個人の決算(14)

 

現物給与など

 

 

 使用人に食事や商品などを支給した場合は、必要経費になります。

 なお、商品などの棚卸資産を使用人に支給した場合には、その棚卸資産の販売価額を「給料賃金」に含めるとともに、収入金額にも含めます。

 

 

収入金額について

 

 

 商品などの棚卸資産を家事のために消費したり、贈与したような場合も収入金額になります。

 この場合の収入金額は、原則として、その商品などの通常の販売価額によりますが、仕入価額(仕入価額が通常の販売価額のおおむね70%の金額よりも低いときは、通常の販売価額の70%の金額)で収入金額を計算しても差し支えありません。

 

 家事のために消費したものや贈与したものをまだ記帳していない場合には、追加記載します。

 

給与について

 

 

 給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引販売などのように次に掲げるような物又は権利その他の経済的利益をもって支給されることがあります。

 

1 物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益

 

2 土地、家屋、金銭その他の資産を無償又は低い対価により貸し付けたことによる経済的利益

 

3 福利厚生施設の利用など2以外の用役を無償又は低い対価により提供したことによる経済的利益

 

4 個人的債務を免除又は負担したことによる経済的利益

 

 これらの経済的利益を一般に現物給与といい、原則として給与所得の収入金額とされますが、

 

 現物給与には、

 

1 職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの

 

2 換金性に欠けるもの

 

3 その評価が困難なもの

 

4 受給者側に物品などの選択の余地がないもの

 

 など、金銭給与と異なる性質があるため、特定の現物給与については、課税上金銭給与とは異なった取扱いが定められています。

 

 

現物給与の評価の原則

 

 

 給与を金銭で支給することに代えて物又は権利その他の経済的利益によって支給する場合には、その経済的利益の額はおおむね次のように評価することになっています。

 

イ 使用者が通常他に販売する物品を支給する場合には、次に掲げる価額によります。

 

(イ) 製造業者が自家製品を支給する場合……製造業者販売価額

 

(ロ) 卸売業者が取扱商品を支給する場合……卸売価額

 

(ハ) 小売業者が取扱商品を支給する場合……小売価額

 

ロ 使用者が通常他に販売する物品でないものを支給する場合には、その物品の通常売買される価額により

  ます。ただし、使用者が役員又は使用人に支給するために購入した物品で、購入時から支給時までの間

  にその価額にさして変動がないものは、その物品の購入価額によることができます。

 

ハ 有価証券(発行法人から与えられた新株等を取得する権利を除きます。)を支給する場合には、その支

  給時の価額によります。

 

ニ 生命保険契約等に関する権利を支給する場合には、その支給時に契約を解除したとしたならば保険会社

  等から支払われることとなる解約返戻金等の額によります。

 

ホ 役員又は使用人に使用者の事業の用に供する資産(例えば、社宅や自動車など)を専属的に利用させる

  場合には、その資産の利用について通常支払うべき使用料その他その利用の対価に相当する額によりま

  す。

 

ヘ 金銭の貸付けを行った場合の利息の評価については、次に掲げる利率によります。

 

(イ) 使用者が他から借り入れて貸し付けた場合……その借入金の利率

 

(ロ) その他の場合……貸付けを行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時におけるいわゆる公定

   歩合(日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率)に年4%の利率

   を加算した利率

 

・ 平成12年・13年中に貸付けを行ったもの・・・・・・年4.5%

 

・ 平成14年~17年中に貸付けを行ったもの・・・・・・年4.1%

 

(注) 使用人に住宅取得資金を貸し付けた場合に使用人が平成18年12月31日までの間に受ける経済的利益

  については、年1%以上の利率により利息を徴しているときは課税されないことになっています。

 

ト 使用者が支給する食事については、次に掲げる金額により評価します。

 

(イ) 使用者が調理して支給する食事……その食事の主食、副食、調味料等に要する直接費の額に相当する

   金額

 

(ロ) 使用者が飲食店等から購入して支給する食事……その食事の購入価額に相当する金額