不服申立手続を経ない国家賠償請求(3)

 

 

 第2審控訴は棄却されました。(名古屋高等裁判所平成20年(ネ)第732号、平成21年3月13日民事第2部判決)

 

 

 

 

 

 第2審の判断は以下の通りでした。

 

 

 

 ことに,本件では,控訴人は,本件倉庫に「冷凍倉庫用」の経年減点補正率を適用しなかったことが違法であるとして,本件倉庫についての登録価格を争うものであるが,地方税法432条2項は,登録価格を早期に確定することにより固定資産税にかかる徴税行政の安定と円滑な運営を図る目的と,登録価格の決定には専門的,技術的な面の存することなどから,登録価格については,固定資産評価審査委員会に対する審査申出及び同委員会による審査の決定に対する取消しの訴えという方法によってのみ争うことができるものとして,その不服申立方法を制限しているのであって,控訴人による本件国家賠償請求は,実質的にはこの制限をも潜脱するものということができる。

 

 

 

 当該課税処分の法律上の効果の及ぶ範囲が当該処分の対象者のみであるとしても,一般に,課税処分においては,同種の処分の対象となり,又はなり得る納税者間における公平が求められるから,地方税法等に定められている争訟制限に服さない国家賠償請求を無限定に認めることは,なお徴税行政の安定とその円滑な運営を阻むものといえる。

 

 

 

 

 より早期確定が求められるとしても,登録価格決定及び賦課決定について,行政上の不服申立手続や出訴期間の遵守を要求しないで,その効力を争い得る例外的な場合があり得ることが,法律上,一切否定されているものではなく,当然に無効とすべき登録価格決定及び賦課決定については,課税処分固有の不服申立手続を経ずに,課税処分の違法を理由とする国家賠償を請求することが許されると解するのが相当である。もっとも,徴税行政の安定等が損なわれるのもやむを得ないものとして,かかる例外を認めるためには,当該課税処分を当然無効と認め得る瑕疵は相応に重大なものであることを要すると解すべき

 

 

 

 

 

 

 最高裁では原判決が破棄されます。詳細は明日。