役員退職給与の過大支給と第2次納税義務(2)

 

 

 原告の主張等について検討します。

 

 

 

 

 

 

 原告らの本件各退職金は、最終報酬月額四〇万円、功績倍率八倍、勤務年数二〇年で算出した退職慰労金各六四〇〇万円と特別功労金各一六〇〇万円から成るものである。

 

 訴外会社は、昭和五一年に株式会社玉英堂(昭和三〇年七月八日設立)から全事業、全財産を引き継いで営業してきたものであるが、原告らは、株式会社玉英堂及び訴外会社において従業員又は取締役として業務に従事してきた。

 

 したがって、訴外会社が原告らの退職慰労金の計算の対象となる勤務年数を二〇年としたことは適正であり、原告ら両名が訴外会社の事業を実質的に営んできた最も功績の高い者であることを考えれば、本件各退職金の金額は相当かつ妥当なものである。

 

 

 

 

 

 訴外会社が原告らに支給した本件各退職金の金額は、原告らの功績を考えれば、相当なものであり、本件各退職金のうち四〇〇〇万円ずつ合計八〇〇〇万円の損金算入を否認する必要はなかった。

 

 しかるに、日本橋税務署長は、原告らの功績を何ら調査することなく、これを全く考慮しないばかりか、担当職員において訴外会社の取締役であった原告利昭らに対し脅迫的な言辞を吐くようなことまでして、修正申告をしょうようし、その結果、訴外会社としては、修正申告をせざるを得ないと誤信し、本件修正申告に及んだものである。

 

 訴外会社の錯誤は客観的に明白かつ重大であって、修正申告の是正を許さないとするならば、納税義務者の利益を著しく害すると認められる特別の事情があるというべきである。