個人の決算(19)

 

 給与所得者である個人が、自宅に太陽光発電設備を設置し、太陽光発電による固定価格買取制度に基づきその余剰電力を電力会社に売却している場合、余剰電力の売却収入に係る所得区分及び太陽光発電設備に係る減価償却費の計算方法についてどのように取り扱うのでしょうか?

 

 

 

 余剰電力の買取りは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、太陽光発電による電気が太陽光発電設備が設置された施設等において消費された電気を上回る量の発電をした際、その上回る部分が当該施設等に接続されている配電線に逆流し、これを一般電気事業者である電力会社が一定期間買い取ることとされているものです。

 

 余剰電力の売却収入については、それを事業として行っている場合や、他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合には事業所得に該当すると考えられますが、給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、雑所得に該当します。

 

 

 なお、減価償却費の計算上、太陽光発電設備は、太陽電池モジュール、パワーコンディショナーなどが一体となって発電・送電等を行う自家発電設備であることから、一般に「機械装置」に分類されると考えられますので、その耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「55 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」に該当し、17年となります。

 

 

 また、必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうちに売却した電力量の占める割合業務用割合として計算した金額となります。

 

(注) 一般家庭で行われる太陽光発電であっても、平成24年7月以降、一定規模以上の太

  陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電

  力会社に売却することが可能とされています(全量売電)。

   給与所得者がこの全量売電を行っている場合の売電収入も、上記と同様に、それが

  事業として行われている場合を除き、雑所得に該当すると考えられます。また、減価

  償却費は全額必要経費に算入します。