本日は、交際費裁判について検討します。
第1審から検討します。
原告は、仙台市内に事務所を構え、弁護士業を営んで事業所得を得ている者であり、仙台弁護士会の会員である。
原告は、平成13年6月から平成16年6月まで日弁連の弁護士業務改革委員会副委員長兼パラリーガル検討プロジェクトチームリーダーを、平成15年4月1日から平成17年3月31まで東北弁護士会連合会の理事を、平成15年4月1日から平成16年3月31日まで仙台弁護士会の常議員を務めていた。
また、原告は、平成16年4月1日から平成17年3月31日まで仙台弁護士会会長及び日弁連理事を務め、同年4月1日から平成18年3月31日まで日弁連副会長を務めた。
税務署側の主張
酒食を伴う懇親会費について
この各支出は、仙台弁護士会、東北弁連及び日弁連の会長又は副会長等の役員として、
原告が弁護士会等の活動の遂行に関して支出した懇親会費と認められるところ、
弁護士は、弁護士会に入会し、日弁連の弁護士名簿に登録されなければならず、
当然入会した弁護士会及び日弁連の会員となるが、
弁護士会等の役員になることまでもが弁護士法等によって個々の弁護士に義務付けられているとは認められないのであって、
仮に弁護士会等の活動を通じて、弁護士会等の役員等に選任されることがあったとしても、弁護士個人とは異なる人格である弁護士会等の役員としての活動を弁護士個人が事業所得を得るための事業活動と同一視することはできない。
したがって、
原告が、弁護士会等の役員等として支出した酒食を伴う懇親会費等は、
原告の弁護士としての事業と直接関係をもつものとも専ら弁護士としての事業の遂行上必要な支出であったとも認められないから、
これを原告の事業所得の計算上必要経費に算入できないことは明らかである。
弁護士会等の役員が提供する人的役務等の性質に鑑みると、
弁護士会等の役員が提供する人的役務等は、
自己の計算と危険において独立して提供されるものには該当せず、
他人の指揮監督(弁護士会等が機関決定した方針など)の下に提供されるものであるから、
そのような活動は継続的に行われていたとしても、事業所得を生ずべき「事業」には該当しないというべきである。
したがって、仮にその人的役務等の提供の対価として受領する金員があるとすれば、当該金員は、事業所得ではなく給与所得の性質を有しているということができるのであって、
弁護士会等の役員等としての人的役務等の提供が、事業所得を生ずべき「事業」に当たるという前提で、
本件各支出が、そのような事業との関係で一般対応の必要経費に該当するか否かを検討する判断手法は誤りである。