消費税の転嫁拒否(6)

 

 消費税率引上げの際に,優越的地位の濫用等として、独占禁止法上問題となる場合もあります。

 

 

 

 

 消費税率引上げに際して,取引上優越した地位にある事業者が取引の相手方に対し,例えば次のような行為を行う場合は,優越的地位の濫用等として独占禁止法に違反するおそれがあります。

 

 

 (1)  対価の一方的設定や値引き(独占禁止法第2条第9項第5号ハ)

 

   ア  既に対価が決定済みの継続的取引などにおいて,取引の相手方に対し,消費税率引上げ分の全

     部又は一部を負担させるため,消費税率引上げという事情変更を認めず,引き続き消費税率引上

     げ前の対価での納入を強要すること

 

 

   イ  取引の相手方に対し,消費税率引上げ分の全部又は一部を負担させるため,消費税率引上げ前

     に対価を一方的に引き下げさせること

 

   ウ  対価を決める際に,取引の相手方に対し,消費税率引上げ分の全部又は一部を負担させるため

     に,自己の定めた対価を一方的に押し付けること

 

   エ  取引の相手方に対し,消費税率引上げ分を転嫁できないことを理由に,あるいは,消費税率引

     上げに伴う自己の事務の増大に要する費用の全部又は一部を負担させるため一旦決めた対価を

     一方的に値引きすること

 

   オ  取引の相手方に対し,消費税率引上げ分の全部又は一部を負担させるため,検査基準を恣意的

     に厳しくして,これを満たさないことを理由に,一旦決めた対価を一方的に値引きすること

 

   カ  取引の相手方に対し,消費税率引上げ分の全部又は一部を負担させるため,従来の消費税率で

     の価格交渉で妥結した対価に消費税率引上げ分を上乗せして請求された場合に,消費税率引上げ

     分を支払わないこと