第1審の
そのような(弁護士会の、(筆者付加))活動等は、弁護士等全体の能力向上や社会的使命の達成等を目的としたものであるというべきであるし、これらの活動等から生じる成果は、当該活動を行った弁護士個人に帰属するものではなく、弁護士会や日弁連ひいては弁護士等全体に帰属するものと解される。
との判断に、筆者は納得できない。
弁護士制度あるいは税理士制度は過去から守り保ってきたものがあり、その守り保ち続けているものが当該制度を有効に機能させている。弁護士会の活動、税理士会の活動は、我々が使命を達成しながら職業として活動するための基盤となっているため、当該活動の成果物は弁護士等のすべての個々人に帰属する。
と筆者は考える。
当該弁護士はもちろん控訴しました。
第2審では、原判決が次のように変更されました。
原判決20頁22行目の次に行を改めて次のように加える。
これに対し,被控訴人(課税庁、筆者付加)は,
一般対応の必要経費の該当性は,
当該事業の業務と直接関係を持ち,
かつ,
専ら業務の遂行上必要といえるかによって判断すべきであると主張する。
しかし,所得税法施行令96条1号が,家事関連費のうち必要経費に算入することができるものについて,
経費の主たる部分が「事業所得を‥生ずべき業務の遂行上必要」であることを要する
と規定している上,
ある支出が業務の遂行上必要なものであれば,その業務と関連するものでもあるというべきである。
それにもかかわらず,これに加えて,事業の業務と直接関係を持つことを求めると解釈する根拠は見当たらず,「直接」という文言の意味も必ずしも明らかではないことからすれば,
被控訴人の上記主張は採用することができない。