隠ぺい又は仮装(10)

 

 

争点2 内容虚偽の申告書を提出した以外に原告が隠ぺい行為等に当たる行為をしたかどうか。

 

 

 

 

 

 

 

(一) 被告の主張

 

 

 原告は、本件係争各年分の確定申告に際し、申告すべき多額の株式等の売買益があることを十分に認識していながら、確固たる脱税の意思と目的をもって、右売買益の計算の基礎となる資料の保存をせず、計算もしないといった最も悪質かつ大胆な方法で、そのすべてを故意に除外して、確定申告書の作成に当たる顧問税理士にも右売買益の存在を隠し、右売買益から算出される雑所得をすべて除外したところの給与所得、不動産所得、配当所得のみで申告するように指示し、その指示に基づき顧問税理士が作成した確定申告書を被告に提出したものであるから、法68条1項の要件に該当する。

 

 

 

(二) 原告の主張

 

 

 原告は、株式等の取引においてすべて本名で取引し、預金も本名取引であって、通説、判例等がいう隠ぺい行為等に該当する行為をしておらず、過少申告以外に何ら税務調査を困難にする行為をしていないから、原告が隠ぺい行為等をしたということはできない。