個人の決算(4)

 必要経費について

 

 

 所得税法 第37条 必要経費

 

 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上

 

 必要経費に算入すべき金額は、

 

 別段の定めがあるものを除き、

 

 これらの所得の総収入金額に係る売上原価

 

 その他

 

 当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額

 

 及び

 

 その年における販売費、一般管理費

 

 その他

 

 これらの所得を生ずべき業務について生じた費用

 

 (償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

 

とされます。

 

 先日に続いて必要経費について検討しましょう。

 

 

 

租税公課

 

 必要経費になる租税公課は、

 

① 事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金

 

② 商工会議所、商工会、協同組合、同業者組合、商店会などの会費、組合費又は賦課金などですが、次の

 ような租税公課については、それぞれ次のようになります。

 

⑴ 所得税及び復興特別所得税、相続税、住民税、国税の延滞税・加算税、地方税の延滞金・加算金、罰

 金、科料、過料などは、必要経費になりません。

 

⑵ 納期が翌年2月である固定資産税の第4期分も、その年分の未払経費として必要経費になりますが、翌

 年分の必要経費にしても差し支えありません。

 

 

 

接待交際費、寄附金

 

 接待交際費や寄附金は、その相手方やその支出の理由などからみて、事業を営む上で通常必要と認められる金額が必要経費になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 接待交際費は注意する必要があります。

 

 

 弁護士業を営み、仙台弁護士会会長や日本弁護士連合会副会長等の役員を務めた原告が、

 

 これらの役員としての活動に伴い支出した懇親会費等を

 

 事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、

 

 また、消費税及び地方消費税の額の計算上課税仕入れに該当するとして、

 

 所得税及び消費税等の確定申告をしたところ、

 

 処分行政庁である仙台中税務署長が、これらの費用については、

 

 所得税法37条1項に規定する必要経費に算入することはできず、

 

 また、消費税法2条1項12号に規定する課税仕入れには該当しないなどとして、

 

 所得税及び消費税等の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

 

 原告は、これらの支出の大部分が事業所得の金額の計算上必要経費に当たり、また、消費税等の額の計算上課税仕入れにも該当すると主張した、という事件があります。

 

 

 東京地方裁判所(第一審)では、弁護士会等の役員としての活動は所得税法上の「事業」ということはできないとして、原告の請求をいずれも棄却しました。

 

 東京高等裁判所(控訴審)では、原判決を変更し、処分行政庁のなした更正処分の一部を取消し、その余の請求をいずれも棄却しました。