過去の誤謬の訂正(5)

 

 

 当社は、当期から売上の計上基準を出荷基準から検収基準に変更し、過年度遡及会計基準を適用して遡及処理をした上で、当期の確定申告書を提出する予定です。

 

 このような場合、当期の確定申告書には、「過年度事項の修正の内容を記載した書類」を添付する必要があると聞きましたが、この書類とは、どのようなものをいうのですか。

 

 

 

 

 

 

 過年度遡及会計基準に基づく遡及適用(会計方針の変更の場合)や修正再表示(過去の誤謬の訂正の場合)が行われた場合には、利益剰余金の前期末残高と当期首残高が不一致となるほか、これに伴って過年度又は当期における税務処理が必要となるケースが生じます。

 

 そこで、これらの処理の適否が確認できるよう、当期前の貸借対照表、損益計算書又は株主資本等変動計算書等(以下「計算書類」といいます。)に表示すべき事項(以下「過年度事項」といいます。)の修正の内容が当期の計算書類に記載されていない場合には、「過年度事項の修正の内容を記載した書類」を確定申告書に添付することとされています(法74③、法規35二)。

 

 この「過年度事項の修正の内容を記載した書類」とは、次の記載例のとおり、会計方針の変更や過去の誤謬の内容、理由・原因、生じた事業年度、遡及処理の前後で影響を受ける勘定科目・金額などを任意の様式に記載したものをいい、その書類を遡及適用や修正再表示が行われた当期の確定申告書に添付することになります。

 

 なお、会社計算規則に定める注記表にこれらの事項が表示されている場合には、改めて「過年度事項の修正の内容を記載した書類」を作成する必要はなく、その注記表を確定申告書に添付することで足ります。

 

(注)会社計算規則上は、注記表を作成することが原則とされていますが、企業会計の慣行上、注記表を作成する代わりに、計算書類の脚注に注記事項を表示する方法も行われているところです。この脚注に過年度事項の修正の内容が記載されている場合には、税務上も改めて書類を作成し、確定申告書に添付する必要はありません。