に通知することを怠ったため、当
該保証人が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た保証人
は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。