消費税率引上げ(3)

 

 

 

 当社は、事務機器の保守サービスを行っており、保守サービスの契約期間を平成26年4月以後1年間とする保守契約を平成26年3月10日に締結するとともに、同日までに一括して1年間の保守料金1,260,000円を3月31日に前受けしています。

 

 なお、この保守契約は、月額105,000円として保守料金を定めており、中途解約があった場合には、未経過期間分の保守料金を返還することとしています。

 

 

 この保守契約に係る取引について、1年間分を一括収受し、前受金として計上したものを毎月の役務提供の完了の都度、収益に計上することとしていますが、この場合において、施行日(平成26年4月1日)以後、毎月の役務提供の完了の都度、収益に計上する際の適用税率はどのようになりますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 役務の提供による資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあっては、その目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあっては、その約した役務の全部を完了した日とされています(基通9-1―5)。

 

 また、前受金に係る資産の譲渡等の時期は、現実に資産の譲渡等を行った時とされています(基通9-1―27)。

 

 

 本件の保守契約は、契約期間は1年間であるものの、保守料金が月額で定められており、その役務提供が月々完了するものですので、この保守契約に基づき計上した前受金に係る資産の譲渡等の時期は、現実に毎月の役務提供が完了する時であり、その時の消費税率が適用されます。

 

 

 したがって、施行日以後、役務提供が完了するものについては、新税率(8%)が適用されることとなります。

 

3/31  預金等  1,260,000円  /   前受金  1,260,000円

 

4/30  前受金   105,000円  /   保守料売上   97,223円

                   /   仮受消費税等   7,777円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 消費税法基本通達  9-1-5  請負による資産の譲渡等の時期

 

 

 

 請負による資産の譲渡等の時期は、別に定めるものを除き、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部を完了した日とする。

 

 

 

 

 

 

 消費税法基本通達  9-1-27 前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期

 

 

 

 資産の譲渡等に係る前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期は、法第18条《小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例》の規定の適用を受ける事業者を除き、現実に資産の譲渡等を行った時となることに留意する。