個人の決算(6)

 

 家事関連費とは、

 

 必要経費と家事費の性質を併有している費用であり、

 

 これは原則として必要経費に算入できないが、

 

 家事関連費のうち、所得税法施行令96条にいう

 

「業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明確に区分できる」場合等は、

 

 その部分に限って必要経費に算入されるものと解すべきであり、上記場合に該当し、必要経費であることについては、納税者側に主張立証責任があります。

 

 

所得税法施行令  

第96条 家事関連費

 

法第45条第1項第1号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。

 

一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費

 

 

二 前号に掲げるもののほか青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

 

 

(原告の主張)

 

 

 所得税法37条は、

 

 「所得を生ずべき業務について生じた費用」を事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当するものとしている(一般対応の必要経費)ところ、

 

 この「所得を生ずべき業務」とは、

 

 同法27条及び37条に規定する「事業」と同一と解すべきであり、

 

 弁護士業は所得税法施行令63条11号に規定するサービス業に該当すると解されているから、

 

弁護士の業務全体が「所得を生ずべき業務」に当たる。

 

 ところで、弁護士は、弁護士会を設立し、弁護士会は日弁連を設立し、弁護士会等の活動を通し、最高度の自治の内で、弁護士自らが弁護士の使命を実践することが弁護士法により求められている。そして、弁護士にとって、弁護士会に入会し、日弁連に登録することは、弁護士の業務の開始及び存続の要件であり、日弁連及び弁護士会の会務活動は、弁護士制度と弁護士に対する社会的信頼を維持し弁護士の事務の改善に資するものである。したがって、会務活動は、弁護士としての業務のために必要かつ不可欠なものであり、弁護士業務の重要な一部であり、弁護士の事業活動そのものである。

 

 

 そして、所得税法37条に定める必要経費のうち、

 

 いわゆる一般対応の必要経費については、

 

 その文言及び性質上、

 

 支出と収入の直接関連性は必要とされていないから、

 

会務活動に伴う支出は、いずれも必要経費に該当するというべきである。