隠ぺい又は仮装(5)

 

 

 

 課税庁の主張を検討します。

 

 

 

 

 

(1)重加算税(国税通則法68条1項)の課税要件は、まず、同法65条に規定する過少申告加算税の賦課徴収の要件に該当すること、すなわち、期限内申告書が提出された場合において、修正申告書が提出されるなどし、かつ、これにより納付すべき税額が存することであり、次に、納税者が事実の隠ぺい又は仮装をし、これに基づいて納税申告書を提出したことである。納税者が事実の隠匿、脱漏又は歪曲などという不正手段を用いたときは、これに該当する。

 

 本件処分は右課税要件を充足する適法なものである。すなわち、原告は、一旦不正手段を用いた本件申告をし、後日自らこれについての修正申告をし、かつ、これにより納付すべき税額が存するからである。

 

(2)しかるに、原告は、笠原に不法は申告を依頼したわけではなく、同人が権限外の不法な申告をしたにすぎないとして、本件処分が違法であると主張するけれども、原告が本件申告に関与していないとは認め難いし、

 

 

 また仮に原告が関与をしていなかったとしても、納税者自らが税額を確定しないで第三者に申告書の作成提出を委ねることも許容されるところ、

 

 

 この場合もその申告は納税者自身が行なったときと全く同様に取り扱われるべきであるし、

 

 

 

 その申告が不適正であった場合、これに対する是正や制裁の措置は納税者自身に対してなされるべきであり、

 

 

 不適正な申告に対する重加算税の賦課の措置は第三者のなした不適正な申告についての納税者自身の認識の有無にかかわらずなされるべきものであるから、

 

 

 原告が本件申告に関与していなかったとしても、そのことは本件処分の適否に何ら影響を及ぼすものではない。