第2審 東京高等裁判所昭和六二年(行コ)第六八号 昭和六三年九月二八日判決言渡でも納税者は敗訴しました。
以下判示内容です。
過去の事業年度における欠損金を、繰越欠損金として当該控除年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入するためには、その過去の事業年度において所得の金額の計算上欠損金が認められる場合でなければならない。
しかるに、本件においては、昭和四九年七月期及び昭和五〇年七月期の欠損金については、法定の申告期限から五年を経過しているため、
国税通則法七〇条二項により減額更正をすることができず、その結果、昭和四九年七月期及び昭和五〇年七月期においては、いずれも欠損金は生じなかつたことに確定したのであるから、
仮に右各事業年度において、控訴人の主張するような欠損金が生じていたとしても、これを当該控除年度の所得の計算上損金の額に算入することはできない。
控訴人は昭和五四年暮以降または昭和五五年九月二〇日には、被控訴人に減額更正をすべき義務が発生した旨主張する。
しかしながら、昭和五四年暮においても昭和四九年七月期について、もはや減額更正をすることができないことは、国税通則法七〇条二項により明らかなところである。
また、前記認定の事実によると、控訴人の過年度についての経理の調査は、専門家の税理士が調査に当たつても、膨大な書類のため容易に結論がでない状態であつたところ、
昭和五四年暮には、控訴人は被控訴人に対し概略の数字を口頭で報告したにすぎず、
昭和五五年九月二〇日には、具体的な数字を示し、細かい説明をしたとはいえ、
この時には昭和五〇年七月期について減額更正をなしうる期限は、僅か一〇日しか残されていなかつたのであるから,
その期限内に自ら調査をしたうえ右事業年度について減額更正をすべき義務が被控訴人に発生したとは、到底解することができない。