更正の請求の可否(2)

 

 

 税務署長は控訴しました。原判決中控訴人敗訴部分は取消され、被控訴人の請求は棄却され、被控訴人の予備的請求は、いずれも却下されました。

 

 

 

 

 

 

高裁の判示理由は以下の通りでした。

 

 

 青色申告の承認は申告の方法を規制する行政処分であって、その承認ないし取消と、課税処分とは全く別個の行政処分である。したがって、右承認が取消され青色申告が白色として取扱われ、これに基づいてなされた課税処分は所定の手続を経過すれば確定するのであって、後日、承認取消処分が取消されても、既に確定した課税処分がさかのぼってかしのあるものになることはなく、また、承認取消処分の取消された時点においてかしのあるものに変ることもない。このことは、国税通則法第二三条の規定が設けられていることからも窮われるのである。

 

 

 本件課税処分は昭和四三年八月三一日付でなされ、その頃被控訴人に通知されたと認められるところ、本件無効確認請求事件は昭和四四年九月二二日提起されており、

 

 また提起遅延の正当な理由を認めるべき資料もない。

 

 のみならず、課税処分の取消請求訴訟を提起するためには所定の行政不服の手続をふむことが必要であるが、この手続をすませていないことは、弁論の全趣旨により明らかである。

 

 いずれにせよ、取消請求は訴え提起の要件を欠くといわなければならない。

 

 

 更に、被控訴人は減額更正の請求をしている。しかし、かかる請求は税務署長に対してなすべきであって、直接裁判所に対して求めることはできない。