個人の決算(16)

減価償却費の計算

 

 

 建物、機械装置、船舶、車両運搬具、工具、器具備品、漁業権、特許権、営業権などの資産(減価償却資産)を取得するために支払った費用(取得価額)は、その支払った金額がそのまま必要経費になるのではなく、これらの資産の種類、構造、用途などの別に、耐用年数を基として計算したその年分の期間に対応する減価償却費が必要経費になります。

 

 

 減価償却の計算方法には、平成19 年4月1日以後に取得した減価償却資産については、定額法、定率法、生産高比例法など、平成19 年3月31 日以前に取得した減価償却資産については、旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法などの計算方法がありますが、これらの償却方法のうち、例えば、車両運搬具は定額法(旧定額)、機械装置は定率法(旧定率法)というように、あらかじめ税務署へ届け出ている方法によって計算します。

 

 

 

 

 ただし、取得価額等により、以下の通りの取り扱いとなります。

 

1 使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業

 務の用に供した年分の必要経費とします。

 

2 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全

 部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をそ

 の業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。

 

3 一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から平成26年3月31日までに取得した取得価額10万

 円以上30万円未満の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要

 件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した

 年分の必要経費に算入できるという特例があります。

 

4 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。すなわち、税込

 経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。なお、免税

 事業者の経理方式は税込経理になります。

 

 

 

 平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産(以下「旧減価償却資産」といいます。)については、「旧定額法」や「旧定率法」などの償却方法で、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については、「定額法」や「定率法」などの償却方法で減価償却を行います。

 

 前記の償却方法は、減価償却資産の種類ごとに選定します。この場合、償却方法の選定の届出が必要です。 例えば、新たに業務を始めた場合には、減価償却の方法を選定してその翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出なければなりません。この届出がない場合には、法定の償却方法で計算することになります。 法定の償却方法は一般的には旧定額法又は定額法です。

 

 また、減価償却の方法を変更しようとするときは、その変更しようとする年の3月15日までに所轄の税務署長に申請書を提出してその承認を受ける必要があります。