仮装経理損害賠償(1)

 

 

 原告は,建築材料の販売等を目的とする株式会社である。

 

 被告は税理士であり,原告は被告に対し,顧問税理士として昭和53年4月ころから平成9年2月28日までの間,原告の毎年5月1日から翌年4月30日までを事業年度とする各年度の所得申告等の税務申告手続を委任してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 被告は,平成8年7月1日,原告の平成7年5月1日から平成8年4月30日までの事業年度(平成7年度,申告期限は平成8年7月1日)の法人税等の確定申告を行った。

 

 

 被告は,上記確定申告の際,

 

 

ア 原告が平成7年11月24日に代金4400万円で購入した土地(前橋市a町b丁目c番地d,以下

 「本件土地」という。)に係る借入金の支払利子を損金に算入し,

 

 

イ 原告が平成2年7月16日に売却した太平洋金属のワラント債及び同月17日に売却した昭和電工のワ

  ラント債(以下これらを「本件ワラント債」という。)の売却損を平成7年度の特別損失として計上し

  た。

 

 

 

 

 原告は,平成10年4月28日付けで,前橋税務署長によって,上記ア及びイの各処理を否認する内容の更正決定(以下「本件更正決定」という。)を受けた。

 

 

 その更正通知書に記載された更正の理由は,要旨次のとおりである。

 

 

ア 新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額……110万円

 

  貴社が平成7年11月24日に取得した本件土地4400万円は新規取得土地等に該当しますので,当

 該取得価額を基準取得価額として計算した新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額110万円は,

 当事業年度の損金の額に算入されません。

 

 

イ 有価証券売却損の損金不算入額……合計2544万3489円

 

  当事業年度に有価証券売却損として損金の額に算入した大平洋金属のワラント債売却損903万723

 9円,昭和電工のワラント債売却損1640万6250円は,売却した平成2年7月16日・17日の属

 する事業年度の損金として計上すべきものであり,当事業年度の損金の額に算入されません。