みんぽー要綱仮案(1)



第1 公序良俗(民法第90条関係)



 民法第90条の規律を次のように改めるものとする。


 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。















 東京地方裁判所(第一審)、昭和32年10月30日 判決、最高裁判所民事判例集14巻4号486頁


 原告が、被告に対し、本件精肉の売買契約に基づく売掛代金の支払いを求めた事案で、原告の請求を認容した事例。


 


事実



 原告訴訟代理人は、主文第一、二項同旨の判決を求め、その請求の原因として、原告は、被告に対し昭和三十年七月一日から同年八月十一日までの間に代金合計金三十二万九千六百五十二円に相当する精肉を売渡した。


 右代金は昭和三十年八月十五日限り支払い、右支払期日の後においては金百円につき一日金九銭八厘の遅延損害金を支払う約定であつた。


 ところが被告は内金三万八千円を支払つたのみであるので、原告は被告に対しその残金二十九万千六百五十二円およびこれに対する支払期日の翌日である昭和三十年八月十六日から完済まで前記約定率による遅延損害金の支払を求めるため本訴におよんだ。 




と述べ、




被告の抗弁事実は全部否認すると答えた。(立証省略)



 被告は、「原告の請求を棄却する。」との判決を求め、答弁として、



 原告主張の請求原因事実はいずれも認める。


 しかしながら被告は原告に対して左記のような損害賠償債権を有する。



 すなわち、原告は昭和三十年八月十五日午後八時頃五、六名の暴漢を被告の店舗に寄越し、


 被告の抵抗を排して肉切機、自動秤、台秤、挽肉機その他数点の営業器具および自動車一台を奪取した。


 被告は叙上のごとき原告の不法行為により、爾来同月二十七日まで十二日間引き続き休業を余儀なくされ、かつまた対外信用を失墜したほか現実に得意先を失い、以下に掲げるような損害を蒙つた。


 被告は、当時精肉の販売業により一日平均の売上高金四万二千円の四割にあたる金一万六千八百円の利益を挙げていたので、前述の十二日間にわたる休業によりその間に得べかりし利益合計金二十万千六百円を喪失したほか対外信用の失墜による金二十万円および得意先の減少による金二十五万円の損害を蒙つたのである。


 そこで被告は原告に対する本訴売買代金債務と右損害賠償債権とを本訴において相殺する。さすれば被告はもはや原告に対し何等の債務をも負担するものではなく、原告の本訴請求は排斥せられるべきである。



と述べた。(立証省略)