偽り、その他不正の行為(13)




争点〔3〕(過少申告の正当理由。通則法65条4項)についての当事者の主張






(1)被控訴人


 控訴人は,平成2年分の所得税の確定申告において,事業所得の金額の計算上,収入を過少に申告するとともに必要経費を過大に計上することにより事業所得の金額を過少に申告しており,事実を隠ぺいし,又は仮装したところに基づき事業所得を過少に申告していたとまではいえないものの,事業所得の金額が過少申告となったことについて通則法65条4項に規定する正当な理由があるとは認められず,通則法65条1項の規定により過少申告加算税が賦課される。





(2)控訴人


 控訴人の平成2年の所得税の申告が過少となったのは,前記のとおり,《乙2》税理士及び《乙3》税務署員による妨害のためであって,被控訴人の行政処理や指導が的確を欠いたのであり,納税者のみにその責を帰することは酷であり,このような事情は,通則法65条4項に規定する「正当な理由」その他の真にやむを得ない事情がある場合に該当し,控訴人に対して過少申告加算税を課すことは許されない。