多数当事者
1 連帯債務
民法第432条の規律を次のように改めるものとする。
債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
2 連帯債務者の一人について生じた事由の効力等
(1) 履行の請求(民法第434条関係)
民法第434条を削除するものとする。
(2) 連帯債務者の一人による相殺(民法第436条関係)
民法第436条の規律を次のように改めるものとする。
ア 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したと
きは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。(民法第436条第1項と同文)
イ アの債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度で、他の連
帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
(3) 連帯債務者の一人に対する免除(民法第437条関係)
ア 民法第437条を削除するものとする。
イ 連帯債務者の一人に対する免除について、次のような規律を設けるものとする。
債権者と連帯債務者の一人との間に債務の免除があった場合においても、他の連帯債務者は、免除があった連帯債務者に対し、4(1)又は(3)により求償の請求をすることができる。
(4) 連帯債務者の一人についての時効の完成(民法第439条関係)
ア 民法第439条を削除するものとする。
イ 連帯債務者の一人についての時効の完成について、次のような規律を設けるものとする。
連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、時効が完成した連帯債務者に対し、4(1)又は(3)により求償の請求をすることができる。
(5) 相対的効力の原則(民法第440条関係)
民法第440条の規律を次のように改めるものとする。
連帯債務者の一人について生じた事由は、民法第435条、第436条第1項及び第438条に規定する場合を除き、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。